サイトカインとは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:06 UTC 版)
細胞シグナリングにおいて重要な小さい蛋白質(およそ5 - 20 kDa)であり、広範かつ緩やかな分類概念である。細胞からのサイトカイン分泌は周囲の細胞の行動に影響する。サイトカインはオートクリン、パラクリン、および内分泌のシグナリングに免疫調節因子として関与するといえる。サイトカインのホルモンとの明確な違いについては現在研究途上にある。サイトカインにはケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、および腫瘍壊死因子が含まれる一方、例えばエリスロポエチンのように多少の用語上の重複があるものの、一般的にはホルモンと成長因子は含まれない。サイトカインは多様な細胞により産生される。それにはマクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、肥満細胞といった免疫細胞のほかに内皮細胞、線維芽細胞、各種の間葉系細胞をも含む。したがって、ある1つのサイトカインが多種類の細胞により産生されることがありうる。 サイトカインは受容体を介して働き、免疫系において殊の外重要である。たとえば、サイトカインは液性免疫と細胞性免疫のバランスを調節し、ある特定の細胞集団の成熟、成長、および反応性を制御する。ある種のサイトカインは他のサイトカインの作用を複雑な方法で増進または抑制する。 ホルモンもやはり重要な細胞シグナリング分子であるが、サイトカインは一般にホルモンとは異なる。ホルモンは特定の臓器の内分泌腺より血中に分泌され、比較的一定の範囲の濃度に保たれる。 サイトカインは健康・病気いずれの状態においても重要であり、感染への宿主応答、免疫応答、炎症、外傷、敗血症、がん、生殖における重要性が特記される。 用語の由来は cyto(ギリシア語で細胞を意味する「κύτος」 kytos) + kines(ギリシア語で運動を意味する「κίνησις」 kinēsis)。
※この「サイトカインとは」の解説は、「サイトカイン」の解説の一部です。
「サイトカインとは」を含む「サイトカイン」の記事については、「サイトカイン」の概要を参照ください。
- サイトカインとはのページへのリンク