拒否 [denial]
拒否権
拒否
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 23:23 UTC 版)
戦後、美濃部は次のような証言をしている。1945年2月下旬、連合艦隊主催の作戦会議 もしくは三航艦司令部があった木更津基地における沖縄戦の研究会が実施された。軍令部の方針で練習機の投入などが決まっており、三航艦は特攻を主体とするという説明があった。司令代行として参加した美濃部は「特に速力の遅い練習機まで駆り出しても、十重二十重のグラマン防御網を突破することは不可能です。特攻の掛け声ばかりで勝てないのは比島戦で証明済み」と反論した。意外な反論を受けたある参謀は「必死尽忠の士が空を覆って進撃するとき、何者がこれをさえぎるか!第一線の少壮士官が何を言うか!」と怒鳴りつけたが、美濃部は「いまの若い搭乗員のなかに死を恐れる者は誰もおりません。ただ一命を賭して国に殉ずるためには、それだけの目的と意義がいります。しかも、死にがいのある戦功をたてているのは当然です。精神力一点ばりの空念仏では、心から勇んで発つことはできません。同じ死ぬなら、確算のある手段を講じていただきたい」「劣速の練習機が昼間に何千機進撃しようと、グラマンにかかってはバッタのごとく落とされます。2,000機の練習機を特攻に狩り出す前に、赤トンボまで出して成算があるというのなら、ここにいらっしゃる方々が、それに乗って攻撃してみるといいでしょう。私が零戦1機で全部、撃ち落としてみせます!」と反論したという。 美濃部の遺稿によれば、美濃部に怒鳴ったという参謀は連合艦隊主席参謀黒岩少将という名前の人物で、美濃部は黒岩が主張する「戦場も知らぬ狂人参謀の殺人戦法」に怒りを覚えたと強く批判している。しかし、連合艦隊参謀に黒岩という人物は存在せず、美濃部が黒岩少将は終戦時に事故死したことを述べているので、当時連合艦隊首席参謀で終戦時に事故死した神重徳大佐(事故死で少将に特進)の偽名とする意見もある。ただし、美濃部の遺稿では殺人凶器発案者として大田正一少尉(桜花の発案者)を挙げ、推進者が羅列される中に軍令部第一部長黒岩少将とあるが、桜花が軍令部に提案された際の第一部長は中沢佑少将である。中沢は1945年2月には台湾海軍航空隊司令官として台湾で、終戦時に事故死したということはない。美濃部の遺稿では海軍将官や高級士官が実名で批判されており、黒岩のみ偽名を使った理由は不明とする意見もある。 なお、美濃部に取材経験のある戦史作家豊田穣が、美濃部の生前に出版した記述によると、第一航空艦隊司令長官・大西中将が出席していたとして、美濃部の意見を聞いた大西が「美濃部少佐、君はここにいる指揮官のなかでは一番若いように思われるが、その若い指揮官が特攻を忌避する態度を示すようでは、皇国の前途は案じられるがどうかね?」と訊ねたのに対し、美濃部が「いや、長官。私は特攻を拒否すると言っているのではありません。特攻の命令が下ればいつでも部下を出します、しかし、現在わが芙蓉部隊の現況をみるに、古い搭乗員は着艦訓練もとっくに終わり、夜間航法、夜間攻撃も可能です。しかし、若い搭乗員は、鹿児島から沖縄へゆく航法もろくに出来ない程度です。指揮官としては、ベテラン搭乗員は予定通り、夜間の進攻制圧と特攻の直援に使用し、若い搭乗員は今しばらく腕を磨かせたいと思うのです。」と要望し、その要望に対し連合艦隊参謀長の草鹿龍之介は納得したが、すでに部下を特攻に出していた航空隊指揮官らの反感のあるなかで、直属の上司となる三航艦司令長官寺岡も美濃部を支持したという。芙蓉部隊員河原正則少尉の戦後の手記でも美濃部は豊田の著書と同様に「わたしは特攻の命令が下ればいつでも部下をだします、しかし、現在の芙蓉部隊の搭乗員は、夜間攻撃において十分戦果をあげうる技量を持っています。計画通り夜間の進攻制圧と特攻直掩に使用させていただきたいと思うのです」と特攻を強く拒否する主張をしたわけではないとしている。 さらに、戦後の出版物には以下の根拠不明の主張もある。第五航空艦隊司令長官宇垣纏中将が会議後に美濃部の肩を叩いて、「お前のやり方でやれ」と美濃部を支持したという主張もあるが、宇垣の戦時日誌には2月下旬に木更津の会議に出席したという記述はない。連合艦隊主席参謀ではなく参謀長の草鹿が「貴様は何を言うか。必死尽忠の士が空をおおって進撃するとき、これを阻むものがあるか」と怒鳴りつけたという主張もある。 一方、美濃部が終戦直後にまとめた芙蓉部隊の報告書『芙蓉部隊天号作戦々史 自昭和20年2月1日至昭和20年8月末日』では、1945年2月に行われた第三航空艦隊による「研究会」で、美濃部は、フィリピンの戦闘901飛行隊長のときに、敵攻撃により地上で多くの作戦機を撃破されたという痛い経験から、作戦機の秘匿について「この(作戦機の)秘匿に対して不眠不休の熱意と責任感があるのか?如何なる妙戦法も机上だけでは成立しない」という自説を主張したが、居並ぶ三航艦の司令や飛行長は悠然と煙草をくわえて特に反応もなかったので、美濃部は三航艦幕僚や各指揮官らに対して「我は航空の権威者なりと自負せし不忠者ばかりなり」という非難を心に秘めたと述べられ、特攻に関する記述はない。また、美濃部自身の回想も同じ遺稿のなかで、美濃部と口論となった参謀が主張したとされる、“空を覆って進撃する「必死尽忠の士」”が2,000機であったり、4,000機であったりと記述が一定しない。 芙蓉部隊から戦後の航空自衛隊まで美濃部の下で働いた海兵第73期で航空自衛隊幹部学校の元校長藤澤保雄は「自分たちが特攻隊ではないと線引きされた記憶はないし、そんなこと当時公言したら大変なことでしたよ」と美濃部が特攻を拒否したとされる事実も、芙蓉部隊が特攻から除外された記憶もないと回想し、他に芙蓉部隊隊員であった小田正彰、平松光雄らは口々に「自分たちは特攻隊だと思って毎日過ごしていた」と当時を振り返っている。実際に、芙蓉部隊では連合艦隊司令長官名で全軍に布告する感状が6名の戦死者に授与されているが、そのうち4名までが特攻で戦死したとして賞されたものであった。 また、美濃部は自分の意見具申の結果、九三式中間練習機の沖縄への特攻出撃は見送られ、本土決戦のため拘置されたとも主張しているが、1945年5月20日には、九三式中間練習機のみで編成された神風特別攻撃隊「第1龍虎隊」8機、6月9日にも「第2龍虎隊」8機が台湾から沖縄に向けて出撃し、いずれも天候等の問題もあって宮古島、石垣島、与那国島に不時着して攻撃に失敗している。また、7月28日には宮古島から沖縄に九三式中間練習機で編成された神風特攻隊「第3龍虎隊」7機が出撃し、駆逐艦キャラハン を撃沈、カッシン・ヤングを大破させ、他2隻を撃破する戦果を挙げている。 芙蓉部隊が異例の判断で特攻から除外されたという主張もある。連合艦隊や三航艦司令部などに芙蓉部隊の訓練の様子を視察させるなどの美濃部の努力により、芙蓉部隊は美濃部の希望通り、特攻に参加せず、通常航空作戦に従事することとなったという意見もある。しかしこれは事実とは異なり、沖縄戦では特攻機より通常攻撃機のほうが多く、沖縄戦における海軍航空隊出撃機の延べ機数は、特攻機1,868機に対し、制空戦闘機3,118機、偵察機1,013機、通常攻撃機3,747機、通常作戦機合計7,878機(含芙蓉部隊)。芙蓉部隊も出撃した4月27日(零戦8機 彗星20機 合計28機出撃)でも、芙蓉部隊以外の通常航空作戦機として、芙蓉部隊と同じ飛行場攻撃に天山艦上攻撃機4機、陸軍重爆撃機5機、艦船攻撃26機、偵察・哨戒3機、合計38機(除偵察機35機)が出撃している。
※この「拒否」の解説は、「美濃部正」の解説の一部です。
「拒否」を含む「美濃部正」の記事については、「美濃部正」の概要を参照ください。
拒否
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 02:44 UTC 版)
前述した初夜権の意義に反し、新婚夫婦が拒否する場合は様々な罰金や罰則が課されたという。事例として、1538年に発行されたスイス北部のチューリッヒ州議会の布告によると、初夜権を拒否する場合は新郎が4マルク30ペニヒ(1マルク Mark = 100ペニヒ Pfennig)の罰金を支払わなければならないと定められていた。また、ドイツ南部のバイエルン地方では、初夜権を拒否した新郎は「上衣か毛布」を、それと合わせて新婦は「自分の尻が入るサイズの大鍋」か「自分の尻と同じ重さのチーズ」を罰則として納めなければならない習わしがあった。ただし、これらがいわゆる「形骸化した儀式や儀礼(セレモニー)」であった可能性は高く、結婚税に相当する税金の徴収理由や呪術的な厄払理由として都合よく正当化されたり通俗化された方便に過ぎなかったとする説も多い。
※この「拒否」の解説は、「初夜権」の解説の一部です。
「拒否」を含む「初夜権」の記事については、「初夜権」の概要を参照ください。
拒否
「拒否」の例文・使い方・用例・文例
- 社長は賃上げ要求を拒否した
- はっきりとした拒否
- 米国大統領は拒否権を行使した
- 君には私の申し出を拒否する権利がある
- そんな要求は拒否されるに決まっている
- 彼はきっぱりと拒否した
- 彼女は私の申し出をふんと言って拒否した
- きっぱりと拒否する
- 大統領は拒否権を有する
- 会を延期しようという彼の提案は拒否された
- 彼は職務上の権限でその申し出を拒否した
- アパートの住人たちは賃貸料値上げに抗議して支払い拒否のストライキをした
- 彼は総理大臣の職に就くことを拒否した
- 彼らは援助の申し出を拒否した
- 彼は組合への加入を拒否した
- 大統領は拒否権を行使した
- 法案を拒否する
- 相手側が拒否設定にしている
- 席料みたいなものなの。お通しを拒否できるお店もあるみたいだけど。
- 彼女は子宮摘出術を拒否した。
拒否と同じ種類の言葉
品詞の分類
- >> 「拒否」を含む用語の索引
- 拒否のページへのリンク