エレキテルとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > エレキテルの意味・解説 

エレキテル〈平賀家伝来/〉

主名称: エレキテル〈平賀家伝来/〉
指定番号 86
枝番 0
指定年月日 1997.06.30(平成9.06.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 歴史資料
ト書
員数 1台
時代区分 江戸
年代
検索年代
解説文: エレキテルはオランダ語のElectriciteijt(電気)からきた言葉で、静電気起こす装置である摩擦起電器きでんき】のことである。摩擦起電器十八世紀初頭ヨーロッパで作り出されたもので、人間帯電させたり、火花飛ばしたり、火をつけたりする実験が行われた。また病気の治療に有効と信じられ電気療法として流行した
 日本へはオランダ通じて伝来した初見明和二年(一七六五)に刊行され蘭学者後藤春の『紅毛談』の中で「ゑれきてりせいりてい」の図を載せ病人の痛所より火をとる器」として紹介しているものである。また安永三年一七七四)には江戸参府オランダ商館長フェイトがエレキテルを幕府献上している。
 本草物産学者の平賀源内後藤春からエレキテルのことを聞き明和七年一七七〇)の長崎遊学の折、壊れたエレキテルを手に入れて持ち帰った電気知識まったくないにもかかわらず足掛け七年歳月をかけて、安永五年十一月、その復元成功した日本人作動させることに成功したエレキテルの第一号である。
 源内製作したエレキテルは大変な評判となり、幕府要路観覧にも供した。そしてヨーロッパ同じく医療効果があるとして諸方実験してみせた。他方源内はエレキテルを製作して販売することも行い類似品を製作する者が現れて、販売をめぐり訴訟騒ぎ起こった
 このエレキテルは香川県志度町平賀家に伝来したのであるが、形状からみてオランダ伝来のエレキテルではなく日本での製作にかかるとみられる
 外側木製の箱で、外面には唐花模様描かれており、表側には飾り房を付けた思われる環が二つある。裏側にはハンドル出ており、向かって左下方開閉口がある。箱の上部にがあり、その左右に火星の印♂と「Mars」の文字金星の印♀と「Venus」の文字がある。
 内部には、回転するガラス円筒とそれに接す金泥様のものを塗った和紙製からなる発電装置金属製櫛形・環・腕からなる集電装置鉄屑を充した直立するガラス製の蓄電瓶、ガラス円筒を紐により回転させるための、ハンドル付いた木製円盤等がある。
 ハンドル円盤を回すと、懸け渡されベルトによりガラス円筒回転しガラス円筒摩擦して静電気発生する電気ガラス円筒に平行に置かれ櫛形から円筒下げられた環により集電され、金属腕により中央の蓄電瓶に導かれる蓄電瓶から箱の上突き出た銅線鈎状曲がった先端に鎖を二本吊るし、その両端被験者持たせ帯電させた。
 平賀源内のエレキテル製作を機に電気研究が行われるようになり、橋本宗吉のように科学的対象として実験重ね文化八年一八一一)に『阿蘭陀始制エレキテル究理原』を著す者も出た
 このエレキテルは平賀家から大正四年(一九一五)に逓信博物館寄贈されたものである。なお、香川県志度町平賀源内記念館には平賀家から寄贈されたもう一台のエレキテルがある。これは蓄電瓶はなく、電気集電用鎖を通じて直接人間帯電させる仕組みである。
 エレキテルは電気機器対す日本人初めての出会いとなったものであり、またわが国製作され最初電気機器として、その後電気研究端緒となった本機平賀家伝来品であり、また現存する数少ないエレキテルとして、日本電気科学史上貴重である。

エレキテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/22 16:23 UTC 版)

平賀源内作のエレキテル(複製)。国立科学博物館の展示。

エレキテルは、江戸時代の博物学者平賀源内が復元した摩擦起電器のこと[1]で、オランダ語(ラテン語)のelektriciteit(電気、電流)がなまったもの。静電気の発生装置。源内は「ゐれきせゑりていと」と表記している。

概要

1787年発行の蘭学書「紅毛雑話」に描かれたエレキテル
電気実験の地 (東京都江東区清澄

オランダで発明され、宮廷での見世物や医療器具として用いられていた。日本へは江戸時代に持ち込まれ、1751年宝暦元年)ごろオランダ人が幕府に献上したとの文献がある。後の1765年明和2年)に後藤利春の『紅毛談(おらんだばなし)』で紹介され[2]、それを読んだ平賀源内が長崎滞在中の1770年(明和7年)に破損したエレキテルを古道具屋あるいはオランダ通詞の西善三郎から入手し、工人の弥七らとともに1776年安永5年)に江戸深川で模造製作に成功した。

構造は外部は木製の箱型、または白木作り。内部にライデン瓶蓄電瓶)があり、外付けのハンドルを回すと内部でガラスが摩擦され、発生した電気が銅線へ伝わって放電する。

源内は電気の発生する原理を陰陽論仏教の火一元論などで説明しており、電磁気学に関する体系的知識は持っていなかったとされ、アメリカの科学者フランクリンが行った実験の情報が伝わっていたとも考えられている。日本でも見世物や医療器具として利用されたが、主に好奇による注目であった。その後も大阪の蘭学者橋本宗吉が1809~10年(文化6~7年)頃に『阿蘭陀始制エレキテル究理原』を著し、自らもエレキテルを製作。手を繋いで輪になった人々に通電して感電を体験する百人おどしの実演を行った。しかし寛政の改革による贅沢の禁止や出版統制などにより、電気に関する科学的理解・研究は後の開国以降や明治期まで停滞することとなった。

源内製造とされるエレキテルが現存しており、うち1台が「エレキテル(平賀家伝来)」として1997年平成9年)6月30日に国の重要文化財(歴史資料)に指定された。これは現在、東京都墨田区郵政博物館に収蔵されている。他に平賀源内先生遺品館(香川県さぬき市)にも蓄電瓶がない1台が現存している。

脚注

  1. ^ 布施光男「江戸時代電気技術はどう培われたか(シリーズ;ふりかえれば未来が見える)」『電気学会誌』第115巻第1号、一般社団法人 電気学会、1995年、35-39頁、doi:10.1541/ieejjournal.115.35 
  2. ^ 田村栄太郎『人物・近世エレキテル文化史』雄山閣、1985年6月5日、3頁。ISBN 4639004842 

関連項目

外部リンク


エレキテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/17 14:43 UTC 版)

beatmania IIDXに登場するGOLIのキャラクター」の記事における「エレキテル」の解説

エレキXenon-世音-にて作り出している自作ののカクテル。IIDXバイブル時点21番まであるが、識やデュエル飲んだところ良い味にならなかったという。名前の由来自身の名前とエレキテルから。

※この「エレキテル」の解説は、「beatmania IIDXに登場するGOLIのキャラクター」の解説の一部です。
「エレキテル」を含む「beatmania IIDXに登場するGOLIのキャラクター」の記事については、「beatmania IIDXに登場するGOLIのキャラクター」の概要を参照ください。


エレキテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 09:43 UTC 版)

悪代官 (ゲーム)」の記事における「エレキテル」の解説

勇者魔道師攻撃の際に口にする言葉平賀源内摩擦起電器ではない。彼等造語の為、特に意味は無い。

※この「エレキテル」の解説は、「悪代官 (ゲーム)」の解説の一部です。
「エレキテル」を含む「悪代官 (ゲーム)」の記事については、「悪代官 (ゲーム)」の概要を参照ください。


エレキテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 09:04 UTC 版)

ROOTS26」の記事における「エレキテル」の解説

エレキXenon-世音-にて作り出している自作ののカクテル。IIDXバイブル時点21番まであるが、識やデュエル飲んだところ良い味にならなかったという。名前の由来自身の名前とエレキテルから。

※この「エレキテル」の解説は、「ROOTS26」の解説の一部です。
「エレキテル」を含む「ROOTS26」の記事については、「ROOTS26」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「エレキテル」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「エレキテル」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「エレキテル」の関連用語

エレキテルのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



エレキテルのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2024 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのエレキテル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのbeatmania IIDXに登場するGOLIのキャラクター (改訂履歴)、悪代官 (ゲーム) (改訂履歴)、ROOTS26 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS