抵当権に基づく妨害排除請求
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 15:57 UTC 版)
「抵当権」の記事における「抵当権に基づく妨害排除請求」の解説
日本の抵当権規定は、ボワソナード旧民法を介して、フランス法・ベルギー法の影響を強く受けている。しかし、民法制定後、日本でドイツ法的解釈が支配的となると、抵当権は抵当目的物の交換価値のみを把握する価値権であり、担保に供された物の使用には介入するべきでないと考えられるようになり(特に我妻栄の影響)、物権的請求権についても所有権等と比べて制限があった。そのため、短期賃貸借制度を悪用するなどして抵当目的物を占有し競売代金を低下させ、それを恐れた抵当権者から法外な敷金の返却や立退料を求める占有屋が跋扈した。それゆえ、20世紀末になると、そうしたドイツ的解釈が日本において前提となる必然性はないと考えられるようになった(内田貴などが主張)。 平成11年(1999年)の最高裁大法廷判決は、傍論であるが抵当権に基づく妨害排除請求権を初めて認めた。この判決により占有屋の跋扈に一定の歯止めがかけられることとなった。さらに、平成17年(2005年)判決では、正面から抵当権に基づく妨害排除請求権を承認した。
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