実数の構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 07:43 UTC 版)
詳細は「実数の構成(英語版)」を参照 公理的集合論を用いて、実数の集合を有理数の集合上で組み立てられた(英語版)ある種の構造として明示的に定義する方法はいくつか存在する。まず、自然数とは、ものを数えるときに用いる番号のことであり、0 から始めて 0, 1, 2, … と、+1 ずつ添加していくことにより得られる。自然数を拡張して整数全体を得るには、各自然数の反数を添加すればよい。さらにそれらの商を添加すると、有理数全体が得られる。これらの数体系には、加減乗除という四則演算が付随しており、さらに、任意の2数を比較しての大小関係(どちらが大きいか、小さいか、等しいか)という順序をも備えている。 有理数から実数への拡張は(自然数から整数や有理数への拡張と比べて)大きな飛躍である。この拡張の方法は、少なくとも2つの手法がよく知られている。ともに1872年に発表された有理数の切断によるものとコーシー列によるものである。これらの実数の構成法により 0.999… = 1 を証明している実解析の教科書は見られない[要出典]。現代数学では、解析学的に実数を構成し、それが数の公理を満たすかどうかに注意が払われる。公理による解析的手法により 0.999… = 1 を証明することになるからである。しかしながら、実数の構成をより適切に、論理的に行うことにより、0.999… = 1 の証明はもっと直接的になされる (self-contained) と主張する人もいる。
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実数の構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 04:18 UTC 版)
実数の構成法の一つに、完備化と呼ばれる有理コーシー列から実数を定めるものがある。 有理数 q は、常に一定値 q を値にとる数列 (q, q, q, …) と同一視して、有理数全体の成す集合 Q は、有理コーシー数列全体の集合 X に含まれるものと見なす。また、コーシー列に、項同士の四則演算をもとに四則演算を定義することができ、これは有理数同士の四則演算と両立している。特に、X は (0, 0, 0, …) を零元、(1, 1, 1, …) を単位元とする環である。ここで、(xn) − (ym) が 0 に収束するという関係 ∼ は同値関係になる。この同値関係 ∼ で割った商環 X/∼ は、同型の違いを除いて一意的に決まる。この X/∼ を R と書き、実数体とよぶ。 X の元 (xn) に対して、その極限を標準射影によって lim n → ∞ x n := [ ( x n ) n ∈ N ] ∈ X / ∼ {\displaystyle \lim _{n\to \infty }x_{n}:=[(x_{n})_{n\in \mathbb {N} }]\in X/\sim } と定める。もし、(xn) が通常の意味で有理数値の極限 r を持つならば、有理数列 (xn − r) は 0 に収束するので、ここで定義した極限は通常の意味の極限と両立している。 コーシー列同士の四則演算の極限は、演算を行う列のとり方によらずそれらの列の極限のみから定まるので、X/∼ における距離を自然に定めることができる。 今、任意の実数のコーシー列 ( x n ) n ∈ N {\displaystyle (x_{n})_{n\in \mathbb {N} }} に対して、有理数列 ( y n ) n ∈ N {\displaystyle (y_{n})_{n\in \mathbb {N} }} で、任意の n について |xn − yn| < 1/n となるものをとることができる。この有理数列 (yn) は | y i − y j | < | x i − x j | + 1 i + 1 j → 0 ( i , j → ∞ ) {\displaystyle |y_{i}-y_{j}|<|x_{i}-x_{j}|+{\frac {1}{i}}+{\frac {1}{j}}\rightarrow 0\quad (i,j\rightarrow \infty )} であるので、コーシー列である。このため、(yn) は R 内に極限値 z を持ち、実数列 (xn − z) は 0 に収束する。よって、実数のコーシー列 (xn) は実数 z に収束する。 このことから、R の任意のコーシー列は収束する、すなわち R が完備であることが分かる。
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