サイバー刑法
別名:情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案
サイバー刑法とは、いわゆるサイバー犯罪への対応を目的とする、刑法を中心とした改正法の通称である。2011年6月に可決し、同年7月に施行された。
サイバー刑法では、コンピューターウイルスやマルウェアなどを正当な理由なく、不正な指令を与える目的で作成・提供・保管していた場合に、処罰の対象とすることができるようになっている。サイバー刑法の施行前に逮捕されたタコイカウィルスの作者などは、器物損壊の容疑で逮捕されているが、サイバー刑法により直接「コンピュータウィルス作成罪」として罰することが可能となっている。
参照リンク
情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案 - (法務省)
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情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律
(サイバー刑法 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/23 13:24 UTC 版)
情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(じょうほうしょりのこうどかとうにたいしょするためのけいほうとうのいちぶをかいせいするほうりつ、平成23年6月24日法律第74号)は、いわゆるサイバー犯罪に対応するため、刑法ならびに関連法の改正を行う法律である。
注釈
- ^ ただしサイバー犯罪対応だけではなく、「強制執行妨害関係の罰則整備」など細かな法改正も含まれている。 “強制執行妨害関係の罰則整備の概要”. 法務省. www.moj.go.jp. 2011年6月21日閲覧。
- ^ 一部のマスメディアではこの罪をコンピュータウイルス作成(提供)罪と呼称している。
- ^ 両法により差押令状は対象物の特定性が必要であるとされている。
- ^ 強制捜査では令状が必要であるため、司法権からのチェックを受ける。
- ^ 法案の趣旨から判断すれば、対象となる電磁的記録は提供の形態に拠らないので、オープンソースソフトウェア、フリーウェア、シェアウェア、商用ソフトウェアのいずれも対象であることが分かる。またフリーソフトウェア・オープンソースソフトウェアの採用するソフトウェアライセンスはその条項内で「無保証性」を規定しているものが多いが、同時にソフトウェア受領者の準拠法国の強行法規に関しその例外が定められているものも多いため、この点を持ってして本法を逃れることはできない(代表的なフリーソフトウェアライセンスGPLについては記事"GNU General Public License#無保証性"を参照)。
- ^ この法案成立前後にかけて実際に頒布停止を予告したものもいる。 “フリーソフトウェアの一部について、近々配布を終了します”. kandk.cafe.coocan.jp (2011年6月11日). 2011年6月20日閲覧。
- ^ 例えばソフトウェア開発者がデータ削除を行うソフトウェアを作成し、(第三者が悪意を持って)そのソフトウェアを例えば「気象速報を随時受信するプログラム」であると偽り頒布した場合、審議過程の法案ではソフトウェア開発者も不正指令電磁的記録の作成者となるのか否かがはっきりしない。
出典
- ^ a b “情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案”. 内閣法制局. www.clb.go.jp. 2011年6月20日閲覧。
- ^ “第177回国会 本会議 第24号(平成23年5月31日(火曜日))”. 衆議院. www.shugiin.go.jp (2011年5月31日). 2011年6月21日閲覧。
- ^ a b c d “コンピューターウイルス作成罪新設 取得・保管にも罰則”. 朝日新聞. www.asahi.com (2011年6月17日). 2011年6月20日閲覧。
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- ^ a b “ウイルス作成罪を新設 改正刑法が可決・成立”. ITmedia. www.itmedia.co.jp (2011年6月17日). 2011年6月20日閲覧。
- ^ a b 平成24年5月30日政令154号
- ^ a b “情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案”. 法務省. 2017年10月4日閲覧。
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- ^ “「コンピューター監視法」成立”. 人民新聞. www.jimmin.com. 2012年1月25日閲覧。
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- ^ “第177回国会 法務委員会 第14号(平成23年5月27日(金曜日))”. 衆議院. www.shugiin.go.jp (2011年5月27日). 2011年6月20日閲覧。 “
大口委員「その説明がない場合を問題にしているわけでございますけれども、そういう事例もあると。それから、プログラム業界では、バグはつきものだ、バグのないプログラムはないと言われています。そして、例えば、無料のプログラム、フリーソフトウエアを公開したところ、重大なバグがあるとユーザーからそういう声があった、それを無視してそのプログラムを公開し続けた場合は、それを知った時点で少なくとも未必の故意があって、提供罪が成立するという可能性があるのか、お伺いしたいと思います。」
江田国務大臣「あると思います。」” - ^ 高木浩光 (2011年5月27日). “高木浩光@自宅の日記 - ウイルス罪法案、バグ放置が提供罪に該当する事態は「ある」と法務省見解”. takagi-hiromitsu.jp. 2011年6月20日閲覧。
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- ^ 高木浩光 (2011年6月14日). “高木浩光@自宅の日記 - 参議院法務委員会で参考人意見陳述してきた”. takagi-hiromitsu.jp. 2011年6月20日閲覧。
- ^ “情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議”. 参議院. www.sangiin.go.jp (2011年6月16日). 2011年6月20日閲覧。
- ^ Impress Internet Watch (2011年6月17日). “「ウイルス作成罪」盛り込んだ刑法改正案が可決・成立”. internet.watch.impress.co.jp. 2011年6月20日閲覧。
- 1 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律とは
- 2 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律の概要
- 3 概要
- 4 法律成立まで
- 5 脚注
- サイバー刑法のページへのリンク