アラブ社会における部族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 09:40 UTC 版)
アラブ社会では現在でも部族社会であり、多くの人間が国家よりも部族に対して帰属意識や忠誠心を持っている。アラブ社会では部族ごとの部族習慣法(アーダ)を持つことが認められており、部族長が実質的な地方自治体のトップになっている。 部族間問題は結婚や就職にいたるまで社会のあらゆる面で問題になっており、中東の国家では国家元首の属する部族が優遇され、敵対する部族は過酷なまでに冷遇される状況が続いている。サッダーム・フセイン政権下のイラクやムアンマル・カッザーフィー(カダフィ)政権下のリビアなど国家元首が属する部族が社会の支配者層を形成している国も多い。イラクで拡張主義やシャイフと高官の手による私有財産の集中などが増し、部族連合とマムルーク間の混乱があった。権力の集中化と強化を象徴している貨幣の役割、不動産、法的基盤、1858年および1932年の土地法によって、関係は親族関係は弱められ、物質的所有が強まっていった。 バタートゥ氏によると、都市部のアラブ人はイスラム教とオスマン帝国の法律に基づいて統治され、一方、部族のアラブ人は「イスラム教的な古代部族の慣習」に基づいて統治されていたという。 都市や部族の違いに加えて、部族間の分離および都市間の分離があり、イスラム教の下では団結していても、シーア派とスンニ派の対立下では分裂し、別々のマハッラで生活しながら原始的な通信の下では疎遠になっていた(これが保護の形となっていた)。 部族社会では軍人や公務員も国家よりも部族に対して忠誠心を持つため、部族間抗争が即内戦へと発展することが多いため軍や警察など国家の暴力装置が支配者部族による独占支配になりやすい。このため、支配者層に有能な人材が乏しくなり、結果として国家が疲弊することも珍しくない。 サウジアラビアでは部族社会の問題に対処するために長年にわたり部族解体政策を進めているが、未だに部族社会の解消には至っていない。
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