その発展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 11:03 UTC 版)
形成体の効果が胚にどのように分布するかについてはバウツマンが研究を行い、ヴァルタ―・フォークトの原基分布図における脊索、体節、それに頭腸胚壁にわたって誘導能を認めた。さらに、外胚葉区域の細胞を中胚葉域に移植すると、中胚葉として分化することが知られているが、このようにして形成されたものも形成体として働くことも確認された。さらに、誘導された神経板も誘導能を持つことも示された。 またレーマンは原口背唇部の一部を切除することでその影響を見た。原腸胚初期に切除すると、様々な程度に頭部の欠如した胚が得られる。卵黄栓が形成されるころに切除すると脊髄が欠如した胚になる。また、オットー・マンゴルト(ドイツ語版)(ヒルデの夫)は後期原腸胚の原腸蓋、つまり陥入して外胚葉の下に入り込んだ原口背唇部であった部分を切り出して別の原腸胚に移植した。すると、二次胚が形成されるが、形成される部位は切り出した組織片の位置によって異なることがわかった。すなわち、頭部に当たる部分から切り出した場合、形成される二次胚は頭部であり、後方から切り出した場合には尾部の二次胚が形成された。また、初期原腸胚の原口背唇部は頭部を、後期原腸胚のそれは尾部を誘導した。これは、初期原腸胚では原口に近い部分と背中側のやや遠い部分にあたり、これらは異なる性質を持つと考え、前者を頭部形成体、後者を尾部形成体と呼んだ。 他の動物群についても研究が行われた。ただし当時のそれは往々にして他群の胚の一部を両生類の胞胚に移植し、形成体としての活性があることを確認するという形で行われ、それが確認されればその群においても形成体があるのだと判断する、というものだった。実際に他群の動物胚で形成体に当たるものを調べる研究はずっと遅れ、鳥類では原条の先端に当たるヘンゼン結節が原口背唇部に似たふるまいをし、他の胚に移植すると、二次軸を誘導することが発見されている。ゼブラフィッシュでは中胚葉の陥入は胚の周辺域全周から行われるが、特に背側の部分で著しく、その部位では細胞が集まって肥厚する。ここを胚楯と呼び、これがほぼ原口背唇部に相当するとされる。
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