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日本では主要マスコミが[[国際連合広報センター]]による「世界中の報道機関とエンターテインメント企業に対し、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促す」ことを目的とした「'''SDGメディア・コンパクト'''」に参加している<ref name=":8" />。SDGsを理由に推進されているモノとして、[[太陽光発電]]、[[昆虫食]]などがある<ref name=":6">{{Cite web|和書|title=「コオロギ給食」への批判が珍しく納得できる理由 昆虫だけでなく多岐にわたる“苦情の成分"(東洋経済オンライン) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/ca52d27d2f9de8dd2c6fc242a21678da80b10de0 |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-03-03 |language=ja}}</ref><ref name=":8" /><ref name=":7" />。マスコミでSDGsが大きく取り上げられているが、[[視聴率]]は取れていない<ref name=":2">{{Cite web|和書|title=SDGsに忙殺されるテレビ局スタッフ「どこが持続可能なのか」とぼやく |url=https://www.news-postseven.com/archives/20220124_1721250.html?DETAIL |website=NEWSポストセブン |access-date=2022-08-24 |language=ja}}</ref>。SDGs関連の中でも「食糧問題の解決に期待されている」との理由でコオロギを |
日本では主要マスコミが[[国際連合広報センター]]による「世界中の報道機関とエンターテインメント企業に対し、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促す」ことを目的とした「'''SDGメディア・コンパクト'''」に参加している<ref name=":8" />。SDGsを理由に推進されているモノとして、[[太陽光発電]]、[[昆虫食]]などがある<ref name=":6">{{Cite web|和書|title=「コオロギ給食」への批判が珍しく納得できる理由 昆虫だけでなく多岐にわたる“苦情の成分"(東洋経済オンライン) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/ca52d27d2f9de8dd2c6fc242a21678da80b10de0 |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-03-03 |language=ja}}</ref><ref name=":8" /><ref name=":7" />。マスコミでSDGsが大きく取り上げられているが、[[視聴率]]は取れていない<ref name=":2">{{Cite web|和書|title=SDGsに忙殺されるテレビ局スタッフ「どこが持続可能なのか」とぼやく |url=https://www.news-postseven.com/archives/20220124_1721250.html?DETAIL |website=NEWSポストセブン |access-date=2022-08-24 |language=ja}}</ref>。SDGs関連の中でも「食糧問題の解決に期待されている」との理由でコオロギ食を高校生の給食メニューの1品として提供する<ref group="注">当該校ではコオロギパウダーを用いたコロッケを一日のみ提供していた。コオロギパウダーには[[甲殻類]]のアレルギー保有者に反応しやすい[[アレルゲン]]を有するため、事前説明があり、生徒の摂食は個人の選択に委ねられていた。</ref><ref>{{Cite web |url=https://times.abema.tv/articles/-/10074519?page=1 |title=「コオロギ食」なぜ炎上 “給食提供”は早すぎた? 専門家「被害者はいないのに…」 |publisher =株式会社AbemaTV |date=2023-04-08 |accessdate=2024-03-12}}</ref>といった昆虫食の推進には一部にて大きな反発と批判が起きている<ref name=":6" /><ref name=":7">{{Cite web|和書|title=日本中に蔓延する“SDGs疲れ”、美しい地球のための「努力」がもたらす「不都合な真実」(デイリー新潮) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/d7f3daac158f2eff537a2a68be17affa34000a2d |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-03-03 |language=ja}}</ref>。2021年にはには紙ストロー、袋有料化、サステイナブルマウントなどへの反発が見受けられた<ref>{{Cite web|和書|title=若者の“サステナブル疲れ”に若新雄純氏「人間の尽きない欲望の持続可能性を考えるべき」 {{!}} 国内 |url=https://times.abema.tv/articles/-/8671075 |website=ABEMA TIMES |access-date=2023-03-03 |first=ABEMA TIMES |last=編集部}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=Z世代に広がる「サステナブル疲れ」……就活にもSDGs講座、友人同士でマウンティング |url=https://www.businessinsider.jp/post-239519 |website=BUSINESS INSIDER JAPAN |date=2021-08-05 |access-date=2023-03-03 |language=ja |first=牧島 |last=夢加}}</ref>。2023年にはSDGsを理由としたコオロギ食推進への反発、SDGsの【7】と【13】のために「オール電化」にしていたことによる電気代高騰などから「SDGs疲れ」が日本に蔓延している風潮が指摘されている<ref name=":7" />。 |
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===中小企業=== |
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2024年3月11日 (月) 23:23時点における版
英語: Sustainable Development Goals、略称: (エスディージーズ))は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標である[1]。その下に、169の達成基準と232の指標が決められている[2][3]。
(じぞくかのうなかいはつもくひょう、ミレニアム開発目標 (MDGs: Millennium Development Goals) が2015年に終了することに伴い、2015年9月25日の国連総会で、『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』(Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development、または単に2030 Agendaとも)が採択された[4]。これは、持続可能な開発のために必要不可欠な、向こう15年間の新たな行動計画である。その中で、2030年までに達成するべき持続可能な開発目標 (SDGs) として17の世界的目標と169の達成基準が示された[1][5]。
17の目標
SDGsは、以下の17の目標から構成されている[7][8][9][10]。その他、169項目など全文はウィキソースの「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を参照。
- ■ 貧困をなくそう (英: No Poverty)
- 「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」
- ■ 飢餓をゼロに (英: Zero Hunger)
- ■ すべての人に健康と福祉を (英: Good Health and Well-Being)
- ■ 質の高い教育をみんなに (英: Quality Education)
- ■ ジェンダー平等を実現しよう (英: Gender Equality)
- ■ 安全な水とトイレを世界中に (英: Clean Water and Sanitation)
- 「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」
- ■ エネルギーをみんなに、そしてクリーンに (英: Affordable and Clean Energy)
- 「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」
- ■ 働きがいも経済成長も (英: Decent Work and Economic Growth)
- ■ 産業と技術革新の基盤をつくろう (英: Industry, Innovation and Infrastructure)
- ■ 人や国の不平等をなくそう (英: Reduced Inequalities)
- 「各国内及び各国間の不平等を是正する」
- ■ 住み続けられるまちづくりを (英: Sustainable Cities and Communities)
- 「包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現する」
- ■ つくる責任 つかう責任 (英: Responsible Consumption and Production)
- ■ 気候変動に具体的な対策を (英: Climate Action)
- ■ 海の豊かさを守ろう (英: Life Below Water)
- 「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」
- ■ 陸の豊かさも守ろう (英: Life on Land)
- ■ 平和と公正をすべての人に (英: Peace, Justice and Strong Institutions)
- 「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」
- ■ パートナーシップで目標を達成しよう (英: Partnerships for the Goals)
- 「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」[11]
進捗状況
- 2017年7月 - 国際連合の事務総長であるアントニオ・グテーレスは、SDGsに掲げられている多くの分野の前進が2030年までに達成できるペースをはるかに下回っているとし、前進を加速すべく取り組みを強化する必要があるとする国連報告書を発表した[12]。
- 2019年5月 - 国際連合事務総長のアントニオ・グテーレスは、経済社会理事会ECOSOCに提出する「国連持続可能な開発目標SDGs進捗報告書」を公表する。首脳レベルのSDGs進捗状況は4年に1度の発表であるため、2015年に採択されてから初の報告として注目を集める。目標1から17まで各々の課題が発表されたが、全体的に目標達成に至らず、掲げる目標の達成までに課題が山積みしている[13]。
- 2020年9月 - 国際連合副事務総長のアミナ・モハメドは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が原因で、貧困撲滅を目指す目標1の取り組みが大幅に減退している、と危機感を表明した[14]。国際連合開発計画(UNDP)は、SDGsの根幹をなす目標1の達成はますます困難になったと認識を示している[15]。
日本の状況
日本では主要マスコミが国際連合広報センターによる「世界中の報道機関とエンターテインメント企業に対し、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促す」ことを目的とした「SDGメディア・コンパクト」に参加している[16]。SDGsを理由に推進されているモノとして、太陽光発電、昆虫食などがある[17][16][18]。マスコミでSDGsが大きく取り上げられているが、視聴率は取れていない[19]。SDGs関連の中でも「食糧問題の解決に期待されている」との理由でコオロギ食を高校生の給食メニューの1品として提供する[注 1][20]といった昆虫食の推進には一部にて大きな反発と批判が起きている[17][18]。2021年にはには紙ストロー、袋有料化、サステイナブルマウントなどへの反発が見受けられた[21][22]。2023年にはSDGsを理由としたコオロギ食推進への反発、SDGsの【7】と【13】のために「オール電化」にしていたことによる電気代高騰などから「SDGs疲れ」が日本に蔓延している風潮が指摘されている[18]。
中小企業
中小企業基盤整備機構の調査によると、企業の約99.7%を占める中小企業の内3割がSDGsへ取り組んでいる、取り組む予定があると回答している[16]。
日本政府
2015年のSDGs採択以降、日本は企業が積極的に経営に導入するなど[23]、多様な主体で取り組んでいる。政府も実施に向けて国内の基盤整備を推進してきた。
日本政府は、SDGsに係る施策の実施について、全国務大臣を構成員とする「持続可能な開発目標 (SDGs) 推進本部」を設置した。本部は2016年12月22日に「持続可能な開発目標 (SDGs) 実施指針」を決定し、優先課題として、2030アジェンダが掲げる5つのPである、People(人間)、Planet(地球)、Prosperity(繁栄)、Peace(平和)、Partnership(パートナーシップ)に対応した8項目が示している。2019年12月の第8回推進本部会合で、2020年のSDGs推進のための具体的対策法を取りまとめた「SDGsアクションプラン2020」を決定した。
- People(人間)
- 1. あらゆる人々の活躍の推進
- 関連する目標:1(貧困)、4(教育) 、5(ジェンダー)、8(経済成長と雇用)、10(格差) 、12(持続可能な生産と消費)
- 2. 健康・長寿の達成
- 関連する目標:3(保健)等
- Prosperity(繁栄)
- 3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術革新
- 4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
- 関連する目標:2(食料)、6(水と衛生)、9(インフラ、産業化、技術革新)、11(持続可能な都市、人間居住)
- Planet(地球)
- 5. 省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会
- 関連する目標:7(エネルギー)、12(持続可能な生産と消費)、13(気候変動)
- 6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
- 関連する目標:2(食料)、3(保健)、14(海洋)、15(生物多様性)
- Peace(平和)
- 7. 平和と安全・安心社会の実現
- 関連する目標:16(平和)
- Partnership(パートナーシップ)
- 8. SDGs実施推進の体制と手段
- 関連する目標:17(実施手段)
2020年7月9日、SDGsのより一層の認知拡大・行動の促進を行うため、ジャパンSDGsアクション推進協議会[24]が発足し、外務省、環境省、経産省、神奈川県など官公庁のほか経団連、慶應義塾大学SFC研究所 X.SDG Lab.など官民一体の15団体が参加した。SDGsアクションに取り組む人を「SDGs People」とし、女優で創作アーティストののんが第一号となった。今後、他のメンバーとともに、SNSなどを通じてSDGs活動の発信に取り組んでいく。会長を務める慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授の蟹江憲史氏。
SDGs未来都市
SDGs未来都市とは、自治体がSDGsの達成に向けた取り組み・提案を行い、国に選定されたものである。SDGs未来都市の取り組みについて、国の支援を得ながらモデルとして普及展開を図り、「持続可能なまちづくり」の実現を図っていくことを目的とする。
内閣府は地方創生に取り組んでおり、SDGsの理念が「政策の全体最適化、地域課題解決の加速化という相乗効果が期待できる」とし、「地方創生SDGs」を推進している[25]。SDGs未来都市はその取り組みの一つである。
SDGs未来都市はSDGsに積極的に取り組んでいる都市・地域の中で、特に経済・社会・環境・脱炭素化に関する取組(2021年追加)の四つの側面の「統合的取組による相乗効果、新しい価値の創出を通して、持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市・地域」が選定されている[26]。2022年現在、154都市(155自治体)が選出されている[27]。また、環境モデル都市、環境未来都市事業との関連性が強く、2018年に選出された 29都市のうち 10都市が環境モデル都市、環境未来都市事業のいずれかにも選出されている[28]。
SDGs先進都市
SDGs先進都市とは、SDGsにある17の目標すべてに関わる市民活動が活発であることを指している。代表例として、ドイツのフライブルク市がある[29]。
2018年6月15日に、当時の内閣総理大臣の安倍晋三のSDGs推進本部会合における指示を踏まえ公募した結果地方創世分野における日本の「SDGsモデル」を構築していくため、自治体によるSDGsの達成に向けた優れた取り組みを提案する29都市を「SDGs未来都市」として選定した[30]。
自治体SDGsモデル事業選定
SDGs未来都市のうち、先導的な取組を自治体SDGsモデル事業として選定している。自治体SDGsモデル事業は、以下の3点を満たすものである[30]。
- 経済・社会・環境の三側面の統合的取組による相乗効果の創出
- 自律的好循環の構築
- 多様なステークホルダーとの連携
各組織・企業によるSDGsの取組
この節の出典は、Wikipedia:信頼できる情報源に合致していないおそれがあります。特に独立した第三者情報源の不足との指摘を受けています。 |
省庁 | 取り組み |
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経済産業省 |
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外務省など |
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消費者庁 |
→詳細は「エシカル」を参照
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農林水産省 |
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地方自治体 | 取り組み |
神奈川県 |
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埼玉県 |
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富山市 |
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団体 | 取り組み |
運輸デジタルビジネス協議会 |
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岡山大学 |
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関西SDGsプラットフォーム | |
千葉大学、京葉銀行 |
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東京オリンピック・パラリンピック組織委員会 |
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日本科学未来館 |
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日本経団連 |
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日本ユネスコ協会連盟 |
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NHK |
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企業 | 取り組み |
アルビス[49] |
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共同ピーアール総合研究所 | |
スターバックスコーヒー |
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電通 |
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中部電力ミライズ |
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東京書籍、積水化学、日経BP |
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東急電鉄 | |
阪急阪神HD | |
静鉄グループ |
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三菱UFJ銀行 |
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ユーグレナ | |
ユニクロ |
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吉本興業 |
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批判
競合する多すぎる達成基準
2015年のエコノミストによる解説では、SDGsの169の達成基準は多すぎると主張し、ミレニアム開発目標(MDGs)と比較して、「無秩序で、誤った考え」で「乱雑」だと述べている[58]。 そしてこうした達成基準は地域の文脈を無視しているとした。他の16の目標はすべてSDG1「貧困を終わらせる」の達成を条件としている可能性があり、これは非常に短い目標リストのトップにあるべきものであったという。
17のSDGsの間のトレードオフは、持続可能性のための難しい障壁であり、その実現を妨げる可能性がある[59]:66 。例えば、次に示すものはトレードオフを考える上で難しいものである。「飢餓の撲滅は、環境の持続可能性とどのように調和させることができるのか? (SDGsターゲット2.3、15.2) 経済成長はどのように環境の持続可能性と両立させることができるのか? (SDGsターゲット9.2、9.4) 所得の不平等と経済成長はどのように折り合いをつけることができるのか?(SDGsターゲット10.1、8.1)」[60]。
環境の持続可能性に弱い
学者たちは、持続可能な開発目標について、惑星、人々、繁栄の問題はすべて一つの地球システムの一部であり、プラネタリー・バウンダリーを保護することは手段であってはならず、それ自体が目的であるべきだと認識されていないと批判している[62]:147。SDGsの主要な懸念は、経済成長が持続可能な開発のすべての柱を達成するための基盤であるという考えに固執したままであることである[62]:147。こうしたSDGsの環境保護への舵取りに対する疑念は、その舵取り能力からだけでなく、そもそも環境保護を優先していないように見えることから生じている[62]:144。
包括的な環境目標や「惑星的」目標は存在せず、その代わりに環境保護は、目標13、14、15にある環境に焦点を当てたSDGs群に委ねられている。これらの明確な環境目標を含めることで環境保護が進むかもしれないが、目標13、14、15は環境問題(気候、土地、海洋)を区分けする可能性があるという意見もある。これらの目標は、プラネタリー・バウンダリーを追求するものではないが、気候、陸地、海洋などの環境面を保護することについて、その重要性は認識されている[62]:144。
SDGsは、単に現状を維持するだけで、野心的な開発アジェンダを実現するには至らない可能性がある。現在の現状は、「人間の福利と環境の持続可能性を切り離し、ガバナンスを変え、トレードオフ、貧困と環境悪化の根本原因、社会正義の問題に注意を払うことに失敗している」と言われている[63]。
3%の世界経済成長の継続(目標8)は、生態系の持続可能性の目標とは両立しない可能性がある。なぜなら、世界の生態系経済の絶対的なデカップリングの必要率は、過去にどの国も達成したことがないほど高いからである[64]。人類学者は、GDPの総成長を目標とする代わりに、目標は一人当たりの資源使用量を目標とし、「高所得国での大幅な削減」を提案した[64]。
SDGsの中では、環境制約や惑星の境界線が十分に表現されていない。例えば、現在のSDGsの構成は、環境の持続可能性とSDGsの間に負の相関関係をもたらしている[65]。つまり、SDGsの環境持続可能性の側面が過小評価されているため、すべての人、特に低所得者層の資源確保が危険にさらされている。これは、SDGsそのものを批判しているのではなく、その環境条件がまだ弱いという認識に基づいた批判である[64]。
SDGsは、生物多様性を保護することができないという批判がある。持続可能な開発の名の下に、意図せずして環境破壊を促進しかねない可能性がある[66][67]。
科学者たちは、SDGsにおける環境の持続可能性に関する弱点に対処する方法をいくつか提案している。
- 持続可能な開発を支える環境と社会の結合システムの本質をよりよく捉え、調整とシステム変換の指針とするために、必要不可欠な変数のモニタリングをする[68]。
- 様々な場所(例:沿岸の河川デルタ、山岳地帯)における生物物理システムの背景にもっと注意を払う[69][70]。
- 最終的にSDGsの成否を左右しうる、空間(例:グローバル化を通じて)と時間(例:将来の世代に影響を与える)のスケールを超えたフィードバックのより良い理解をする[71]。
倫理的な方向性
SDGsの倫理的方向性には懸念がある。SDGsの焦点は依然として「資源の成長と利用......そして(それは)集団的視点ではなく個人的視点から出発する」ようであり、「開発に関する(西洋)近代に見られた強い概念、つまり、環境に対する人間の主権(人間中心主義)、個人主義、競争、自由(義務ではなく権利)、自己利益、集団的福祉につながる市場への信頼、(法制度によって保護される)私有所有権、能力に基づく報酬、物質主義、価値の数量化、労働の道具化といった概念に支えられている」ものであると言える[62]:146。
質的な指標の追跡の難しさ
SDGsの目標に関して、一般的に「実施手段」と成果を結びつける根拠が弱い[72]。 「実施手段」に関する目標(例えば、ターゲット6.aのように文字で示されるもの)は、概念化が不完全で、策定が一貫しておらず、その大部分が定性的な指標の追跡は困難であると考えられている[72]。
インパクトの達成の難しさ
これまでのSDGsのインパクト、特に惑星の完全性を守るというアレーに欠けているところがある[62]:161 。目標の数,目標の枠組みの構造(例えば非階層的構造)、目標間の一貫性、目標の具体性あるいは測定可能性、本文で使用されている言語、そして、その中核的な方向性として新自由主義経済開発指向の持続可能な開発への依存など、いくつかの設計要素は当初から欠陥があったかもしれない[62]:161。
SDGsが持続可能な経済発展を重視していることは、経済成長の限界と貧富の差の「発展的」な除去の両方を必要とする、惑星の完全性と正義にとって必然的に有害であると主張する者もいる[62]:145。
SDGsによるイメージウォッシング
実態がないのにSDGsに熱心であることを発信している、実態以上にSDGsに熱心であることを発信している、取り組み自体は本当だが不都合な事実を伝えず良い情報のみを伝達している、といった企業に、「SDGsウォッシング(SDGsウォッシュ)」だという批判が起きることがある。SDGsウォッシングが懸念されている例には以下のものがある。
- メガバンクの三菱UFJ・三井住友フィナンシャルグループ・みずほ銀行は2019年、脱炭素社会に向けて気候変動問題に取り組む意思を明確にした。しかし進行中の石炭火力発電事業への融資は継続していた。これについて、「パリ協定の目標達成に必要とされる急速な段階的停止を行う兆候は全く見られない」と国際環境NGO5団体から批判された[73]。
- ユニクロを運営するファーストリテイリングは、「環境に負荷をかけない服づくり」を発信してきた[74]。しかし2021年、中国・新疆ウイグル自治区で生産された綿を服の生産過程で使用してきたことで、サプライチェーンを通じてウイグル人強制労働への関与をなくすための調査が不十分である、と国際人権NGOヒューマン・ライツ・ナウおよび日本ウイグル協会から指摘された[75]。この指摘について、柳井正会長は決算記者会見で「政治問題なのでノーコメント」と述べた[76]。フランス検察は同仏法人を「人道に対する罪の隠匿」で捜査した[77]。
- 日本のマスメディアによる推進活動への批判がある。意識高い系#SDGsを参照。
脚注
注釈
出典
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- ^ “広がる「思いやりの心」 身近なSDGsに挑戦を より良い未来をつくるアクション”. 産経ニュース (2021年11月30日). 2021年11月30日閲覧。
- ^ 及川 2021, p. 8.
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- ^ 報告書『ウイグル自治区における強制労働と日系企業の関係性及びその責任 』 2021年4月8日
- ^ ウイグル問題は政治的であり、ノーコメント=柳井ファーストリテ社長 ロイター通信2021年4月8日
- ^ 仏当局、ユニクロなどを捜査 ウイグル人強制労働問題で AFP通信2021年7月2日
参考文献
- 及川幸彦(編集)/大牟田市SDGs・ESD推進委員会『理論と実践でわかる! SDGs/ESD―持続可能な社会を目指すユネスコスクールの取組』明治図書出版、2021年4月10日。ISBN 978-4183771179。
関連項目
- 国際連合(国連)
- 持続可能な開発のための教育(ESD)
- 持続可能な開発のための文化
- エコロジカル・フットプリント
- 循環経済
- プラネタリー・バウンダリー
- きかんしゃトーマス - イギリスの子供向けテレビシリーズ。2018年より国連と共同制作となり、17の目標の内5つの目標をストーリーに取り入れた。
- アジェンダ21
- ミレニアム開発目標(MDGs) - 2015年までの達成を目指していた国連の開発目標で、本開発目標にも継承されている。
- 持続可能性
- サスティナブル (ウィクショナリー)
外部リンク
- 持続可能な開発目標 - 国連広報センター
- 日本政府
- 持続可能な開発目標 (SDGs) 推進本部 - 首相官邸政策会議
- JAPAN SDGs Action Platform - 外務省
- 地方創生 SDGs - 内閣府
- 学生向け解説
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