学研全訳古語辞典 |
ぞ
《接続》種々の語に付く。
(一)
文中にある場合。(受ける文末の活用語は連体形で結ぶ。)〔強意〕
出典徒然草 七九
「何事も入り立たぬさましたるぞよき」
[訳] 何事も深く通じていないようすをしているのがよい。
出典新古今集 雑下
「長らへばまたこの頃(ごろ)やしのばれむ憂(う)しと見し世ぞ今は恋しき」
[訳] ⇒ながらへば…。
(二)
文末にある場合。
①
〔強い断定〕…だぞ。…なのだ。
出典万葉集 二
「うまし国そあきづ島大和(やまと)の国は」
[訳] ⇒やまとには…。
②
〔問いただす〕…か。▽疑問語を伴う。
出典徒然草 一〇九
「いかにかく言ふぞ」
[訳] どうしてこのように言うのか。
語法
(1)係り結び(結びは連体形)(2)結びの省略 「ぞ」を受けて結びとなるはずの文末の語句が省略されて「ぞ」で言い切った形になることもある。たとえば、「飼ひける犬の、暗けれど主(ぬし)を知りて、飛び付きたりけるとぞ」(『徒然草』)〈飼っていた犬が、暗くても飼い主を見知って、飛びついたのであったということだ。〉では、「ぞ」の下に連体形「聞く」「言ふ」などが省略されている。(3)結びの消滅 「ぞ」を受ける結びの部分が接続助詞を伴って下に続く場合、結びは消滅する。たとえば、「葉の広ごりざまぞ、うたてこちたけれど」(『枕草子』)〈桐(きり)の木の花は葉が大きく広がったようすは大げさでいやだけれども。〉では「ぞ」を受けて連体形「こちたき」となるところだが、下に接続助詞「ど」が付くため已然形「こちたけれ」となって、結びが消滅している。
参考
(1)「ぞ」はもとは清音「そ」であったと考えられ、上代には「そ」「ぞ」が併用されていたが、中古以降は「ぞ」が一般的になった。(2)文末にある「ぞ」を終助詞とする説もある。(3)⇒とぞ・もぞ
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