ネーター環
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数学においてネーター環(ネーターかん、英: Noetherian ring)は、イデアルの昇鎖条件などのある種の有限性を持つ環の一種。エミー・ネーターによって提唱された。すべてのイデアルは有限生成という条件から単項イデアル整域の一般化と見ることもできる。
- ^ クルルの標高定理(Krull's height theorem)とも
- ^ Cohen, I. S. (1950). “Commutative rings with restricted minimum condition” (英語). Duke Mathematical Journal 17 (1): 27–42. doi:10.1215/S0012-7094-50-01704-2. ISSN 0012-7094 .
- 1 ネーター環とは
- 2 ネーター環の概要
- 3 次元
- 4 参考文献
ネーター環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/28 18:55 UTC 版)
詳細は「ネーター環」を参照 環 R がネーター的(この概念を発明したエミー・ネーターに因む)であるとは、任意のイデアルの昇鎖 0 ⊆ I0 ⊆ I1 ⊆ … ⊆ In ⊆ In + 1 ⊆ … が安定、すなわちある番号 n 以降は一定となることをいう。これは R の任意のイデアルが有限生成であると言っても同じであるし、R 上有限生成な加群の任意の部分加群がまた有限生成になると言っても同じである。同様に、環がアルティン的であるとは、任意のイデアルの降鎖 R ⊇ I0 ⊇ I1 ⊇ … ⊇ In ⊇ In + 1 ⊇ … がどこかで安定となることを言う。上記二つの条件は対称的なものに見えるにもかかわらず、ネーター環のほうがアルティン環よりも大いに一般の環となる。例えば有理整数環 Z はすべてのイデアルが単項生成ゆえにネーターだが、安定しない無限降鎖として例えば Z ⊋ 2Z ⊋ 4Z ⊋ 8Z ⊋ … が取れるからアルティンではない。実はホプキンス・レヴィツキの定理により任意のアルティン環はネーターになる。 環がネーター的であるというのは極めて重要な有限性条件であり、この条件は代数幾何学で頻繁に生じる多くの操作のもとで保たれる。例えば、R がネーター環ならば、その上の多項式環 R[X1, X2, …, Xn] もそう(ヒルベルトの基底定理、独: Hilbertscher Basissatz、英: Hilbert's basis theorem)であり、また任意の局所化 S−1R や剰余環 R/I もそうである。
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