ガウェイン卿とラグネルの結婚
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「ガウェイン」の記事における「ガウェイン卿とラグネルの結婚」の解説
『ガウェイン卿とラグネルの結婚』(The Wedding of Sir Gawain and Dame Ragnelle)は、15世紀後半に成立したと見られる中英語の物語。中世に流行した「嫌でたまらない女」をテーマにしている。主人公が醜い女性とキス、あるいは結婚させられるのをテーマとしている。同じテーマを扱ったもので作品として、カンタベリー物語に収録されている、『バースの女房の話』などが存在する。 アーサー王のもとに、若い女が駆け込んできた。心の捻れた騎士が彼女の愛人を捕虜にして、土地を奪ってしまったという。その騎士の城に入ると、アーサー王の手足の力が抜け、大きい声を出そうにも腹に力が入らない。そこに、大きな体の騎士が現れ、「ひとまず返してやる。第一に今年の暮れまでに戻ってくること、第二に世の中の婦人たちが一番望むものは何か、という質問の答えを、持ち帰ってくること。その二つの約束を破ったなら、降参の印として君の国を渡すのだ。」とアーサー王に告げる。その約束をしたアーサー王は、城の外に出ることが出来た。 王は城や町、村の者にその質問をしたが、どの答えもありふれていて信用できなかった。とうとう十二月の半ばを過ぎた。その日、アーサー王は馬に乗って考えているうちに森に入ってしまった。ふと気づくと、木の間に真っ赤な服を着た女がいた。女の顔は、二目と見られないほど醜かった。女は王に、あなたがかけられている謎を解くには、今が一番良い時なのだ、と話しかける。アーサー王は、彼女の夫に美しく礼儀をよくわきまえた騎士を探すことを約束して、女から答えを聞く。年の暮れのある日にあの城を訪ねていった王は、聞き集めてきた答えの最後に、女から聞いた答えである「自分の意思を持つこと」と答える。王に正解された騎士は「それは自分の妹だ。いつか仕返しをしてやる。」と悔しがる。今度はあの女の夫を探さなければならない。アーサー王は、出迎えたガウェインに森の女の話をした。ガウェインは自分が結婚すると言い、アーサー王もガウェインの態度を見てしぶしぶ承知する。 何日か後に結婚式は行なわれた。二人きりになって、さすがのガウェインもすっかり嫌になる。ありのまま、「あなたは年上で、顔が醜く、おまけに上品でないのが嫌なのです。」と話すが、妻は機嫌を悪くしないばかりか、立派な答えを返す。「年を取っているということは、若い人よりも考えが深いのです。醜い顔だから、あなたは私を他人に奪われる心配がないでしょう。また、上品か下品かは、生まれつきで決まるわけではありません。」感心したガウェインがふと妻を見ると、彼女の顔は美しくなっていた。妻は、悪い魔法使いのために呪いをかけられていたのだ、と話す。二つのうちの一つ、つまり若くて優れた騎士を夫にしなければいけないという呪いが解けたところで、妻は昼美しく夜醜くなるか、昼醜く夜美しくなるか、どちらが良いかとガウェインに切り出す。ガウェインは、美しい顔を自分だけ眺めていられる方が良いから夜美しくなるのが良い、と言うが、妻は昼は大勢の人に見られるから昼に美しくする方が嬉しいと反対する。考え込んだガウェインは、自分の考えを取り消す、と静かに口をきいた。すると、妻の思い通りに行ったので、二つ目の呪いも解けた。妻は、一日中美しい顔でいられるのだ。 それと同時に、その兄、つまり例の心の捻れた騎士の呪いも解けた。兄妹共に、悪魔の呪いに巻き込まれていたのだ。その騎士も、男らしい心の広い騎士に戻ったのだった。
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