かんぜん‐ようしょく〔クワンゼンヤウシヨク〕【完全養殖】
完全養殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 08:21 UTC 版)
親魚のもつ卵、および精子の成熟条件や仔魚・稚魚期の餌が解明されたことで、2010年には実験室レベルではあるが、水産総合研究センター(現・水産研究・教育機構)が、養殖した親ウナギに産卵させ、孵化したレプトケファルスを親ウナギにする技術(完全養殖)が成功した事が発表された。しかし、飼育費用が高額なため、商業化には至っていない。
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完全養殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:18 UTC 版)
ウナギの人工孵化は1973年に北海道大学において初めて成功し、2002年には三重県の水産総合研究センター養殖研究所(現「増養殖研究所」)が仔魚(幼生)をシラスウナギに変態させることに世界で初めて成功した。しかし人工孵化と孵化直後養殖技術はいまだ莫大な費用が掛かり、成功率も低いため研究中で、養殖種苗となるシラスウナギを海岸で捕獲し、成魚になるまで養殖する方法しか商業的には実現していない。自然界における個体数の減少、稚魚の減少にも直接繋がっており、養殖産業自身も打撃を受けつつある。 そうした中で2010年、水産総合研究センターが人工孵化したウナギを親ウナギに成長させ、さらに次の世代の稚魚を誕生させるという完全養殖に世界で初めて成功したと発表。25万個余りの卵が生まれ、このうち75%が孵化したと報じており、先に述べた稚魚の漁獲高減少もあって、期待を集めている。だが、孵化直後の稚魚の餌の原料にサメの卵が必要で、毎日水を入れ替えなければならず、人工環境ではほとんどオスしか生まれないため産卵のためにホルモンによるメス化が必要など、多くの課題が残されている。 2012年には、マリンスノーが餌となることが突き止められた。また、鶏卵やヤマメの精巣も餌になることが判明し、幼生は約9割が育つまでになった。しかし、2013年の現状ではシラスウナギ1匹にかかるコストは飼料代、設備投資、人件費、光熱費など1000円以下では無理だといわれている。水産庁は、完全養殖の商業化の目標年を2020年としている。 2019年には、人工で育てたシラスウナギを民間の養殖業者に委託し、成魚にするサイクルにはじめて成功した。これにより安定したウナギの生産につながると期待されている。
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完全養殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 01:41 UTC 版)
2002年に近畿大学水産研究所が30年余かけて、商業化に向けて研究を続け世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功、2004年には市場へと出荷が開始された(近大マグロ)。近畿大学は和歌山県串本町の大島実験場と奄美大島の奄美実験場を拠点に技術開発を進め、稚魚の生産が増えたことと稚魚の輸送技術が確立された事などから、2007年12月から自身の完全養殖稚魚(人工孵化の第三世代)を他の蓄養業者に出荷する事業を開始。2009年には約4万匹の稚魚を育成、内約3万匹を養殖業者へ出荷している(4万は日本の海で漁獲されている幼魚の10分の1の量)。今後は、2010年現在3から5パーセントの稚魚の生存率を10から20パーセント程度に向上させるのが目標となっている。また、マルハニチロは2015年に約1万匹出荷を目指して完全養殖に取り組んでいる。2020年までには東南アジアへ2000匹を輸出を目標としている。 東京海洋大学では、移植によってサバにマグロの精子を作らせることより、マグロを量産する方法の研究を進めている。
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完全養殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 07:53 UTC 版)
生物の誕生から次世代への継続というサイクルをすべて人工飼育で実施することを完全養殖(かんぜんようしょく)という。例えば、魚類であれば、成魚から卵を採り人工孵化の後に成魚に育て、さらに成長させた大魚から卵を採って人工孵化させるというサイクルが出来ると完全養殖と呼ぶ。ナマズ、サケ科、コイ科、マダイ、トラフグ、浅海性のエビ等多くの食用となる種では技術確立し、完全養殖が行われている。一方、食用魚介類として馴染みのあるイカ、タコ、サンマ、イワシ、アジ、海生カニ、牡蠣などでは完全養殖は行われていない。例えば、養殖魚として馴染みのあるハマチにおいては天然産稚魚を捕採し育てる畜養が全てを占めている。 完全養殖は「産卵」「孵化」「稚魚育成」「性的成熟」まで全ての過程を最適条件に管理した環境下で行うもので、生物の生態と各課程を詳細に研究し最適な餌、水温、明るさなどの条件を見出す必要が有る。実際に完全養殖を行おうとした場合、目的とする魚種の生態解明だけで無く親魚の飼育と稚魚の生産までに架かる生産コストも重要で、生産コストの上乗せが容易なウナギ、マグロでは技術開発に成功しているが、サンマやイワシなど安価で販売される魚種では技術開発も行われていない。しかし、21世紀に入ってから、かつては、不可能とされていたウナギなどの魚介類での完全養殖の実験が実験室レベルで成功し、特にクロマグロは長い期間をかけて完全養殖を商業的に成り立たせており、今後の技術発展に水産業者の関心が集まっている。 完全養殖の世代を重ねると、養殖し易い特性を持つ遺伝集団が形成される反面、単一の形質をもつ遺伝的な多様性に欠ける集団となる。その結果、環境ストレスに対する耐性や耐病性を低下させると共に、継代人工種苗が親魚(Broodstock)となった自然界での再生産のサイクルが良好に機能しない原因となっている可能性がアユでは指摘されている。一方、遺伝的多様性を維持する為に、養殖メスと野生オスを交配させ次世代の種苗とする事で遺伝的多様性の維持をはかることが可能である。
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