工業用アルコール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 06:52 UTC 版)
工業用に作られたエタノールが酒税法で定める酒類に転用されるのを防ぐために、昭和12年(1937年)に制定された旧アルコール専売法や平成12年(2000年)に制定されたアルコール事業法では、容積比で90 %のエタノールを含むアルコールの製造・使用・流通を制限ないし管理している。 旧アルコール専売法の下では公示価格が設定され、酒類に転用するには高すぎる価格(酒税相当分が加算された価格)で販売された。工業用に使用するアルコールにはこの公示価格は適用されなかったが、その場合は添加物を加えて飲用不可の状態とすること(変性アルコール)が義務づけられていた。 アルコール事業法が施行され、専売制が廃止された後は、変性アルコールでないアルコール(一般アルコール、無変性アルコール、事業法アルコールなどと呼ばれる)も自由に取引できるようになった。ただし、製造・輸入・使用・販売には、経済産業大臣の許可が必要である。なお、製造業者や輸入業者は省令で定められた加算額を含む価格で工業用アルコールを販売することができ、これを特定アルコールという。特定アルコールは許可を受けずに誰でも購入して自由に使用することができる。 工業用アルコールには、その原料・製造方法の違いにより発酵アルコールと合成アルコールの2種類がある。発酵アルコールはサトウキビから作った糖蜜などを原料として、それを発酵させて作る。合成アルコールはエチレンから化学的に合成されたものである。合成アルコールは、旧食品衛生法でいうところの化学的合成品にあたり、食品添加物としてもヒトの食べ物に使用できないと定められている。
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