学研全訳古語辞典 |
つれ-な・し
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
素知らぬふうだ。平然としている。さりげない。
出典枕草子 うれしきもの
「いとつれなく、なにとも思ひたらぬさまにて、たゆめ過ぐすも、またをかし」
[訳] まったく素知らぬふうで、なんとも思っていないようすで、(相手を)油断させとおすのも、また興味深い。
②
冷淡だ。薄情だ。
出典伊勢物語 五四
「昔、男、つれなかりける女にいひやりける」
[訳] 昔、男が冷淡だった女に言い送った(歌)。
③
ままならない。思うにまかせない。
出典源氏物語 桐壺
「かへすがへす、つれなき命にも侍(はべ)るかな」
[訳] 本当にまあ、ままならない私の命でございますね。
④
何事もない。変わらない。
出典枕草子 職の御曹司におはしますころ、西の廂にて
「雪の山つれなくて年も返りぬ」
[訳] 雪の山は変わらずに年も改まってしまった。
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