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コバンザメ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コバンザメ科
クロコバン
コバンザメ Echeneis naucrates
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: コバンザメ科 Echeneidae
学名
Echeneidae
和名
コバンザメ科[1]

コバンザメ科 (Echeneidae) は、条鰭綱スズキ目(2016年発行のFishes of the World 5th EditionではCarangiformes目)に分類される科。コバンザメは「サメ」の名がついてはいるが、硬骨魚類(サメは軟骨魚類)である。コバンイタダキという別称を用いる図鑑や文献もある。一般には食用にしないが、食用とする地方もある。

分布

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  • 外洋性
  • 全世界の暖かい海に生息。

特徴

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  • 頭部の背面に小判型の大きな吸盤があり、20本くらいの板状の横縞(隔壁)がある。
  • 大型のサメ類やカジキ類、ウミガメ、クジラなどに吸い付き、えさのおこぼれや寄生虫、排泄物を食べて暮らす(片利共生[2]

分類

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以下の分類・英名は、Fishbase(2019)に従う[3]。和名は本村(2020)に従う[1]

系統

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コバンザメ科はスギ科+シイラ科姉妹群となる。内部の系統に関しては、分子系統解析から次のような系統樹が得られている[4]

コバンザメ科
Echeneinae

スジコバン

コバンザメ

Echeneis neucratoides

Remorinae

オオコバン

シロコバン

ヒシコバン

クロコバン

ナガコバン

コバンザメの習性を利用する漁法

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コバンザメはウミガメ漁に利用されている。生きたまま捕らえたコバンザメの尾にロープを結びつけ、ウミガメの近くで放つと、コバンザメは一直線にウミガメに向かっていき腹にくっつく。ロープをたぐればコバンザメと一緒にウミガメも引き寄せられる。小型のものであれば直接捕獲し、大型のものであれば最終的にでしとめる。

この漁はインド洋全体、特にザンビアモザンビーク周辺の東アフリカ沿岸や[5]ケープタウントレス海峡近くの北オーストラリアで記録されている[6][7]

類似した漁法は日本アメリカでも行われている。西洋の文献で最も初期に「漁する魚」が記述されたのは、クリストファー・コロンブスの2度目の航海記録である。一方、レオ・ウィーナーは、コロンブスがアメリカをインドと勘違いしていたことから、アメリカに関して書かれた記述は怪しく、東インドについて書かれた記述からコロンブスが作り出したものであろうと考察している[8]

日本語における蔑称

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  • 自らに比してより大きな者に吸着ないし身を寄せて外敵から自身を守り、しばしばその食べ残しにありつく、というコバンザメの習性を人間社会に当てはめ、人間界において勢力・人気のある者に擦り寄って、その声望を借りたり、「おこぼれ」に与ったりすると看做される人物に対して、軽蔑の意を込めた比喩表現としても用いられる。同様の表現として「金魚のふん」「腰巾着」「虎の威を借る狐」などが挙げられる。
  • 大規模商業施設や遊園地、公共施設など、多数の人を集める施設の近所で営業し、客を誘導する商法を「コバンザメ商法」と呼ぶこともある。

参考文献

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  1. ^ a b 本村浩之 『日本産魚類全種目録 これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名』、鹿児島大学総合研究博物館、2020年、87頁。
  2. ^ ただし、寄生虫も食べることに加えしばしばこのコバンザメが、吸い付いた相手の総排泄口付近に入り込んでいる光景が見受けられることがあり、寄生及び相利共生との境界は実に曖昧である。
  3. ^ Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2019. Echeneidae. FishBase. World Wide Web electronic publication. https://www.fishbase.org, version (12/2019).
  4. ^ Gray, Kurtis N and McDowell, Jan R and Collette, Bruce B and Graves, John E (2009). “A molecular phylogeny of the remoras and their relatives”. Bulletin of Marine Science (University of Miami-Rosenstiel School of Marine and Atmospheric Science) 84 (2): 183-197. http://si-pddr.si.edu/bitstream/10088/7460/1/VZ_Gray_2.pdf. 
  5. ^ E. W. Gudger (1919). “On the Use of the Sucking-Fish for Catching Fish and Turtles: Studies in Echeneis or Remora, II., Part 1.”. The American Naturalist 53 (627): 289-311. http://links.jstor.org/sici?sici=0003-0147%28191907%2F08%2953%3A627%3C289%3AOTUOTS%3E2.0.CO%3B2-T. 
  6. ^ E. W. Gudger (1919). “On the Use of the Sucking-Fish for Catching Fish and Turtles: Studies in Echeneis or Remora, II., Part 2”. The American Naturalist 53 (628): 446-467. http://links.jstor.org/sici?sici=0003-0147%28191909%2F10%2953%3A628%3C446%3AOTUOTS%3E2.0.CO%3B2-P. 
  7. ^
  8. ^ Leo Wiener (1921). “Once more the sucking-fish”. The American Naturalist 55 (637): 165-174. http://links.jstor.org/sici?sici=0003-0147%28192103%2F04%2955%3A637%3C165%3AOMTS%3E2.0.CO%3B2-V.