三毒史
『三毒史』 | ||||
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椎名林檎 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル | J-POP | |||
時間 | ||||
レーベル | ユニバーサルミュージック | |||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
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椎名林檎 アルバム 年表 | ||||
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『三毒史』収録のシングル | ||||
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『三毒史』(さんどくし;梵: triviṣa-itihāsa)は、2019年5月27日にユニバーサルミュージックより発売された日本のシンガーソングライター・椎名林檎の6作目のスタジオ・アルバム。
概要
[編集]本作は、アルバムとしてはセルフカバー・アルバム『逆輸入 〜航空局〜』より約1年5か月ぶり、オリジナル・アルバムとしては2014年発表の『日出処』以来約4年半ぶりとなるスタジオ・アルバム[4]、。デビュー21周年の記念日に発売された[5]。
本作には2015年から2018年までに発表され、アルバム未収録だったシングル収録曲7曲と未音源化曲1曲、およびアルバムのために書き下ろした新曲5曲の全13曲を収録[5][6]。本アルバムでは偶数曲に男性アーティストとのデュエット曲が収録されている[7]。楽曲名は5文字で統一され、曲目は7曲目の「TOKYO」を中心にシンメトリーに配置されたデザインになっている。
初回限定盤と通常盤の2形態で発売され、初回限定盤はケース付きのハードカバー・ブック仕様となっている。
評価
[編集]批評
[編集]ロッキング・オンの高橋智樹は、本作は、「総監督・椎名林檎」の精緻かつ大胆なプロデュース能力の結晶でもあり、このアルバムから浮かび上がってくるのは「今この時代に在る混沌と生命の森羅万象を音楽の総合芸術として描き上げ体現しようとする『表現者・椎名林檎』の切実なるアティテュードそのもの」と語った[8]。Real Soundの森朋之は、「さまざまな欲望、葛藤、絶望、怒りといったどうしようもない感情を抱えながら人間の本質を照射し、政治、経済、文化などあらゆる場面において、既存のシステムの底が抜けつつある現代社会を切り取るリリックは、前衛的にして普遍的。ジャズ、ヒップホップ、ギターロック、歌謡、ゴスペルクワイアなどを縦横無尽に駆使したサウンドメイクを含め、2019年という時代を生々しく描き出した一大叙事詩である。」と本作を評価した[9]。
受賞
[編集]年 | 音楽賞 | 結果 | 出典 |
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2020 | 第12回CDショップ大賞 | 入賞 | [10] |
チャート成績
[編集]『三毒史』は、初週57,202枚を売り上げ、Billboard Japan Hot Albums/オリコン週間アルバムランキングにて2位で初登場[1][2]。デジタルセールスでは9,860DLを売り上げて、初週首位を記録した[2]。Billboard Japan年間チャートでは、2019年度35位を記録し、11月に発売したベストアルバム『ニュートンの林檎 〜初めてのベスト盤〜』に続く成績となった[3]。
収録曲
[編集]本作のブックレットには楽曲タイトルと共に英題が併記されている他、歌詞カードには外国語の歌詞[注 1] とその和訳が両方記載されている。
楽曲解説
[編集]- 鶏と蛇と豚(Gate of Living)
- タイトルは「とりとへびとぶた」と読み、三毒を象徴する三種の獣を指す。お経の唱和で始まるが、これを引き立てるために斎藤ネコの「コンバスは入れた方がいい」との意見を却下したという[11]。僧侶役はストロングマシン2号の父、ストロングマシン1号が演じている。また、曲中のスクラッチとサウンドエフェクトはDJ 大自然が担当している。クレジットはされていないが、この楽曲では管弦編曲も椎名が自ら行っている[12]。
- 2019年4月23日より先行配信された[6]。児玉裕一によりミュージック・ビデオも制作され、映像ではAYA SATOが三種の獣と化し、仏教において克服すべき煩悩を意味する“むさぼり”“いかり”“おろかさ”の三毒を表現した[13]。
- 獣ゆく細道(The Narrow Way)
- 椎名林檎と宮本浩次名義で2018年10月2日に配信限定で発売されたデジタル・ダウンロードシングルで、今回が初CD化となる。
- マ・シェリ(EGO-ism)
- 駆け落ち者(Elopers)
- 椎名林檎と櫻井敦司名義で2019年5月2日より先行配信された[6][17]。アルバム発売後5月31日放送の『ミュージックステーション』では櫻井とともに出演し披露した。
- どん底まで(To Rock Bottom)
- 神様、仏様(God, nor Buddha)
- TOKYO(Off-Line)
- 長く短い祭(In Summer, Night)
- 至上の人生(A Life Supreme)
- 2015年2月25日に発売された15枚目のシングルの表題曲。
- シングルバージョンのまま収録されたが、前曲との繋がりにより演奏時間がシングルよりやや短くなっている。
- 急がば回れ(Victims)
- 椎名林檎とヒイズミマサユ機名義の楽曲。
- ジユーダム(JIYU-dom)
- 2016年8月22日に配信限定で発売されたデジタル・ダウンロードシングルで、今回が初CD化となる。
- 「マ・シェリ」と同様、演奏に解散時点での東京事変のメンバー[注 2]が参加している[12]。
- 目抜き通り(The Main Street)
- 椎名林檎とトータス松本名義で2017年4月20日に配信限定で発売されたデジタル・ダウンロードシングルで、今回が初CD化となる。
- シングル版では冒頭の英仏詞部分を椎名が単独で歌唱していたが、本作では椎名とトータス松本で交互に歌唱しており、表記はされていないがアルバム・バージョンで収録された[注 4]。
- あの世の門(Gate of Hades)
楽曲クレジット
[編集]全作詞・作曲・編曲:椎名林檎 (注記を除く)
# | タイトル | 管弦楽編曲 | 時間 |
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1. | 「鶏と蛇と豚」 | ||
2. | 「獣ゆく細道」(椎名林檎と宮本浩次;編曲:笹路正徳) | ||
3. | 「マ・シェリ」 | 斎藤ネコ(管・弦編曲) | |
4. | 「駆け落ち者」(椎名林檎と櫻井敦司) | ||
5. | 「どん底まで」 | ||
6. | 「神様、仏様」(唄・作詞:椎名林檎と向井秀徳) | 村田陽一(管編曲) | |
7. | 「TOKYO」 | ||
8. | 「長く短い祭」(椎名林檎と浮雲) | 村田陽一(管編曲) | |
9. | 「至上の人生」 | ||
10. | 「急がば回れ」(椎名林檎とヒイズミマサユ機) | ||
11. | 「ジユーダム」 | 斎藤ネコ(管・弦・打編曲) | |
12. | 「目抜き通り」(椎名林檎とトータス松本;編曲:斎藤ネコ) | ||
13. | 「あの世の門」 | ||
合計時間: |
演奏
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チャートと売上
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週間[編集]
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年間[編集]
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認定とセールス
[編集]国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
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日本 (RIAJ) | ゴールド[27] | 90,000(フィジカルCD) (オリコン)[28] |
日本 (RIAJ) | — | 18,200(デジタル配信)(オリコン)[29] |
* 認定のみに基づく売上数 |
タイアップ
[編集]楽曲 | タイアップ | 起用年 |
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「獣ゆく細道」 | 日本テレビ系『news zero』テーマ曲 | 2018年 - 2019年 |
「マ・シェリ」 | 資生堂「MA CHERIE」CMソング | 2016年 |
「神様、仏様」 | LGエレクトロニクス・ジャパン「au isai vivid」CMソング(本人出演) | 2015年 |
「長く短い祭」 | 「コカ・コーラ」2015年サマーキャンペーンCMソング | 2015年 |
「至上の人生」 | 日本テレビ系水曜ドラマ『○○妻』主題歌 | 2015年 |
「ジユーダム」 | NHK「ガッテン!」テーマ曲 | 2016年 - 2022年 |
「目抜き通り」 | GINZA SIX オープニングテーマソング | 2017年 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b “B’zが合算アルバムでも1位 椎名林檎と布袋寅泰がTOP3入り”. ORICON NEWS. オリコン (2019年6月5日). 2019年6月6日閲覧。
- ^ a b c “B'zの新アルバム『NEW LOVE』が総合首位獲得 DL1位の椎名林檎は総合2位に”. Billboard JAPAN (2019年6月5日). 2019年6月6日閲覧。
- ^ a b Hot Albums 2019
- ^ “椎名林檎、4年半ぶりフルアルバムと20周年記念ライブ映像作品を同時リリース”. 音楽ナタリー (2019年4月5日). 2019年5月29日閲覧。
- ^ a b “椎名林檎、5年ぶりオリジナル・アルバム『三毒史』詳細発表、櫻井敦司(BUCK-TICK)との共演が実現した新曲も収録。ライブ映像作品から5曲一挙公開も”. SKREAM! (2019年4月22日). 2019年5月29日閲覧。
- ^ a b c “椎名林檎ニューアルバムでBUCK-TICK櫻井敦司、ヒイズミマサユ機とコラボ”. 音楽ナタリー (2019年4月22日). 2019年5月29日閲覧。
- ^ “椎名林檎がアルバム『三毒史』を発売、6人の男たちとのデュエット曲に見る音楽性のルーツ”. 徳島新聞. (2019年5月27日) 2019年5月31日閲覧。
- ^ “今を照らす、混沌と生命の総合芸術”. rockin'on.com (2019年5月30日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ “椎名林檎、乃木坂46、NakamuraEmi……歌詞にインパクトがある女性アーティストの新作”. Real Sound (2019年5月28日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ “「第12回CDショップ大賞2020」、大賞はOfficial髭男dism”. タワレコオンライン (2020年3月13日). 2020年10月17日閲覧。
- ^ a b c d New Album 「三毒史」 特設サイト 椎名林檎による全曲解説(2019年5月31日閲覧)
- ^ a b c d “新アルバム『三毒史』発売記念!椎名林檎が生放送で語ることとは?椎名林檎、TOKYO FM独占生出演!”. excite (2019年5月24日). 2019年5月31日閲覧。
- ^ “椎名林檎、ニューアルバムのオープニング飾る新曲「鶏と蛇と豚」MV公開”. 音楽ナタリー (2019年5月22日). 2019年5月29日閲覧。
- ^ “椎名林檎が音楽を手掛けた資生堂「マシェリ」新CMが本日より全国放送開始!”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. (2016年3月25日) 2022年3月4日閲覧。
- ^ “The Wayback Machine”, ギャラリー|MACHERIE(マシェリ)|資生堂, オリジナルの2016年4月1日時点におけるアーカイブ。 2024年11月5日閲覧。
- ^ 朝川朋之 Facebook. 2022年3月4日閲覧
- ^ “椎名林檎と櫻井敦司の新曲が今夜配信スタート、「三毒史」ジャケットも公開”. 音楽ナタリー (2019年5月1日). 2019年5月29日閲覧。
- ^ “椎名林檎、最新アルバムより「TOKYO」先行配信”. 音楽ナタリー (2019年5月16日). 2019年5月29日閲覧。
- ^ “椎名林檎「三毒史」インタビュー デビューから20年経て向き合った、人類共通の三毒”. 音楽ナタリー. 2019年5月31日閲覧。
- ^ Billboard Japan Hot Albums
- ^ Billboard Japan Top Album Sales
- ^ Billboard Japan Download Albums
- ^ オリコン週間アルバムランキング
- ^ Billborad Japan Hot Albums of the Year 2019
- ^ Billborad Japan Download Albums of the Year 2019
- ^ オリコン年間アルバムランキング
- ^ 2019年5月度認定作品一覧
- ^ オリコン you大樹. 2020年11月25閲覧
- ^ オリコン年間デジタルアルバムランキング. 2020年11月25日閲覧
外部リンク
[編集]- 椎名林檎 - New Album「三毒史」特設サイト - ユニバーサルミュージック
- 椎名林檎、5年ぶりのオリジナルアルバム『三毒史』5月27日発売決定! - 黒猫堂