回頭
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回頭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/25 00:17 UTC 版)
「ヴィクトリア (戦艦)」の記事における「回頭」の解説
トライオンは、第1戦隊を構成する6隻の戦列(左列)を率いて旗艦ヴィクトリアに座乗し、8ノットで前進していた。副将のヘイスティングス・マーカム少将は5隻からなる第2戦隊(右列)を率いて戦艦キャンパーダウンにあった(マーカムの通常の旗艦は戦艦トラファルガーだったが、修理中だった)。トライオンは、彼には珍しく、部下の士官と演習計画について事前に話し合っていた。それは、2つの艦隊を内側に180度逐次回頭させるというもので、これにより進行方向は逆になり、間隔は400ヤード(370m)まで狭まることになっていた。そしてこの隊形で数マイルを航行したのち、減速して90度一斉回頭して港に向かい、夜までに投錨する、という計画であった。それを聞いた士官たちは、その運動によって両戦隊は1,200ヤード(1,100m)ほど近づくため、両戦隊は少なくとも1,600ヤード(1,500m)離れていなければならない、と進言したが、実はそれでさえ安全のための余裕としては不十分だった。通常の艦の旋回半径を考慮すれば、操艦終了後に400ヤードの間隔を残すためには2,000ヤードの間隔が必要だったのである。トライオンは、士官の進言に対し8ケーブル(1,300m)の間隔の必要を認めたが、実際に戦隊に送られた信号は6ケーブル(1,000m)だった。彼の部下の士官のうち2人はその命令で良いのかどうか、おそるおそる質問したが、トライオンは無愛想にそれでよいと言った。 トライオンは8.8ノットへの増速を命じた後、15時頃に両戦列の全艦に対して内側への180度回頭して進路を反転させるよう命じる信号を送った。しかしながら、各艦の戦術的旋回半径は800ヤード(特別な操艦を行った場合には600ヤード)であり、間隔が1,600ヤード以下であった場合には衝突の危険があった。 命じようとした艦隊運動は、信号書にあらかじめ決められているものではなかったため、トライオンは2つの戦隊に次のような別個の命令を送った。 「第2戦隊は艦隊の序列を維持しつつ左舷に16点回頭せよ」(「16点」は32方位で180度に相当) 「第1戦隊は艦隊の序列を維持しつつ右舷に16点回頭せよ」 この「艦隊の序列を維持しつつ(preserving the order of the fleet)」というフレーズについて、艦隊運動の開始時点の右舷の戦列が、運動終了時にも右舷であることを意味している、とする見解がある。この見解は'The Royal Navy' Vol VIIの415から426ページに述べられており、それによれば、トライオンは1つの戦隊は外向きに回頭させるつもりだったことを示唆している、ということになる。 部下の何人かは、トライオンが何を計画しているかを知っていたにもかかわらず異議を唱えなかった。別の戦列の指揮を執っていたマーカムは危険な命令に戸惑い、受諾したことを示す信号の掲揚が遅れた。これに対してトライオンは「何を待っているのか?」という趣旨の信号を送った。指揮官による公然の非難にさらされたマーカムは、ただちに自らの戦隊に回頭の開始を命じた。後日、2隻の旗艦に乗っていた何人もの士官が、トライオンが土壇場になって新しい操艦を命じるものと予測し、期待していたと語った。
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