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オオゴマダラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オオゴマダラ
オオゴマダラ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
上科 : アゲハチョウ上科 Papilionoidea
: タテハチョウ科 Nymphalidae
亜科 : マダラチョウ亜科 Danainae
: オオゴマダラ属 Idea
: オオゴマダラ I. Leuconoe
学名
Idea leuconoe Erichson, 1834
和名
オオゴマダラ
英名
Tree Nymph Butterfly
Rice Paper butterfly

オオゴマダラ(大胡麻斑・学名 Idea leuconoe)は、チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科マダラチョウ亜科に分類されるチョウの一種。白黒のまだら模様が特徴的な大型のマダラチョウで、金色になることでも知られている。

特徴

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前翅長7センチメートル前後、開長は13センチメートルに及び、日本のチョウとしては最大級である[1]。翅は白地に黒い放射状の筋と斑点がある。ゆっくりと羽ばたきフワフワと滑空するような飛び方をするため、「南国の貴婦人」と呼ばれる[2][3]。また、飛び方と羽の模様が新聞紙が風に舞っているように見えることから、「新聞の蝶」と呼ばれることもある[2][4]

オスの成虫の腹部先端には、ヘアペンシルというブラシのような器官がある。これはマダラチョウ類に共通する器官で、フェロモンを分泌し、メスを引きつける働きがある。メスを見つけたオスはヘアペンシルを広げてメスの周囲を飛び回る。オスは人の頭等に群がることがあるが、これは整髪料や香水にフェロモンの原料となるパラベンが含まれるためである[5]

狭い場所でも生活環が成立するため飼育しやすいチョウの一つで、各地の動物園などでもよく飼育される[6]沖縄県の県蝶[7]うるま市[8]那覇市[9]宮古島市[10]石垣市[2][11]の市の蝶にも指定されている。

分布

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オオゴマダラの分布

東南アジアに広く分布し、日本では喜界島与論島以南の南西諸島に分布する[1]

生活史

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分布域では平地から山地まで生息し、季節を問わず繁殖するので1年中見ることができる。成虫の期間も長く、羽化してから数ヶ月、条件がよければ半年ほど生き続ける[2]

幼虫

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幼虫は白黒の縞模様で、体側に赤い斑点が一列に並ぶ。頭部と尾部に黒く細長い角がはえている。終齢幼虫は体長7センチメートルほどになる。

他のマダラチョウの仲間はそのほとんどがキョウチクトウ科の植物(中でも特に旧分類ではガガイモ科とされていた植物)を食草としているが、オオゴマダラの幼虫はキョウチクトウ科ホウライカガミ及び旧ガガイモ科のホウライイケマの葉を食べる。いずれもアルカロイドを含んでいて、オオゴマダラの幼虫はその葉を食べることでを体内にため込み、他の動物から捕食されることを防いでいる。この毒はや成虫にも残っており[10][2]、目立つ体色は毒をもっていることを周囲に知らせる警戒色といえる。

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大きさは4-5センチメートルぐらい。尾部の1点で枝や葉の裏などに逆さにぶら下がる。金色に見えるが、これは構造色である[12]。羽化までの期間は夏は1週間、冬は1ヶ月ほどである。

脚注

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  1. ^ a b 竹谷俊之 (2019年7月6日). “白と黒のまだら模様のチョウ さなぎは金色でピッカピカ”. 朝日新聞デジタル. オリジナルの2019年7月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190706023324/https://www.asahi.com/articles/ASM6W6783M6WUEHF01B.html 
  2. ^ a b c d e 63.石垣島の日本一・世界一その6 オオゴマダラ(大胡麻斑蝶)”. 石垣島の風景と歴史(周遊の旅・東回り編). 石垣市. 2015年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月3日閲覧。
  3. ^ “「南国の貴婦人」オオゴマダラ、優雅に舞う 日本最大級のチョウ、次々に羽化”. 京都新聞. (2020年5月7日). オリジナルの2020年5月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200510184429/https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/236797 
  4. ^ オオゴマダラとモンシロチョウ”. 渡嘉敷村. 2016年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月3日閲覧。
  5. ^ オオゴマダラ”. いきもの図鑑. ZOO CAN DREAM PROJECT. 2016年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月3日閲覧。
  6. ^ “オオゴマダラ 金色のサナギから飛び立つ”. 西日本新聞. (2015年12月15日). オリジナルの2019年12月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191222015315/https://www.nishinippon.co.jp/item/n/401326/ 
  7. ^ “日本最大のチョウが沖縄のシンボルに 県蝶制定は全国2例目”. 沖縄タイムス. (2020年4月2日). オリジナルの2020年4月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200404164927/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/554967 
  8. ^ うるまの意味/市民憲章/市章/花木等/市歌/位置/面積”. うるま市. 2019年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月3日閲覧。
  9. ^ 市のシンボル・市歌・憲章”. 那覇市. 2021年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月3日閲覧。
  10. ^ a b 宮古島市の市木・市花等”. 宮古島市. 2019年7月14日閲覧。
  11. ^ “県内初の「市星」制定へ 石垣市”. 八重山毎日新聞. (2018年12月7日). http://www.y-mainichi.co.jp/news/34602/ 
  12. ^ 木下修一, 吉岡伸也, 藤井康裕「自然界の構造色の仕組み」『色材協会誌』第75巻第10号、色材協会、2002年、493-499頁。