国際システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 21:57 UTC 版)
国際関係はアナーキーであるが、完全な無秩序ではない。主権国家が並存することにより分権的な秩序が形成されている。しかし主権国家に優越する全世界的な統治機関がないために、その秩序はそれぞれの国家の対立関係や協力関係の帰結である。しかしこのような主権国家が形成する秩序は相互作用のまとまりと認識できる場合には国際システムと呼ばれる。 主権国家で構成される国際システムはヨーロッパにおいて三十年戦争後の1648年にウェストファリア条約に起源を持っている。しかしこれが世界中に定着するのは20世紀になってからであり、例えば東アジアでは中華秩序の下で国際関係が秩序付けられており、西アジアではイスラームに基づいた国際関係が形成されていた。19世紀初期には34カ国しかなかった主権国家も第二次世界大戦後には66カ国、ソビエト連邦の崩壊後には193カ国にまで増大し、主権国家の国際システムは普及した。 現代の国際システムは従来型の主権国家が主体となる秩序に加えて非国家主体が台頭しつつある。国際連合や世界銀行のような国際機構、国際的に経済活動を展開する多国籍企業、国境なき医師団のような非政府組織などがそれである。また欧州連合のような地域的な国家の連合体も登場しており、以前の主権国家を単位とするシステムは変容しつつある。これは関税や為替管理、出入国管理などによる交流の拡大、通信技術の発展による情報網の拡大などにより促進されていると考えられる。またそれまでナショナリズムによって統合されていた国民国家の中でも民族や部族などの単位に分離するエスノ・ナショナリズムが掲げられるようにもなっている。
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