現在放送中の「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV 豊穣の女神篇」(以下「ダンまちV」)は、アニメ「ダンまち」シリーズの最新作。小説原作のアニメとしては最長クラスとなる第5期を迎えた。今作では、ベルに思いを寄せていた街娘シル・フローヴァにスポットが当てられ、彼女から届いた恋文をきっかけに物語が動き出す。放送されたばかりの第4話では、長年ファンの間で考察されてきたシルの秘密が、ついにアニメでも明らかになった。
コミックナタリーでは、そんなシルのプロフィールや、恋敵と火花を散らすシルの恋模様を紹介する。さらに初登場時から伏線が貼られていたシルの秘密に関するエピソードをピックアップ。アニメはもちろん、原作小説や外伝小説、未アニメ化エピソードなどで描かれた彼女の正体に関する“匂わせ”をまとめた。
文 / 粕谷太智
※「ダンまちV 豊穣の女神篇」第4話までの内容に関わる大きなネタバレを含みます。
シルのプロフィール、“あざとかわいい”魅力を紹介
シル・フローヴァは、「ダンまち」に登場するヒロインの1人。アニメ1期第1話から登場し、主人公ベル・クラネルとは彼の落とし物を拾ったことをきっかけに交流を持つようになる。年齢はベルより4つ上の18歳。迷宮都市・オラリオにある酒場「豊穣の女主人」の看板娘だ。
原作小説の言葉を借りるならば、シルは「体の内から可愛さが滲み出るタイプ」の魅力を持った女の子。お弁当を手渡され遠慮するベルに「私の良心が痛んでしまいそうなんです」と言ってのける、その“あざとかわいさ”は、ベルに思わず「ずるい」と言わせるほど。その後もダンジョンへ赴くベルに弁当を渡すことを日課にし、時にはレアなアイテムを手渡して冒険をサポート。ベルに渡した首飾りが致命傷になりかねない攻撃を偶然防ぎ、思い悩むベルに膝枕をしながら「私は走り続けているあなたが好きだから」と好意をはっきりと口にして背中を押す。そんな、“正ヒロイン”なのでは?と思わせるような行動の数々で、いつしかベルも彼女を頼るようになっていく。
意外と大胆?シルと恋敵とのバチバチな一幕
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」というタイトルからもわかる通り、本作は“出会いの運命に愛された少年”ベルと、ヒロインたち、さらにはモンスターとの出会いの物語でもある。ベルの持つレアスキル「憧憬一途(リアリス・フレーゼ)」が発現するきっかけとなった憧れの思い人であるアイズ・ヴァレンシュタイン。ベルに愛情を注ぎ、ベルからは家族のように大切に思われているヘスティア・ファミリアの主神ヘスティア。ベルが救いの手を差し伸べたことで彼への思いを募らせていくことになるリリルカ・アーデやサンジョウノ・春姫などなど、シル以外にも「ダンまち」には魅力的なヒロインたちが多数登場している。
そして時にはそんなヒロインたちが恋の火花を散らすことも。短編をまとめた単行本「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 掌編集」のエピソードでは、“良質街娘”とあだ名される品行方正なシルが、恋敵に向けるバチバチな感情を覗くことができる。リリとシルのやり取りを描いた「祝賀会の裏側にて」では、ベルの愛で改心したというリリに対し、「妹ができたみたいで嬉しい」というベルの言葉を伝え、リリへの恋愛感情はないことを強調しダメージを食らわす。タイトルから不穏な「剣姫VS街娘」では、街で偶然出会ったアイズに、「ベルさんに膝枕をされてしまって」と突然告げてマウントを取り、さらに「激しく、情熱的に」と話を盛って動揺させる。おとなしそうに見えて、大胆な行動を取るところもシルの魅力なのだ。こう着状態にあったベルを巡るヒロインたちの争いに一石を投じるような「ダンまちV」での突然の恋文も、そんなシルの性格が表れたものと言えるのかもしれない。
シルの恋が動き出す!
英雄に憧れ、歩みを止めず成長していくベルの姿に惹かれるヒロインや冒険を共にする仲間たちは、物語が進むごとにどんどん増えている。「豊穣の女主人」でシルとともに働き、シルと特に親しい間柄のリュー・リオンもそんなキャラクターの1人。かつてはベルを思うシルの恋路を応援していたが、アニメ4期でベルとともにダンジョン深層の死地から地上に帰還した後は、彼を直視できないほど意識してしまう。そんなリューの思いを知ったことをきっかけに、シルはベルにオラリオの二大祭と呼ばれる「女神祭」でデートしてほしいという内容の恋文を渡し、自分の恋に決着をつけようと動き出したのだった。