これまでのプラチナとひと味もふた味も違う『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』プレビュー

『ブラザーズ:2人の息子の物語』のジョセフ・ファレスも気に入りそう

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「ベヨネッタ」シリーズは、世界中のレビュアーやプレイヤーから高い評価を得てきた。3作あるメインエントリーでは敵を浮かせてから空中コンボを重ね、ダンスしながらピストルを撃ちまくり、長い髪で敵を処刑していくベヨネッタを見ることができた。『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』は『ベヨネッタ3』からわずか5か月後に発売予定の新作であるが、今までの「ベヨネッタ」作品とは似ても似つかない。ボタンをガンガン連打して敵を始末する3アクションゲームから、まるでスーパーファミコン時代「ゼルダ」風の作品へと変身を遂げた。今回は俯瞰視点によるゲームで、これまでのようなベヨネッタを中心とした視点ではない。ステージ中には謎解きが用意されており、歯ごたえのある戦闘もあり、足場から足場へと飛び移るプラットフォーマー的な要素もときどきある。さらに本作の雰囲気は重たく、慈悲のない世界で生きる弱弱しい少女が主人公の物語だ。魔女が余裕の表情でスタイリッシュに戦っていた本編作品とは、まさに正反対。この変化を受け入れられないシリーズファンも出てきそうだが、私としてはぜひ本作の続きを遊んでみたくなった。

『ベヨネッタ オリジン』を始めた瞬間から、プラチナゲームズはプレイヤーの予想を裏切ってくる。本作は両手に取り外した状態のJoy-Conを持ち、2体のキャラクターを操作して進めるゲームだ。左手のJoy-Conでは、セレッサを操作する。彼女は幼いころのベヨネッタであり、優しさを見せてくれるが、まだ魔法を使えるようになったばかりなのだ(もちろん銃器は使えないし、ハイヒールブーツやコルセットに身を包んでもいない)。そして、右手のJoy-Conではチェシャを操作する。迷子の悪魔であるチェシャは、セレッサのツギハギのネコのぬいぐるみに憑依しており、強靭なパワーを生かして敵に大ダメージを与えていける。両方のスティックで2体のキャラクターを同時に動かして冒険するスタイルは、2013年に発売された『ブラザーズ:2人の息子の物語』のようだ。冒険の中では、両者がうまく協力しないとクリアできない謎解きが多く用意されている。たとえば人喰い植物が行く手を阻んでいるなら、セレッサが霊を呼び出して移動を不可能にさせ、その間にチェシャが地面から植物を引き抜けばいい。崖の上にチェシャがたどり着けない場面では、魔法で彼を小さくして崖の上に放り投げてやればいい。たどり着いた後は元の大きなサイズに戻り、次へと進めることだろう。

操作はかなり独特であり、最初のステージを最後まで進めたあたりでやっと慣れることができた。学習曲線は決して緩やかではなく、こういったゲームに慣れたプレイヤーでも苦労することだろう。特に戦闘の難易度は高く、使う技も異なる2体のキャラクターを操作しながら、殺意マンマンの小悪魔どもを撃退することとなる。巨躯を生かした戦いができるチェシャは、攻撃に特化したキャラクターだ。一方セレッサは魔法書と十字キーに割り当てられたステータス強化アイテムを使い、チェシャの支援に徹する。派手で豪快に戦えて、1000ヒットコンボもザラな今までのプラチナゲームズ作品と比べてみると、まったく趣向が異なる。それでも、『ベヨネッタ オリジン』の戦略が要求される戦いは楽しくもある。おとなしいスピードの戦闘ではあるが、プラチナゲームズは綿密に構成されたゲームシステムに定評があるスタジオであり、この強みは本作でもしっかり生かされている。

これまでのシリーズ作品では都会の雑踏や夜中の大聖堂が舞台となっていたが、『ベヨネッタ オリジン』ではうっそうと生い茂る、妖しい森が舞台となる。グリム童話の世界のようであり、本作では文字通り絵本を通した形で物語が展開される。Switch上で映される森の世界は美しく、深青色と淡い緑色が多く用いられているのも特徴だ。不敵に笑いながら長髪で敵を始末していく、あの身長3メートル近くの長身魔女はこの世界にはまだいないということを、より実感できる絵作りである。過去の時代である『ベヨネッタ オリジン』では、セレッサはまだ十代の少女であり、美しくもあるが物悲しいストーリーが展開されていく。無敵の魔女ベヨネッタにも、下積み時代があったということだ。


前日譚となる『ベヨネッタ オリジン』だが、本作を起点に「ベヨネッタ」シリーズ物語が新たに展開されるのか、それとも1作で完結し『ベヨネッタ3』発売前後から開発されていた番外編止まりなのかは、まだわからない。それでも「ベヨネッタ」世界を舞台にした新作が出て、作品世界を別の視点から見られるのはうれしいことだ。ベヨネッタは突っ走るトレーラーの車上で地獄の悪魔たちを殲滅しているときもあれば、魔法の森を頼れる相棒のネコぬいぐるみといっしょに冒険していることもある。魔女が持つ顔は、多彩なのだ。

※本記事はIGNの英語記事にもとづいて作成されています。

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