ウォーターフロント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 23:19 UTC 版)
ウォーターフロント(英語: waterfront)は、文字通りには「河岸・海岸通の土地・水辺」といった意味となるが、今日メディアに多用されている用途では、過密化する都市の新たな開発区域としての港湾・臨海部を指して使用される。
歴史
日本において港湾部が注目されはじめたのは、神戸市のポートアイランド(1981年)とされる。埋立地のほかにも、既存の港湾周辺では、コンテナ化など物流形態の変化による空き倉庫の増加や、工場の撤退などの状況があって荒廃が進んだため新たな開発で再生が期待されるようになったものである。
世界的な先駆は、アメリカ合衆国のボルチモアとされる。1960年代後半から30年に亘る計画の元に着手され、ショッピングセンターや大型水族館が整備されるにいたり、湾岸部が市民や観光客に開放されて賑わいを取り戻した。
日本におけるウォーターフロントブーム
サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフやボストンの水族館などのウォーターフロント開発の成功事例を参考に1980年代より日本でも導入された。
はじまりとなったのは、1981年に竣工した神戸市の当時世界最大であった人工島・ポートアイランドである。これに、倉庫街や貨物駅といった古い港湾施設の再開発によって誕生した神戸ハーバーランドの二つの事業に対し、今後の都市開発に先人的な役割を果したとして日本都市計画学会石川賞がそれぞれに授与されている。
首都圏では、東京の佃島・天王洲・臨海副都心(お台場・有明)・汐留・葛西、横浜市の横浜みなとみらい21、千葉市の幕張新都心などの再開発が行われた。 本来、これらの地域は工業・港湾用地として造成されたものだったが、石油危機以降の重厚長大産業の衰退や港湾施設の移転に伴い商業・住宅用地に計画変更された。 芝浦の空き倉庫を利用したディスコやライブハウス、浦安市の東京ディズニーリゾートなども人気を集めた開発の一つである。
大阪の場合、天保山ハーバービレッジや南港の咲洲、USJといった港湾地区以外に、河川を活用した湊町リバープレイスや道頓堀川沿いの「とんぼりリバーウォーク」などの開発がみられる。中之島周辺では、阪大病院跡地を開発した水都・OSAKA αプロジェクトも展開している。大阪近郊では堺市の堺浜シーサイドステージ、神戸市の六甲アイランド・HAT神戸・マリンピア神戸も知られる。
その他にも、青森市の青森ウォーターフロント、釧路市のフィッシャーマンズワーフMOO、小樽市のぱるて築港、名古屋市のガーデン埠頭・金城埠頭、敦賀市の金ヶ崎緑地、高松市のサンポート高松、北九州市の門司港レトロ地区、福岡市のシーサイドももち、長崎市の長崎水辺の森公園、佐世保市のポートルネッサンス21、鹿児島市のドルフィンポートなどがある。
ギャラリー
日本
北海道地方
- ウイングベイ小樽(小樽市)
- 釧路フィッシャーマンズワーフMOO(釧路市)
- 金森赤レンガ倉庫と函館山(函館市)
東北地方
- 青森ウォーターフロント(青森市)
関東地方
- 東京ディズニーリゾート(浦安市)
- 幕張新都心(千葉市美浜区)
- お台場(東京都港区)
- 横浜みなとみらい21(横浜市西区・中区)
中部地方
- 朱鷺メッセ(新潟市中央区)
- 金ケ崎緑地(敦賀市)
- エスパルスドリームプラザ(静岡市清水区)
- 弁天島海浜公園(浜松市西区)
- ライフポートとよはし(豊橋市)
- ラグーナ蒲郡(蒲郡市)
- シートレインランド(名古屋市港区)
- 名古屋港水族館(名古屋市港区)
- ガーデン埠頭(名古屋市港区)
- ブルーボネット(名古屋市港区)
- レゴランド・ジャパン(名古屋市港区)
- Maker's Pier(名古屋市港区)
- ポートメッセ名古屋(名古屋市港区)
近畿地方
- ナガシマスパーランド(桑名市)
- 鳥羽マリンタウン21(鳥羽市)
- 浜大津(大津市)
- 豊公園(長浜市)
- 舞鶴赤レンガ倉庫群(舞鶴市)
- ユニバーサルスタジオジャパン(大阪市此花区)
- 天保山ハーバービレッジ(大阪市港区)
- ポートアイランド(神戸市中央区)
- 神戸ハーバーランド(神戸市中央区)
- 六甲アイランド(神戸市東灘区)
- 和歌山マリーナシティ(和歌山市)
中国地方
- 牛窓ヨットハーバー(瀬戸内市)
- 水島港(倉敷市)
- 玉島ハーバーアイランドと瀬戸大橋(倉敷市)
- 呉中央桟橋(呉市)
- みなとオアシス広島(広島市南区)
- 広島観音マリーナ(広島市西区)
- 七類港メテオプラザ(松江市)
四国地方
- サンポート高松(高松市)
九州地方
- 門司港レトロ(北九州市門司区)
- リバーウォーク北九州(北九州市小倉北区)
- ベイサイドプレイス博多(福岡市博多区)
- シーサイドももち(福岡市早良区)
- マリノアシティ福岡(福岡市西区)
- させぼ五番街(佐世保市)
- ハウステンボス(佐世保市)
- 長崎水辺の森公園(長崎市)
- ドルフィンポート(鹿児島市)
海外
- ドックランズ(ロンドン)
- ベイフロント(トロント)
- ネイビー・ピア(シカゴ)
- マンハッタン(ニューヨーク)
- チャールズセンター(ボルチモア)
- セントラル・ウォーターフロント(カムデン)
- 浦東(上海)
- ダウンタウン・コア(シンガポール)
関連項目
ウォーターフロント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 14:20 UTC 版)
「パースアンボイ (ニュージャージー州)」の記事における「ウォーターフロント」の解説
市内には歴史あるウォーターフロントがあり、近年かなりの再開発が行われてきた。ここは最初に開拓が行われた場所であり、水によって囲まれた歴史ある海洋文化が残っていることでは、州内でも数少ない場所の1つである。見どころとしてはパースアンボイ・フェリー桟橋、小さな博物館2つ、画廊1つ、ヨットクラブ1つおよびマリーナがある。マリーナの近くには小さな野外音楽堂のある公園がある。夏の日曜の午後には、この音楽堂で湾岸のコンサートがある。水際には赤煉瓦の遊歩道があり、風格のあるビクトリア様式の家屋が並ぶ。その幾つかは湾を見下ろす岡の上にあり、街路樹が並び、手入れの行き届いた芝生がある。数多いシーフード・レストランもある。土地は2ブロック離れると急に立ち上がる。このことで町の他の部分と切り離され、ウォーターフロントは静かな漁村のように見える。ウォーターフロントの興味ある地点として、セントピーターズ聖公会教会や領主邸宅がある。その邸宅は元総督の家屋であり、現在は博物館と幾つかの事務所を収容している。カーニー・コテージにも博物館が入っている。さらに町のこの部分は昔、ユダヤ人の繁栄した町であり、イェシーバ(学校)、シナゴーグ(教会)、コーシャーの肉屋とパン屋があった。しかし今日ではシナゴーグが2つ残っているだけであり、通常の礼拝では55歳以上の人が数人参列するだけである。「港傍の上陸」と呼ばれるプロジェクトでは、2,100戸の住宅と屋根付き駐車場、床面積15万平方フィート (14,000 m2) の小売りスペース、コミュニティセンター、大衆向けレクリエーション施設が考えられている。開発者のチャールズ・クシュナーは証拠改竄、脱税、違法な選挙献金で有罪とされ2年間刑務所に入っていた。パースアンボイ市長のウィルダ・ディアズはクシュナーと会見した後、規模を縮小した開発の設計概念を了承し、当初約束されていた持ち家住宅の変わりに手頃価格の借家を建てることを認めた。
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ウォーターフロント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 23:40 UTC 版)
「ホーボーケン (ニュージャージー州)」の記事における「ウォーターフロント」の解説
ホーボーケンのウォーターフロントがホーボーケンを典型的な港町として特徴付け、19世紀から20世紀半ばまでの経済力を与えた。その頃のウォーターフロントは工業地域であり、大半が一般人には立ち入りできなかった。リプトンの紅茶工場とマクスウェル・ハウスの大きなコーヒー工場とベスレヘム・スティールの乾ドックが長い間北側の部分を占領していた。南側は元ハンブルク=アメリカ航路の基地であったが第一次世界大戦勃発時に土地収用によって連邦政府に抑えられ、その後は東海岸の主要貨物船港であった。1954年制作の映画「波止場」(「On the Waterfront」)はアメリカの映画の中でも常に5本の指に入る名作だが、ホーボーケンで撮影され、港湾労働者の荒々しく乱雑な生活と組織犯罪による組合の浸透を劇的に描いていた。州間高速道路網の建設と海上コンテナ荷役設備(特にニューアーク=エリザベス・マリン・ターミナル)の導入で、ドックは時代遅れとなり、1970年代までに多くが廃棄された。リバーストリートの一帯はバーバリ・コーストと呼ばれ、昔は造船工、水夫、海の商人など船乗り達の酒場や宿屋があったが、市街地再開発計画の一部として取り上げられた。没収された地域の管理は1950年代に市に戻されたが、港湾公社との複雑な賃貸契約によりその管理にほとんど影響を及ぼしていなかった。1980年代、ウォーターフロント問題がホーボーケンの主要政治課題になり、様々な市民団体や市政府が時には扱いにくい、時には愚かしい政策と裁判に巻き込まれた。1990年代、港湾公社、様々なレベルの自治体、ホーボーケン市民および私企業の開発業者が合意し、ウォーターフロントに商業ビルと住居ビルを建設し、オープンスペースを設けることになった。 ウォーターフロントの北側部分は私企業の所有する場所であったが、これも再開発された。乾ドックと生産施設は削り取られて中層のアパートが造られ、その多くは投資用住居として販売された。幾つかの建物は改修されて再利用に回された。その顕著な例がホーボーケン歴史博物館の喫茶室と機械室である。新しい建物は格子状の街路に沿って建てるよう義務付けられ、街の建築的特色と河面までの視界を保つように高さ制限が設けられた。中心街のシナトラ公園とシナトラ・ドライブはホーボーケンの最も有名な息子と考えられる男フランク・シナトラに因んだものであり、山の手のマクスウェルという名前はコーヒーを焙煎する香りが町に運ばれてきたことを思い出させ、さらに「最後の一滴まで美味しい」の大きなネオンサインが長い歴史のある風景の一部となっている。中間地区は蛇紋岩の露出部があり、その上にはスティーブンス工科大学がある。ここには唯一の未開発区域がある。崖の下には長く封印されたままのシビルの洞窟があり、今は再開の計画がある。川堤の遊歩道はハドソン川ウォーターフロント歩道の一部であり、州が建てたマスタープランではベーヨン・ブリッジからジョージ・ワシントン・ブリッジまでを繋ぎ、どこでも水辺に降りていけるようにし、ニューヨークのスカイラインを背景にハドソン川の広々とした眺めを楽しめる帯状の都市公園になる。
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ウォーターフロント
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「イーストグリニッジ (ロードアイランド州)」の記事における「ウォーターフロント」の解説
イーストグリニッジのウォーターフロントには多くのレストラン、バー、クラブがある。イーストグリニッジ・コーブにも多くのボート置き場がある。釣りや食事に適した民間の船着き場もあり、小さな海浜のある船着き場もある。海岸の対岸はゴダード記念州立公園であり、サンディポイントなど多くの海浜があり、イーストグリニッジ・コーブから容易に行くことができる。 スカロップタウン公園は、グリニッジ・コーブの南端、昔の埋め立て地の上に造られた。しかしそこは昔のウォーターフロントの別名だった歴史あるスカロップタウンの一部ではない。19世紀終盤から20世紀初期には、貧しい不法占拠者の社会であり、イーストグリニッジの他の部分から切り離された町になった。イーストグリニッジ町内にある他のビレッジとは対照的に、スカロップタウンには主に貧乏な白人とアフリカ系アメリカ人が住んでいる。元々のスカロップタウンは町の船着き場からフィンズマリーナのクラブまでである。
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ウォーターフロント
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「グレンコーブ (ニューヨーク州)」の記事における「ウォーターフロント」の解説
グレンコーブ市にはヘンプステッド・ハーバーやロングアイランド湾に広大なウォーターフロントがある。ヘンプステッド・ハーバー・ヨット・クラブ、グレンコーブ市ヨットクラブ、ガービーズ・ポイント・ボーティング協会が市内にある3大航行クラブである。ブルワーズ・ボードヤードが市内に唯一残されている船の保管ヤードである。ガービーズ・ポイント道路の端にはボートの進水場がある。カヤックのための設備は無い。 グレンコーブ地域での帆船レースは隣接するシークリフにある崖上の公園や、ガービーズ・ポイント保護地の丘陵部にある様々な地点から見られる。レースは火曜日、水曜日、金曜日夜、土曜日午後にある。毎年開催されるロングアイランド一周帆走レースは、モーガン公園の防波堤の端部がフィニッシュである。 グレンコーブのウォーターフロントの言い伝えでは「列車の音を聞くことができたら雨になる。列車の汽笛が聞こえたなら、風が東から吹き嵐になる」とされている。
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