各種の白道仏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 07:51 UTC 版)
白道は様々な仏を制作しているが、木喰があらゆる神仏を彫っているのに対し、白道は子安観音や地蔵菩薩、薬師如来、恵比寿・大黒、観世音菩薩、子安観世音菩薩、不動明王を主としている。また、宇賀神なども彫っている。 白道仏は三種の系統が指摘され、木喰仏と似た上原地蔵堂の子安地蔵像に見られる型、福蔵院の百体仏に見られる無造作な型、板材を利用した恵比寿・大黒天などの型がある。特に恵比寿大黒像は木喰の作例が少なく、白道独自の像と評される。白道仏は銘のないものも多いが、一部の像には木喰仏と同様に背銘に「南無阿弥陀仏」の六字名号があり、白道仏の名号は笹字の書体で記され、「陀」の文字に特徴がある。 子安観音菩薩は立像で、甲州市塩山に集中して存在しているが、晩年に居住した大月市では見られない。2メートル規模の巨大なものから、15センチメートルから40センチメートルほどの小像が存在する。巨大な像は立木仏であることが指摘され、背後には穴があり胎内仏が収められているものもある。小型の小安観音像は甲州市塩山のほか各地に存在する。 地蔵菩薩・薬師如来像は造形的には子安観音像と共通し、持物により区別される。地蔵菩薩像は長野県駒ヶ根市に多く分布し、薬師如来像は大月市にのみ分布する。 恵比寿大黒天像は生涯にわたって制作し、最も数が多く山梨県では甲州市塩山、上野原市、大月市、長野県では駒ヶ根市、東京都の多摩地方に分布している。初期の作例は独尊の対像であるが、後に一材で中央を分割し、恵比寿・大黒を彫った双体形式となる。裏面には笹字による書が四行分記され、焼印も押されている。木下は白道の恵比寿大黒天像をA - Eの6類型に分類している。 観世音菩薩像は甲州市塩山下小田原の福蔵院の百体仏が唯一のもので、40センチメートル前後の光背を有した百体観音が、2008年時点で97体が現存している。また、『萩原木食繁昌』には甲州市塩山赤尾の「長谷寺」に白道作の観音像が存在したとされるが、2008年時点で発見されていない。不動明王像は甲州市塩山上萩原上原に唯一伝存する。 ほか、山梨県南都留郡忍野村忍草の東円寺にも白道作と見られる像が伝来しており、後述の富士吉田市に伝来する六字名号とともに、白道の富士信仰に関する資料として注目されている。
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