初期の文学作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 10:31 UTC 版)
ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』においても重要な人物であった。この書物の中でガウェイン(Gualguanus、グワグルグアヌスと表記)はアーサー王の甥にして優秀な武将として活躍。経歴としてはロット王とアンナの息子であり、12歳のときにローマ教皇スピルキウスの小姓として派遣され、そこで騎士の爵位をえたとされている。戦場では決着こそ着かなかったものの、ローマ皇帝ルキウスと一騎討ちを演じるなどの活躍をするものの、弟のモドレドゥス(モードレッド)のクーデター鎮圧の戦いにおいて戦死してしまった。 後の作品では、ガウェインが少年時代をローマで過ごしたというモンマスの設定を受け継いだものが数作ある。たとえば、中世ラテン語で書かれた騎士道物語、『アーサーの甥、ガウェインの成長記』はガウェインの誕生、少年時代と初期の冒険を描いている。ここでは、ガウェインは自分の名前と素性を知らずローマで育ち、やがて「外套の騎士」としてペルシアと戦うなどの活躍をしている。 以降の作品でガウェインを登場させているものは、ガウェインを人望のある人物として描いている。クレティアン・ド・トロワの物語では、ガウェイン(ゴーヴァン)は騎士道の鑑として、発展途上の主人公との対称する存在として描かれている。未完成に終わった『パーシヴァル、または聖杯の騎士』(Perceval, the Story of the Grail)などがその典型である。しかし、精神性よりも礼儀作法や騎士道を重視するガウェインよりも、クレティアンの描く主人公たちは道徳的に優れていることを示すのが普通である。
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