WAP2.0
読み方:ワップニーテンレー
WAP2.0とは、携帯電話などの移動通信端末を使ってインターネット情報を表示するための、通信プロトコルとコンテンツ記述言語の仕様のことである。2001年8月に公開された。
WAP2.0は、1997年6月にEricsson社、Motorola社、Nokia社、Unwired Planet(現Openwave Systems)社によって設立されたWAP Forumが、1998年4月に「WAP 1.0」として公開した仕様の改訂版である。WAP 1.0では、無線区間における転送においてはデータを圧縮するといった、遅い転送速度や少ないリソースでも効率的に通信できるような工夫がなされている。その反面、無線通信の最適化を目指したあまりに、既存のインターネットの主要なプロトコルであるTCP/IPや、コンテンツ記述言語HTMLとの同調性が低いといった問題点が残ってしまった。そのためWAPで利用できるコンテンツもなかなか増えなかった。
その後、携帯電話の処理能力の向上や通信速度の高速化に伴ってWAPはWAP2.0として新たに定義し直された。通信プロトコルはTCP/IPベースとなり、記述言語はiモードでも採用されたコンパクトHTMLを基礎にしてXMLによる再定義を施したXHTML Basicに変更されるなど、各問題点の解消が図られている。なおWAPは、KDDIの提供するEZwebサービスで採用されている。
システム: | UMTS USIM USSD WAP2.0 |
データ通信: | AXGP Amazon限定SIM FOMAユビキタスモジュール |
Wireless Application Protocol
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Wireless Application Protocol(ワイヤレス アプリケーション プロトコル、略称: WAP)は、 携帯電話などのデバイスでインターネットの閲覧等のサービスが行えるようにする為の技術仕様である。
概要
それまで業界標準規格がなかった携帯電話インターネットの技術仕様として、WAPは誕生した。
WAP 1.xで使われるコンテンツ記述言語はWireless Markup Language (WML) であった。しかし、インターネット標準のHTMLとは互換性が無く、コンテンツ作成にはWML用のオーサリングツールが必要であり、不便であった。また、当時の利用可能な携帯電話による通信環境は9.6kbpsのCSD接続があるばかりでパケットは無いというような時代であり、コンテンツも主にテキスト、液晶はモノクロという時代であった。そのためコンテンツがそろわず、更にオペレータによる閲覧可能なサイトの制限もあり、全世界的にあまり良い評判を得ることは出来なかった。
日本ではIDO/DDIセルラーグループ(のちのau)はPDCを打ち切ってCDMAを選んだのと同じ理由でWAPを採用した。一方でNTTドコモはWAPを採用せずに、主要機種においてはCompact HTMLを元にした独自のiモードを採用した(ただし特定用途に限定された端末についてはその限りではなく、例えばJRAの電話投票用端末である「モバイルゲット」(1999年11月発売)などではWAPを搭載している[1])。
WAP技術の標準化・推進組織はWAP Forumであったが、発展的解消という形で他の標準化団体とならんで、2002年6月にオープン・モバイル・アライアンス (OMA) に統合された。
WAP 2.0
その後の携帯電話は、GPRS、EDGEおよび第三世代携帯電話などのパケットベースでの通信が比較的安価に利用できるようになり、また、液晶のカラー化、カメラ搭載なども進んで、携帯電話インターネットサービスを広く利用する環境は整いつつあった。
WAP 2.0では、WAP 1.xの失敗を踏まえ、インターネットで標準的に使われている技術が大幅に採用された。コンテンツ記述言語としては従来までのWMLとならんでXHTML MPとcHTMLが妥協の産物として併記され、トランスポートプロトコルとしては従来までのWTP/WSPとならんでTCP/IPを採用した。これにより一層のコンテンツ利用の拡大をはかることになった。現在、WAP1.x時代からの標準であった、WML、WTP、WSPはcHTMLとともに消えゆく存在となりつつある。
過去、携帯電話によるブラウジングとメッセージングは、WAP Forumの後継団体であるOMAが制定したものが業界標準であり、それはWAP1.x/2.0をもとにしたものであった。国際的には、圧倒的多数の携帯電話はOMAの仕様をもとにした実装をしていた。しかしながら、通信速度の更なる向上とiPhoneやAndroidといったオープンプラットホームの存在は、OMA仕様自体の意味を完全に減殺し、WAPは過去のものとなった。
写メールやiショットなどの日本発のピクチャーメール規格は、国際標準となることは出来なかった。業界標準のマルチメディア携帯メール規格はWAP Forumが採用したマルチメディアメッセージングサービス (MMS) である。
WAPプッシュ
WAPプッシュはWAP 1.2から導入されたWAPにおけるプッシュ技術であり、サービスプロバイダーによる配信サービスが受けられるようにするものである。WAPプッシュのメッセージのタイプにより、SL (Service Loading)、SI (Service Indication) とCO (Cache Operation) の3つがある。規格策定時の想定用途としては、ネットワーク閑散時間帯にデイリーの配信などを行なったり、天気予報表示の更新などに使えるものであったが、通信費用に対する消費者側の懸念などもあって、広くは普及していない。
プロトコル設計での教訓
WAPプロトコル設計の妥当性に対しては、その発足時から論争の元になっていた。すなわち、WAP 1.xのプロトコルは、より低速で遅延性の高い携帯電話ネットワークに最適化するという意図のもと、WTP(ワイヤレストランスポートプロトコル)、WSP(ワイヤレスセッションプロトコル)、WTLS(ワイヤレストランスポートレイヤーセキュリティ)などがIP層の上位にのせられることになった。これらのプロトコルは携帯電話の世界でしか使われず、また、TCP/IPの対応するプロトコルと比べるとかなり複雑なものであって、その効果と存在理由について主にインターネット側から多くの批判がなされてきた。
WAP 2.0でWAP自体がトランスポートプロトコルとしてTCPを併記する形で採用し、最終的にこの論争には終止符が打たれた。WAP 2.0でのTCP採用時には、有線と無線をプロキシサーバで分けるという考えの元、Wireless Profiled TCPという概念もあわせて採用された。 品質の異なるネットワーク間(例:無線と有線)を中継する場合に再送セグメントの分割を行い効率化を図ることもある(具体例:w-TCP/WAP2.0 [1]、split-TCP [RFC 2757])。
関連項目
脚注
- ^ 馬券が購入できるケータイ - Mobile Central・1999年11月15日
WAP 2.0
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/24 15:15 UTC 版)
「Wireless Application Protocol」の記事における「WAP 2.0」の解説
その後の携帯電話は、GPRS、EDGEおよび第三世代携帯電話などのパケットベースでの通信が比較的安価に利用できるようになり、また、液晶のカラー化、カメラ搭載なども進んで、携帯電話インターネットサービスを広く利用する環境は整いつつあった。 WAP 2.0では、WAP 1.xの失敗を踏まえ、インターネットで標準的に使われている技術が大幅に採用された。コンテンツ記述言語としては従来までのWMLとならんでXHTML MPとcHTMLが妥協の産物として併記され、トランスポートプロトコルとしては従来までのWTP/WSPとならんでTCP/IPを採用した。これにより一層のコンテンツ利用の拡大をはかることになった。現在、WAP1.x時代からの標準であった、WML、WTP、WSPはcHTMLとともに消えゆく存在となりつつある。 過去、携帯電話によるブラウジングとメッセージングは、WAP Forumの後継団体であるOMAが制定したものが業界標準であり、それはWAP1.x/2.0をもとにしたものであった。国際的には、圧倒的多数の携帯電話はOMAの仕様をもとにした実装をしていた。しかしながら、通信速度の更なる向上とiPhoneやAndroidといったオープンプラットホームの存在は、OMA仕様自体の意味を完全に減殺し、WAPは過去のものとなった。 写メールやiショットなどの日本発のピクチャーメール規格は、国際標準となることは出来なかった。業界標準のマルチメディア携帯メール規格はWAP Forumが採用したマルチメディアメッセージングサービス (MMS) である。
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