任意的倒産処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 21:24 UTC 版)
債務者が債権者らと任意に協議して財産関係を処理することをいう。法的倒産手続とは異なり、債権者と債務者の当事者間での合意に基づいて債権を処理するものである。 大別して、法令または業界団体等のガイドラインに準拠して行われる準則型私的整理(例としてADR一般や、自然災害債務整理ガイドラインなど)と、債権者及び債務者が(多くの場合代理人弁護士を介して)全くの任意に交渉を行う純粋私的整理に分類されることが多い。 債務者が個人である場合には経済的再生を目的とすることになるが、法人である場合には清算を目的とすることも再生を目的とすることもある。債権者が消費者金融、クレジット会社、銀行などの場合は、債務者本人が任意整理をしようとしても債権者がこれを相手にすることは少ないため、通常は弁護士や認定司法書士などに依頼することになる。債権者らが消費者金融の場合、約定利息を利息制限法に引きなおすことで債務額を減額し、また36回から60回程度の分割払いで和解することによって債務を整理することが多い。 純粋私的整理(任意整理・内整理) 純粋私的整理では、法的倒産処理手続と異なり公の機関による監督がないため、時間的・経済的に有利ともいえるが、整理案に反対する債権者を拘束する手段がないことや、不平等な整理案が作られる可能性が高いなど不正が行われやすい弊害もある。複数の金融機関が関与する私的整理手続においては、私的整理を実現するためには、主導権を握る主要貸付を行った金融機関(メインバンク)が、他の金融機関の貸付を実質的肩代わりを余儀なくされる「メイン寄せ」の問題があることが、私的整理手続による債務整理の利用の障害となる問題がある。 準則型私的整理 準則型私的整理では、各準則は対象となる債権者に対し事実上の拘束力(所管官庁又は業界団体としての監督権限を背景とするものなど)を有することがほとんどであるうえ、準則によっては弁護士・税理士・公認会計士等の専門家が関与する体制が整備されているため、上記のような問題は生じづらい。他方、対象となる債権者の範囲に制限がある(例えば、自然災害債務整理ガイドラインは原則として金融機関のみが対象となり、債務者が自営業者であっても取引債権者は対象とすることができない。同ガイドライン3.(2)本文。)など、一定の限界がある。 2001年9月に私的整理に関するガイドライン委員会が作成した「私的整理に関するガイドライン」を参照。 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法所定の特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続) 準則型私的整理の一種である。特定認証紛争解決事業者である事業再生実務家協会がその運営を担っている。 詳細は事業再生ADRの項目を参照。
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