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【北の富士コラム】若隆景 気になるのは なぜまわしを変えたのかだ。新しいまわしは腰の動きを邪魔する

2022年7月11日 05時00分

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逸ノ城(左)に敗れた若隆景

逸ノ城(左)に敗れた若隆景

◇10日 大相撲名古屋場所初日(ドルフィンズアリーナ)
 楽しみにしていた初日がドエライことになってしまった。特に後半戦の土俵はズラリと好取組が続く。解説の私も実を言うと体調はあまり良くはなかったが、気合は入っていた。だが結果は散々で、目も当てられないことになりました。とてもじゃないが、冷静に手さばきができないほどであります。
 手っ取り早く上からいきましょう。まず、ただ一人の優勝候補・照ノ富士がまんまと阿炎の策にはまってしまった。立ち合い、阿炎が例によってもろ手突き十分に出るが、一歩先に立った照ノ富士がそれを封じて右をのぞかせ一気に前に出た。あっという間に土俵際に詰まった阿炎が右から苦し紛れの突き落としを見せると、出足のついていた照ノ富士は体勢を崩し、背を見せてしまった。
 その機を逃さず阿炎が送り出すと、照ノ富士の体が勢いよく土俵下まで落ちてしまった。あっという間の出来事で、勝った阿炎も負けた照ノ富士も互いにぼうぜんとしていたのが印象に残るだけ。照ノ富士らしくない不用意な相撲は解説のしようがない。簡単に言うと「喜び過ぎ」。その一言であろう。
 いつも慎重な照ノ富士だが魔が差したと言うしかない。初日の1敗だから大勢に影響はないが、横綱としての初見参の初日だったので少し気が入り過ぎたと、私はそう思う。
 これでガタガタと崩れる照ノ富士ではないので心配はないが、大関陣は深刻である。貴景勝は霧馬山に押しを封じられ、もろ差しを許し完敗。立ち合いの当たりも弱いし、すぐに引く悪いクセが初日から出てしまった。どうやら今場所は苦しい場所になるだろう。霧馬山は着実に力を付けている。
 正代も琴ノ若に完敗。過去は土俵際にもつれる内容で3敗しているが、この日は全く相撲にさせてもらえなかった。敗因はと問われたら、私は弱いからとしか言いようがない。残念だが、もう正代はやる気を失っている。立ち直りはとても無理だろう。
 それより琴ノ若を褒めてもらいたい。この日の相撲は見事であった。天国の桜さんも、さぞ相好を崩していることだろう。
 若隆景も逸ノ城に大きな相撲を取られ、手も足も出なかった。敗因は立ち合いの踏み込みが悪かったこと。それと気になるのは、なぜまわしを変えたのかだ。私も経験しているが、新しいまわしは体になじまず腰の十分な動きを邪魔する。
 余談だが、昔は体になじんだまわしは大事に使ったものだ。私は入幕から引退するまで3本のみ。別に買い入れする金がなかったわけではない。もっと書きたいところだが、本日は疲れている。
 木曜日に名古屋に入ってから熟睡できない。原因は「枕」。私はこう見えても、とてもデリケートにできている。枕が変わると眠れない。いつも地方場所はこうなるのだから心配はしていない。2日目は休みなので、ウナギでも食べに行こうと思います。それでは…。(元横綱)
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