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シャムラプトル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シャムラプトル
復元画
地質時代
前期白亜紀アプチアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : カルノサウルス類 Carnosauria
上科 : アロサウルス上科 Allosauroidea
階級なし : カルカロドントサウルス類 Carcharodontosauria
: シャムラプトル属 Siamraptor
学名
Siamraptor
Chokchaloemwong et al., 2019
タイプ種
Siamraptor suwati

シャムラプトル学名Siamraptor)は、前期白亜紀アジアに生息したアロサウルス上科に属する獣脚類恐竜[1]。タイプ種シャムラプトル・スワティSiamraptor suwati)のみを含む単型の属である[1]。タイプ種の化石タイ王国ナコーンラチャシーマ県でコラート層群コク・クルアト層から産出しており、属名はタイ王国の旧名に由来し、種小名はSuwat Liptapanlopへの献名である[1]。2007年に初めて化石が発見され、2019年にPLOS ONE誌上で記載・命名された[1]

発見と命名

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人間との大きさ比較

シャムラプトル属のタイプ種シャムラプトル・スワティの化石は、2007年から2009年にかけての福井県立恐竜博物館ナコーンラーチャシーマー・ラーチャパット大学附属珪化木鉱物資源東北調査研究所(通称:コラート化石博物館)との共同調査にて発見・回収された[2]。2007年以降の調査で得られた化石コレクションには大型獣脚類の部分的な頭骨・脊椎・四肢骨が含まれており、その一部は未同定の獣脚類化石としてコラート化石博物館で展示されていた[1]

NRRU-F01020008は下部白亜系アプチアン階のコラート層群コク・クルアト層で発見されており、上角骨・前関節骨・関節骨からなる右側の下顎から構成されている。本種のものとされた他の骨格要素には最低3個体の単離した化石が含まれており、その大半は頭蓋骨と下顎からなり、前肢の末節骨、一連の3個の頸椎、2個の部分的な坐骨、1個の尾椎、2個の胴椎の椎体と1本の神経棘、部分的な脛骨と左の後肢の趾骨を構成要素に含む[2]。これらの化石に基づく両館による共同研究の末、Chokchaloemwong et al. (2019)でタイプ種が記載され、新属新種として命名された[1][2]

属名はタイ王国の旧名「シャム」(siam)とラテン語で「略奪者」を意味するraptorとを組み合わせたものであり、属名全体で「タイの略奪者」を意味する[1]。種小名はコラート化石博物館を支援したSuwat Liptapanlopへの献名である[1][2]

特徴

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Chokchaloemwong et al. (2019)ではシャムラプトルの固有派生形質が記載されている。頬骨の下端は凸状または起伏状でなく直線状をなし、前側の枝が高く眼窩の下に位置する。上角骨は後部に深い楕円形の窪みが存在し、後側の上角孔が他の4個存在する(他の大半の獣脚類では2個)。上角骨と前関節骨との間ではそれに沿って狭い溝が長く走る。関節骨と前関節骨との間の縫合線の切痕は孔により穿たれている。前側の頸椎にはparapophysis(下側の肋骨関節部)に追加の含気孔が存在する。頸椎と後側胴椎には対をなした小型の孔が神経棘の基部に存在する[2]

分類

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シャムラプトルはカルカロドントサウルス類に分類されている[2]。Chokchaloemwong et al. (2019)による系統解析では、シャムラプトルは既知のカルカロドントサウルス類の中でも最も早期に分岐した系統に位置すると結論付けられた[1]。基盤的な属が東南アジアで発見されたことは、ギガノトサウルスに代表されるカルカロドントサウルス類の適応放散を知る上で非常に重要とされている[1]

その後に公開された2024年の研究でシャムラプトルはオリオン統類に属さないテタヌラ類に位置付けられたが[3]、同年のAlpkarakushの研究で再びカルカロドントサウルス類として扱われている[4]

脚注

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j タイで発見された新属新種の大型肉食恐竜について | 恐竜博物館の調査研究| FPDM: 福井県立恐竜博物館”. www.dinosaur.pref.fukui.jp. 福井県立恐竜博物館 (2019年11月18日). 2024年10月21日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Chokchaloemwong, Duangsuda; Hattori, Soki; Cuesta, Elena; Jintasakul, Pratueng; Shibata, Masateru; Azuma, Yoichi (2019-10-09). Liu, Jun. ed. “A new carcharodontosaurian theropod (Dinosauria: Saurischia) from the Lower Cretaceous of Thailand” (英語). PLOS ONE 14 (10): e0222489. doi:10.1371/journal.pone.0222489. ISSN 1932-6203. PMC 6784982. http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0222489. 
  3. ^ Cau, Andrea (2024). “A Unified Framework for Predatory Dinosaur Macroevolution”. Bollettino della Società Paleontologica Italiana 63 (1): 1-19. doi:10.4435/BSPI.2024.08. https://www.paleoitalia.it/wp-content/uploads/2024/04/Cau_2024_BSPI_ONLINE.pdf. 
  4. ^ Rauhut, Oliver W M; Bakirov, Aizek A; Wings, Oliver; Fernandes, Alexandra E; Hübner, Tom R (2024-08-01). “A new theropod dinosaur from the Callovian Balabansai Formation of Kyrgyzstan” (英語). Zoological Journal of the Linnean Society 201 (4). doi:10.1093/zoolinnean/zlae090. ISSN 0024-4082. https://academic.oup.com/zoolinnean/article/doi/10.1093/zoolinnean/zlae090/7736730.