学研全訳古語辞典 |
い-・ぬ 【寝ぬ】
活用{ね/ね/ぬ/ぬる/ぬれ/ねよ}
寝る。眠る。
出典万葉集 一五一一
「夕されば小倉(をぐら)の山に鳴く鹿(しか)は今夜(こよひ)は鳴かずいねにけらしも」
[訳] ⇒ゆふさればをぐらのやまに…。
参考
名詞「寝(い)」と下二段動詞「寝(ぬ)」が複合した語。
い・ぬ 【往ぬ・去ぬ】
{語幹〈い〉}
①
立ち去る。去る。行ってしまう。
出典伊勢物語 二三
「前栽(せんざい)の中にかくれゐて、河内(かふち)へいぬる顔にて見れば」
[訳] 庭の植え込みの中に隠れて座って、河内へ行ってしまうふりをして(ようすを)見ると。
②
過ぎ去る。
出典万葉集 三四七〇
「相見ては千年(ちとせ)やいぬる否をかも」
[訳] 会ってから千年も過ぎ去ったであろうか、いや違うであろうか。
③
死ぬ。亡くなる。▽「死ぬ」の婉曲(えんきよく)的な表現。
出典万葉集 一八〇九
「うち嘆き妹(いも)がいぬれば」
[訳] 運命を嘆きながら、莬原処女(うないおとめ)が死ぬと。
いぬ 【戌】
①
「十二支(じふにし)」の第十一。
②
時刻の名。午後八時。また、それを中心とする二時間。
③
方角の名。西北西。
いぬ 【犬・狗】
①
犬。
②
まわし者。間者(かんじや)。密偵。◇あちこちとかぎ回るところからの比喩(ひゆ)。
いぬ- 【犬・狗】
〔名詞に付いて〕
①
卑しめ軽んじる気持ちを表す。「いぬ侍(ざむらひ)」。
②
役に立たない、むだであるの意を表す。「いぬ死に」。
③
似てはいるが実は違っている、にせの意を表す。「いぬ桜」
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