必要労働力の推定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 05:20 UTC 版)
古墳には大小様々あり、その体積を計算すると、前方後円墳に限定しても約210万立方メートルの大仙陵古墳といった巨大なものから、約400立方メートルの小型のものまで差が大きい。古墳の体積から必要労働力を推定した研究はいくつかあるが、その中でも仁徳天皇陵とされる大仙陵古墳について大林組が算出したものが精緻である。 大林組による算定にあたり、いくつかの前提・推定が与えられている。 計画の前提条件 建設時期は現在(1985年)とし、仁徳天皇陵と全く同規模の墳墓を古代工法により再現する。 建設の範囲は墳丘・2重濠までとし、3重目の濠や陪塚は含まない。 工事は現代人が古代工法で行い、古代工法は古墳時代当時の土木工事に従う。 建設場所は現在の陵の敷地とし、地表は雑草・灌木に覆われた洪積台地とする。 客土材は陵の西側の土取り場より採取する。葺石は石津川から採取する。 工事関係者の労働条件・労働賃金などは現在の社会に従う。 施工条件 建設用工具は鉄製または木製のスキ、モッコ、コロを使用する。 労働者はピーク時で1日2000人とし、牛馬は使用しない。 作業時間は、1日8時間、ひと月25日間とする。 建設事務所は陵の敷地内、労務宿舎を客土採取場の中に置く。 その他前提条件 作業員数をピーク時で日当たり2000人と設定。 伐開除根面積は36.86万平方メートル。 墳丘土量140.5866万立方メートル、外濠掘削・盛土13.9万立方メートル、内濠掘削・盛土59.9万立方メートル、客土掘削・盛土74.2万立方メートル。 葺石536.5万個(1.4万トン)。 埴輪1.5万個。 葺石運搬のための水路を掘削。 埴輪の製造は工事見積もりに含まない。 見積もりした工程別の施工期間 伐開除根・地山均し:3.3か月。 測量・地割・丁張りほか:2.3か月。 外濠掘削・盛土:11.4か月。 内濠掘削・盛土:46.1か月。 客土掘削・盛土:103か月。 葺石運搬用水路掘削:5.2か月。 葺石採取・設置:142か月。 埴輪設置:48か月。 石室工事:6か月。 運搬路撤去:6.1か月。 後片付け:3.2か月。 総工期:15年8か月(並行工程があるため上記合計より短い)。 見積もりした工程別の作業員数 土掘削:67万人。 土運搬:446万人。 盛土:24.3万人。 伐開除根、測量、排水工事その他:43.4万人。 葺石採取と選別:8万人。 葺石運搬:9万人。 葺石設置:2.5万人。 埴輪工程:埴輪製造の作業員については不確定要素が多く除外。 施工管理:作業員10人に1人の世話役を配する労務編成を単位とし、ピラミッド型の階層構造になっていたと想定。 総作業員数:680.7万人。 総工費:796億円(1985年当時の貨幣価値)
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