テスト犬時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 22:44 UTC 版)
「アルフ・フォン・ムト・ハイム」の記事における「テスト犬時代」の解説
民間訓練士より推薦を受けたアルフ号を担当したのが、後にアルフ号と共に注目を浴びた天野重夫(あまの しげお)巡査(当時)である。天野は温厚篤実かつ粘り強い人物で、直轄犬制度導入の翌年(1957年)から警察犬を担当し、アルフ号以前の担当犬でも実績を挙げていた。初めてアルフ号を見た天野は、体躯の小柄な点を心配したが、十分な持来欲(じらいよく)を持つ点と、当時優秀な成績を挙げていた担当犬アリス号と顔つきが似ている点に期待したという。 1967年2月7日に警視庁警察犬訓練所の「テスト犬」(仮入所)となったアルフ号は、当初、問題の多い犬だった。先天的に胃腸が弱く、排便時間でないときに犬舎で下痢をするので、他の犬とは別に消化の良い餌を与える必要があった。訓練にあたっては、「座れ」「伏せ」などの動作はできたが、体力が無く障害飛越訓練などで疲れると言うことを聞かず犬舎へ逃げ戻るので、訓練所の係員からは「ダメ犬」との批判や民間訓練所への返却を促す声もあった。一般に直轄犬導入には3ヶ月の「テスト犬」期間を置き、その満了時に警察犬としての適性を評価し民間訓練所へ返却するか警察予算で購入するかを決定されるが、アルフ号は実績ある天野の請願によってその期間を延長された。 アルフ号には体力以外に何か長所があると考えた天野は、アルフ号に体力を要する訓練を無理に強いず、代わりに応用訓練である足跡追求などを試みたところ、アルフ号は地面との摩擦で鼻先に傷を負ってもなお匂いを追う集中力の強さを見せ、この点で適性を認められて、仮入所から10ヶ月ほどを経た1967年12月1日に直轄犬採用(正式入所)された。なお、この際天野は、アルフ号と仲の良かった同僚犬アリス号を使い、アリス号の匂いを追わせるところからアルフ号の特質を導き出したともされる。
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