シオン (植物)
シオン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Aster tataricus L.f. (1782)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シオン オニノシコグサ オモイグサ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Tatarian aster |
シオン(紫菀、学名: Aster tataricus)は、キク科シオン属の多年草。別名はオニノシコグサ(鬼の醜草)、ジュウゴヤソウ(十五夜草)[5]、オモイグサ(思い草)。
名称
[編集]和名シオンは、漢名の紫菀の音読みから名前が付けられており[6]、ジュウゴヤソウの別名もある[7]。中国植物名も紫菀(しおん)という[5]。
分布
[編集]中国北部、朝鮮半島、シベリアの原産といわれる[7]。 日本には本州の中国地方と九州の山間部に分布する[6]。山地の湿った草原に生える[5]。
花を観賞するためによく栽培されていて、庭や鉢植えなどでよく見られるほか、一部は野生化していて目立つ[7]。古くは薬用植物として中国・朝鮮から日本に伝えられたとされ、平安時代から観賞用に栽培されている[5][6]。
形態・生態
[編集]多年草[5]。草丈は高く、1.5 - 2メートル (m) くらいまでになる[7]。葉や茎はまばらに毛がついていて、触るとざらつく[6]。
開花期は夏から秋(8 - 10月)で、茎は上部で枝分かれして、淡紫色の頭花を散房状に多数咲かせる[6]。花径は3 - 3.5センチメートル (cm) 。花は周囲に花弁のような薄紫色の舌状花が一重に並び、中央は黄色の筒状花の花を咲かせる[7]。
保全状況評価
[編集]利用
[編集]根および根茎には、精油成分としてラチノフィロール、ラチノフィロールエステル、アネトールなどを含み、サポニンの一種であるシオンサポニンや、クエルセチン、シオノンを含む[7]。サポニンは配糖体の一種で、口に含むとえぐ味があり、水に溶けやすくてかき混ぜると細かく泡立って消えにくいものである[7]。このサポニンが、痰を切りやすくする去痰作用があるほか、血液を溶かす溶血作用がある[7]。ただし、乱用すると内臓の内粘膜を刺激してただれを起こすこともあるので、乱用には注意を要する[7]。
地上部の茎葉が枯れる10 - 11月ころに、根を掘り上げて土を取り除き、2つから3つの芽を付けて株を割って、翌年植栽する株は堆肥や腐葉土を混ぜた土に植え付ける[7]。同様に掘り上げた根を水洗いして長さ2センチメートルほどに刻み、日干ししたものが生薬になり、植物名と同じく紫苑(しおん)とよんでいる[7]。杏蘇散(きょうそさん)などの漢方方剤に使われる。
民間療法として、痰きりや咳止めに、紫苑1日量3 - 10グラムを約400 - 600 ccの水で半量になるまでとろ火で煮詰めた煎じ汁を、食間3回に分けて分服する利用法が知られている[5][7]。体を温める薬草として知られ、身体が冷えると咳がひどくなり、うすい痰が出る人に良いといわれる[5]。反対に、肺に熱がある人や黄色い痰が出る人、のどが渇く人には禁忌とされている[5]。また、喘息に対しての効果は期待できない[7]。
脚注
[編集]- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aster tataricus L.f. シオン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aster tataricus L.f. var. nakaii (H.Lév. et Vaniot) Kitam. シオン(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aster tataricus L.f. var. hortensis Nakai シオン(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月29日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aster fauriei H.Lév. et Vaniot シオン(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月29日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 貝津好孝 1995, p. 97.
- ^ a b c d e f 主婦と生活社編 2007, p. 125.
- ^ a b c d e f g h i j k l m 田中孝治 1995, p. 87.
- ^ 環境省自然環境局生物多様性センター. “絶滅危惧種情報”. 生物多様性情報システム. 2013年9月15日閲覧。
参考文献
[編集]- 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、97頁。ISBN 4-09-208016-6。
- 主婦と生活社編『野山で見つける草花ガイド』主婦と生活社、2007年5月1日、125頁。ISBN 978-4-391-13425-4。
- 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、87頁。ISBN 4-06-195372-9。
- 平野隆久写真『野に咲く花 : 写真検索』林弥栄監修、門田裕一改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、540頁。ISBN 978-4-635-07019-5。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- "Aster tataricus L. f." (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2013年9月15日閲覧。
- "Aster tataricus L. f." Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2013年9月15日閲覧。
- "Aster tataricus". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- "Aster tataricus" - Encyclopedia of Life
- 環境省自然環境局生物多様性センター. “絶滅危惧種情報(植物)種の詳細情報”. 生物多様性情報システム. 2013年9月15日閲覧。
- 波田善夫. “シオン”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2013年9月15日閲覧。