学研全訳古語辞典 |
しの・ぶ 【忍ぶ】
活用{び/び/ぶ/ぶる/ぶれ/びよ}
①
こらえる。我慢する。
出典大和物語 一四九
「心地には、かぎりなく嫉(ねた)く心憂(こころう)しと思ふを、しのぶるになむありける」
[訳] 女は心の中ではこの上なくくやしくつらいと思っているのを、我慢しているのであった。
②
つつみかくす。秘密にする。
出典源氏物語 夕顔
「しのぶるやうこそはと、あながちにも問ひ出(い)で給(たま)はず」
[訳] (夕顔が素性をかくすのは)秘密にするわけが(あるのだろう)と、(源氏は)無理に聞き出そうとはなさらない。
活用{ば/び/ぶ/ぶ/べ/べ}
①
こらえる。我慢する。
出典源氏物語 須磨
「めでたう覚ゆるに、しのばれで」
[訳] 人々がすばらしいと感嘆するにつけても、(お供の人々は)悲しい思いをこらえられなくて。
②
人目を避ける。隠れ忍ぶ。
出典徒然草 三二
「わざとならぬ匂(にほ)ひ、しめやかにうちかをりて、しのびたるけはひ、いとものあはれなり」
[訳] わざわざ焚(た)いたとも思われない(香の)かおりが、もの静かに薫って、世間を避けて住んでいるようすがとても趣深い。
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