ハリウッド実写版『ドラゴンボール』の悟空役俳優が鳥山明を追悼「台無しにしてしまってごめんなさい」と謝罪のコメント
「安らかに、ブラザー。そして、あの脚色を台無しにしてしまってごめんなさい」
アニメ作品の実写映像化に関して、M・ナイト・シャマラン監督の『エアベンダー』と並び黒歴史のひとつとされるのが、『DRAGONBALL EVOLUTION』だ。この映画で孫悟空役を演じたジャスティン・チャットウィンはそのことを強く意識しているようで、『ドラゴンボール』の作者である鳥山明が68歳で急逝したのち、実写版映画に関して謝罪のコメントを発している。
チャットウィンは自身のInstagramストーリーズに、「安らかに、ブラザー。そして、あの脚色を台無しにしてしまってごめんなさい」と投稿した。
The actor who played Goku in Dragon Ball Evolution just posted this about Akira Toriyama. pic.twitter.com/hYiuXgaMtF — Extra (@Extralongdokkan) March 9, 2024
鳥山の訃報に対しては、『ONE PIECE』の尾田栄一郎や「ドラゴンクエスト」の堀井雄二など、数多くの著名人からコメントが寄せられており、そこに今回チャットウィンも加わった形だ。しかしチャットウィンの謝罪は、鳥山自身が「案の定な出来のドラゴンボールともいえないような映画」と評した実写版を思い出させた、という点において特筆すべきものがある。
2009年に公開された『DRAGONBALL EVOLUTION』はファンと批評家の双方から酷評を受けた。映画は廃墟となったジーンズ工場で撮影され、悟空を高校に通わせるなど、核となるストーリーに劇的な変更が加えられている。
IGN USによる当時のレビュー(英語記事)では、「真っ先に、筋金入りのファンがこの実写版をこき下ろすことは確実で、“この映画が原作アニメに匹敵するわけがない”と主張するだろう。そして、その意見は正しい。匹敵していないからだ。実際のところ、実写版映画がオリジナルを超えたことがあっただろうか?」と評されていた。
以来、『DRAGONBALL EVOLUTION』は『ドラゴンボール』が残した負の遺産として記憶されている。実際のところ、実写版のクオリティについて謝罪したのはチャットウィンが初めてではない。2016年には、脚本を担当したベン・ラムジーが『ドラゴンボール』のファンに対し、この映画は「私の人生において、かなり痛々しい創作上の一点になった」と語っていた。
「私はフランチャイズのファンとしてではなく、仕事を請け負うビジネスマンとして、高額な報酬を求めてこのプロジェクトに参加しました。情熱を持たずに創造的な仕事に取り組むと、最適とは言えない結果、時にはまったくのゴミを生んでしまうことを学びました」
『DRAGONBALL EVOLUTION』は失敗に終わってしまったが、「ドラゴンクエスト」や『クロノ・トリガー』、『Dr.スランプ』など、鳥山の残した仕事は素晴らしいものばかりだ。彼が漫画、アニメ、ゲームとジャンルを横断して残した功績を振り返る記事もチェックしてみよう。