第12ヘリコプター隊
第12ヘリコプター隊(だいじゅうにヘリコプターたい、JGSDF 12th Helicopter unit)は、群馬県北群馬郡榛東村の相馬原駐屯地に本部が駐屯する、第12旅団隷下の航空科部隊である。隷下の第1飛行隊は北宇都宮駐屯地に分駐している。
第12ヘリコプター隊 | |
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空中機動展開支援を行う第12ヘリコプター隊のCH-47JA | |
創設 | 2001年(平成13年)3月27日 |
所属政体 | 日本 |
所属組織 | 陸上自衛隊 |
部隊編制単位 | 隊 |
兵科 | 航空科 |
所在地 |
群馬県北群馬郡榛東村 栃木県宇都宮市 |
編成地 | 北宇都宮 |
上級単位 | 第12旅団 |
担当地域 | 甲信越 |
戦歴 | 2014年の御嶽山噴火に伴う災害派遣 |
概要
編集前身は第12師団第12飛行隊である。2001年(平成13年)第12師団が師団から旅団(総合近代化旅団タイプ)へ縮小改編された際、陸上自衛隊唯一の空中機動展開に特化した「空中機動旅団」第12旅団に改編された[1]。その骨幹を担う部隊ゆえ、1個飛行隊を増強し「第12ヘリコプター隊」となった。航空科の中では、第15ヘリコプター隊と並んで、師団旅団保有の航空科部隊として最大規模を誇る。平時は空中機動展開訓練を行い、甲信越という地域の特性上、高標高地訓練・積雪地訓練も行っている[2]。有事・災害派遣の際は全国へ展開して運用を行う[1]。なお、第12ヘリコプター隊だけでは輸送力は足りず、有事の際には東部方面航空隊や第1ヘリコプター団等の増強を必要とする。
また、旅団隷下部隊等に空中機動要領を熟知した要員を配置するために、空中機動指導官養成訓練を行っている[1]。この訓練は、ヘリコプターの着陸誘導訓練、地面すれすれでホバリングするヘリコプターから飛び降り、周囲を警戒して制圧するヘリボン強襲訓練、上空でホバリングするヘリコプターからロープを伝って地上に降りるラペリング訓練など、あらゆる場面を想定した訓練を行うという[1]。その一環で、戦闘捜索救難での航空科隊員によるラペリングを第1ヘリコプター団・第102飛行隊同様に実施しているという。
沿革
編集第12飛行隊
- 1962年(昭和37年)
- 1994年(平成第12師団隷下に編入。 6年)3月28日:第12飛行隊(北宇都宮駐屯地)が
第12ヘリコプター隊
- 2001年(平成13年)3月27日:第12師団の「空中機動旅団」化に伴い、第12飛行隊を増強改編。
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)
- 9月10日:平成27年9月関東・東北豪雨に伴う災害派遣。第1飛行隊のUH-60JAがホイストにより濁流に飲まれる寸前の民間人を多数救助。
- 10月:フジサンケイグループの主催で行われた「第13回国民の自衛官」表彰式において部隊表彰を受ける[1][2][3]。
- 2018年(平成30年)1月23日:草津白根山(本白根山)での噴火に伴う噴石に、当時スキー場で訓練中の隊員8名が巻き込まれる[4]。全員救出されたが、搬送先の病院で男性陸曹長1名が殉職した[5]。事後、災害派遣要請を受けて救助活動を実施し、第12偵察隊をスキー場へ空輸、ロープウェイ山頂駅付近に退避していたスキー客を救助した[6]。同日中に撤収[6]。
- 2021年(令和3年)2月22日:栃木県足利市で発生した山火事の消火のために災害派遣。CH-47を使用した空中消火作業に従事した[7]。
部隊編成・主要装備
編集かっこ囲みを除き、相馬原駐屯地所在。飛行隊は1個飛行班基幹編成となっている。
主要幹部
編集官職名 | 階級 | 氏名 | 補職発令日 | 前職 |
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第12ヘリコプター隊長 | 2等陸佐 | 小丸隆宏 | 2023年12月22日 | 陸上幕僚監部防衛部防衛課 |
代 | 氏名 | 在職期間 | 前職 | 後職 |
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1 | 宇佐美真 | 2001年 | 3月27日 - 2001年12月 2日第12飛行隊長 | 陸上幕僚監部人事部援護業務課 総括班長 |
2 | 河野実 | 2001年12月 | 3日 - 2003年 7月31日陸上自衛隊航空学校研究部長 | 中央管制気象隊長 |
3 | 市村勝 | 2003年 | 8月 1日 - 2006年 3月26日陸上幕僚監部防衛部運用課 航空運用班長 |
陸上自衛隊航空学校第1教育部長 |
4 | 荒関和人 | 2006年 | 3月27日 - 2008年 3月25日陸上幕僚監部防衛部運用課 航空運用班長 |
統合幕僚学校研究室研究員 |
5 | 楠見晋一 | 2008年 | 3月26日 - 2009年12月 6日陸上自衛隊幹部学校付 | 陸上幕僚監部運用支援・情報部情報課 地域情報班長 |
6 | 佐野光 | 2009年12月 | 7日 - 2011年11月30日陸上自衛隊幹部学校学校教官 | 陸上幕僚監部人事部人事計画課 服務室長 |
7 | 真岡孝成 | 2011年12月 | 1日 - 2013年12月17日陸上自衛隊幹部学校学校教官 | 陸上幕僚監部装備部航空機課 航空安全班長 |
8 | 鈴木力 | 2013年12月18日 - 2015年11月30日 | 統合幕僚学校教育課第1教官室 学校教官 |
中央管制気象隊長 |
9 | 安藤和幸 | 2015年12月 | 1日 - 2017年 3月22日西部方面総監部人事部 援護業務課長 |
中央管制気象隊長 |
10 | 桑畑英紀 | 2017年 | 3月23日 - 2019年11月30日陸上自衛隊航空学校主任教官 | 陸上総隊司令部総務部人事課長 |
11 | 加藤憲司 | 2019年12月 | 1日 - 2022年 7月31日陸上自衛隊教育訓練研究本部研究員 | 東北方面総監部人事部厚生課長 |
12 | 松浦高裕 | 2022年 | 8月 1日 - 2023年12月21日北部方面総監部人事部援護業務課長 | 近畿中部防衛局防衛補佐官 |
13 | 小丸隆宏 | 2023年12月22日 - | 陸上幕僚監部防衛部防衛課 |
出典
編集- ^ a b c d e f g h i 特集!第12ヘリコプター隊 (PDF) - 北関東防衛局広報 第88号
- ^ a b c 【国民の自衛官 横顔】(7)陸上自衛隊第12旅団 第12ヘリコプター隊 役立った高地・積雪訓練 - 産経ニュース(2015年10月6日)
- ^ 第13回「国民の自衛官」表彰について - 防衛省・自衛隊
- ^ “陸自隊員6人、巻き込まれ救助 骨折者も 草津の雪崩”. 朝日新聞デジタル. (2018年1月23日). オリジナルの2018年1月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ “草津白根山噴火・雪崩 1人死亡11人けが”. NHKニュース. (2018年1月23日). オリジナルの2018年1月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 草津白根山における噴火に伴う人命救助等に係る災害派遣について(最終報) - 防衛省(2018年1月23日)
- ^ “足利の山林火災 鎮火見通せず 北関東道が一部通行止めに”. 上毛新聞 (2021年2月25日). 2021年2月24日閲覧。