可能の助動詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/03 09:21 UTC 版)
可能、つまり日本語では「…できる」「…られる」などと訳せる助動詞は ရ /ja̰/ ヤ、တတ် /daʔ~taʔ/ ダッ ~ タッ、နိုင် /nàɪɰ̃/ ナイン の3種類が存在する。 まず ရ は本動詞としては〈得る〉の意味を持ち、動詞の後に従属節化の လို့ lui' /lo̰/ ロォ を置いたさらにその後ろに現れ、英語の can や may と同様に一般的な可能性、〈何かをするにあたって障害がない〉という意味合いがある。 次に တတ် には主語の先天的あるいは後天的な技能を表す意味合いがあり、〈…語を話せる〉という文もこの助動詞を用いて表現される。 そして နိုင် は本動詞としては〈勝ち取る〉の意味を持つが、精神的・物理的に何かを行うことが可能であるという意味合いを持ち、その瞬間に何ができるかということが重要であるというのが တတ် とは異なる点である。ただし နိုင် は一般的・仮定的な可能性の意味を表すために使われる場合もあり、この場合は「動詞 + လို့ရတယ်」の構文の場合と意味が被る。 これらの助動詞を同じ主語・同じ本動詞と共に用いた文には以下のようなニュアンスの差が出てくる。 ကျွန်တော်ပြောလို့မရဘူး။ 転写: kyvanʻ toʻ pro lui' ma ra bhū". IPA: /t͡ɕənɔ̀ pjɔ́ lo̰ mə ja̰ bú/ カナ表記: チャノー ピョー ロォ マ ヤ ブー グロス: 私.男 話す 〔従属節化〕 〔否定〕 得る 〔否定〕 訳:「僕が話すのは無理だ。」 含意:〈僕には話すことが許されていない〉あるいは〈僕には話す機会がない〉 ကျွန်တော်မပြောတတ်ဘူး။ 転写: kyvanʻ toʻ ma pro tatʻ bhū". IPA: /t͡ɕənɔ̀ mə pjɔ́ daʔ bú/ カナ表記: チャノー マ ピョー ダッ ブー グロス: 私.男 〔否定〕 話す できる 〔否定〕 訳:「僕は話せない。」 含意:〈僕は言語が分からない〉あるいは〈僕は何も思いつかない〉 ကျွန်တော်မပြောနိုင်ဘူး။ 転写: kyvanʻ toʻ ma pro nuiṅʻ bhū". IPA: /t͡ɕənɔ̀ mə pjɔ́ nàɪm bú/ カナ表記: チャノー マ ピョー ナイン ブー グロス: 私.男 〔否定〕 話す 勝ち取る 〔否定〕 訳:「僕は話せない。」 含意:〈僕は疲れ過ぎている〉、〈僕は興奮し過ぎている〉など
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