分冊百科
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/14 15:12 UTC 版)
分冊百科(ぶんさつひゃっか)とは、テーマやジャンルを絞った事柄について記述したものを定期的に分けて刊行し、完成させる方式の出版物である。分冊百科は出版の間隔に応じ週刊であれば週刊誌に分類される[1]。
世界初の百科事典も分冊百科として販売された(詳細は後述)。
概要
分冊百科は、パートワーク(part work、分冊出版)、週刊百科、ファイルマガジンとも呼ばれる。また、ワンテーママガジン(one theme magazine)とも呼ばれるが、この呼称は日本では、別冊宝島(宝島社)などのムックシリーズを指す場合がある。
1751年、フランス革命前夜のに開始された、フランス啓蒙思想運動の一環としてダランベール、ディドロ、ヴォルテール、ルソーらが企画した分冊の『百科全書』(L'Encyclopédie)が世界初の分冊百科及び百科事典として発行が開始された。
1959年(昭和34年)、イタリアの出版社であるデアゴスティーニが、百科事典を分冊・再編集・廉価化し定期刊行したのが起源である。なお、分冊百科形式の先達としては、18世紀ハンブルク市の音楽監督ゲオルク・フィリップテレマン(G.Ph.Telemann)の手になる『忠実な音楽の師』があげられる。付録の楽譜が必ず一号で完結せず、「続きは次号で」となっており、全冊揃える事で完結する形式となっている。
日本では、日本メールオーダー社が1970年(昭和45年)に創刊した「週刊アルファ大世界百科」が最初とされる。1971年(昭和46年)には朝日新聞社が参入している。日本メールオーダー社は通信販売、朝日新聞社が新聞販売店ルートの販路を活用し、日本の分冊百科2社時代が1980年代後半まで続いた。
1990年代に入ると大手・中堅出版社が相次いで参入し、2000年代に入ると年間総創刊数が20以上に増加。2006年(平成18年)の推定総販売額は302億円である[2]。
本来分冊百科とは、分冊形式の出版物として百科事典や全集などへの完成を見るものである。しかし、現在では、歴史や科学などの(一つの)主題・テーマが絞り込まれた内容のものが主流となっており、「百科(多岐にわたる事柄の分野)」の意味を持たず、出版物として分冊形式を踏襲しているに過ぎないものが多い。
次項の「発行形態」も、これら一般的な意味合いの指す分冊百科について記述する。
発行形態
発行頻度
価格
各号の定価は、書籍主体のシリーズが500 - 700円程度、模型パーツや、CD・DVD・BDなどの音楽や映像ソフト等の付録主体のシリーズが1000円 - 2000円程度。創刊号(第1号)は、第2号以降(通常価格)の半額程度と戦略的な価格を設定するものが多い[3]。
刊行号数
総刊行号数はシリーズによって異なり、総刊行予定号数については出版社ホームページ等で確認できる場合がある。
シリーズによっては、当初予定よりも刊行号数が増加・減少する場合がある。
追加刊行の場合、購読者からの要望や、出版社側による発案の場合がある。追加刊行については、内容がより充実する事を評価する意見と、全号購読総額が高くなる事を批判する意見双方がある[4]。
先行発売
分冊百科の中には、全国発売の前に、一部の地方でテスト的な先行発売を行う場合がある。デアゴスティーニ・ジャパン#刊行物の特徴の「先行発売」記事を参照。
付録
前述の通り、本来分冊百科は印刷物の冊子が商品の主体であるが、現在では、毎号に付録される模型パーツを集めて組み立てると最終的に大型の模型が完成する、DVDやアナログレコードを揃えることで一貫したテーマのDVD、レコードコレクションになる、パソコンのソフトのCD-ROM(DVD-ROMも。但し、製品版と比べて一部性能の制限あり)などの趣向を採用したものも多い。この場合は付録が単なるおまけではなく、むしろ商品構成の中心となっている。
分冊百科のシリーズの中には、シリーズ毎に別デザインを施した分冊百科冊子を綴じるためのバインダーを、出版社が独自で発売しているシリーズがあり[5]、創刊号や節目となる途中の号にバインダーが付録された事例もある[6]。
分冊百科出版社
- デアゴスティーニ・ジャパン
- アシェット・コレクションズ・ジャパン
- 宝島社
- 講談社
- 小学館
- 集英社
- 朝日新聞出版 - 朝日新聞社から分冊百科事業を継承
- ベースボール・マガジン社
- デル・プラド - 日本市場参入 2000年〜2004年
出典
- ^ 『日本印刷年鑑 2008年版』日本印刷新聞社、60頁。
- ^ kotobank.jp(コトバンク) - 出典「知恵蔵2008」朝日新聞出版
- ^ a b 各出版社サイトを参照
- ^ 日刊サイゾー|2008年 - 週刊 鉄道 DATA FILE全300号刊行関連記事
- ^ バックナンバー・バインダー一覧 - 出版社のバインダー販売サイトの例
- ^ バックナンバー紹介Archived 2010年8月7日, at the Wayback Machine. - 途中の号にバインダーが付録された例。(週刊エヴァンゲリオン・クロニクル新訂版 第31号)
分冊百科
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 05:25 UTC 版)
トミーテックが製造を担当し、講談社から発売された「Nゲージ ジオラマ製作マガジン」。車両や情景部品などの多くは通常製品の色違いであったが、一部は新規作製された。第3弾の小型ターンテーブルは、特許を取得した製品で、のちに限定発売された。 週刊 昭和の「鉄道模型」をつくる - 第1弾。2007年7月~2008年7月に刊行。 週刊 鉄道模型 少年時代 - 第2弾。2009年7月~2011年2月に刊行。 週刊 SL鉄道模型 - 第3弾。2012年1月~2013年6月に刊行。
※この「分冊百科」の解説は、「トミーテック」の解説の一部です。
「分冊百科」を含む「トミーテック」の記事については、「トミーテック」の概要を参照ください。
分冊百科
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 00:37 UTC 版)
本番組をもとにした分冊百科として、デアゴスティーニ・ジャパンより「隔週刊 鉄道 ザ・プロジェクト」を発行。定価は初号のみ499円、それ以外は1529円。2020年5月26日から8月18日まで宮城・茨城・栃木県にて6号まで試験販売し、翌年1月12日より全国発売。なお表紙題字は「鉄道 THEプロジェクト」と表記されている。 毎号鉄道伝説の内容から1話を収録したDVDを封入し、マガジンはDVD収録されたエピソードから本編をチャプターごとに解説し重要で興味深い内容をまとめた「ピックアップストーリー」・ゆかりの深い場所を紹介する「鉄道紀行」・プロジェクトの中心となった人物を紹介する「人物列伝」の3章で構成される。 刊行リスト 東海道新幹線 国家的プロジェクトを敢行せよ(2020年5月26日試験発売・2021年1月12日全国発売) 国鉄581・583系 昼夜を問わず走る電車を開発せよ(2020年6月9日試験発売・2021年1月26日全国発売) 碓氷峠 横川-軽井沢間の急勾配104年の戦い(2020年6月23日試験発売・2021年2月9日全国発売) 特急「あさかぜ」国鉄20系客車 走るホテルを作れ(2020年7月21日試験発売第5号・2021年2月22日全国発売) ビジネス特急こだま 東京-大阪間を日帰りせよ(2020年8月18日試験発売第6号・2021年3月9日全国発売) 新幹線N700系 東海道・山陽新幹線 究極の車両 その先へ(2020年7月7日試験発売第4号・2021年3月23日全国発売) 国鉄485系 万能型特急で全国を駆け巡れ(2021年4月6日発売) 国鉄キハ58系 ディーゼル動車を全国に展開せよ(4月20日発売) 国鉄101系 通勤形新性能電車のパイオニア(5月1日発売) キハ181 高速鉄道網を全国に完備せよ(5月18日発売) 80系湘南電車 長距離運行電車を開発せよ(6月1日発売) 381系電車 カーブを振り子で攻略せよ(6月15日発売) 小田急SE車 特急電車の未来を拓け(6月29日発売) D51 戦中戦後を駆け抜けた万能蒸気機関車(7月13日発売) 500系新幹線 営業運転・時速300kmへの挑戦<前編>(7月27日発売) 500系新幹線 営業運転・時速300kmへの挑戦<後編>(8月10日発売) 名鉄パノラマカー 通勤電車グレードアップで未来をひらけ(8月24日発売) 285系サンライズエクスプレス 新世代の寝台電車を開発せよ(9月7日発売) 大阪万博 波動輸送 2200万人の輸送を成功させよ(9月21日発売) 近鉄ビスタカー 災いを転じて福と成せ(10月5日発売) JR東海300系新幹線 東京-新大阪2時間30分を実現せよ(10月19日発売) 営団300形 鉄道車両技術の再生"失われた10年"を取り戻せ(11月2日発売) 阪急梅田駅 私鉄最大のターミナル駅を造れ(11月16日発売) 東急8090系 独自のステンレスカーを開発せよ(11月30日発売) 京成スカイライナー 成田空港に特急を走らせよ(12月14日発売) 国鉄153系東海形 東海道本線黄金時代を飾った電車急行 (12月27日発売) 京浜急行電鉄 日野原保物語 高密度ダイヤ・高速度運転の限界に挑戦せよ(2022年1月11日発売) 御殿場線と丹那トンネル 箱根の山を克服せよ(1月25日発売) 西武鉄道5000系 その後の物語 初代レッドアロー富山での復活(2月8日発売) 動力近代化計画 未来へ向けて 国鉄一大プロジェクト(2月22日発売) 小田急NSE車 グレードアップを遂げるロマンスカー(3月8日発売) 京阪テレビカー 時代に合わせたサービスで勝負せよ(3月22日発売) 大井川鐵道 保存鉄道のパイオニア(4月5日発売) 京浜急行電鉄を陰で支えた男の物語 安全マネジメントを確立せよ(4月19日発売) キハ85系 特急ワイドビューひだ パノラマ特急で未来を拓け(5月2日発売) 富山ライトレール LRTで地方都市の未来を切り拓け(5月17日発売) 小田急VSE車 ロマンスカーの伝統を継承せよ(5月31日発売) 阪神なんば線 悲願の大阪ミナミ乗り入れを実現せよ(6月14日発売)
※この「分冊百科」の解説は、「鉄道伝説」の解説の一部です。
「分冊百科」を含む「鉄道伝説」の記事については、「鉄道伝説」の概要を参照ください。
- 分冊百科のページへのリンク