政府・与党
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 07:47 UTC 版)
詳細は「イギリス政府」を参照 イギリスにおいて「government」という言葉は、政府だけでなく与党も意味するため、政府と与党は区別されていないことに注意する必要がある。 行政の最高権限は現在でも枢密院が握っているとされるが、形式的なものである。実際には議院内閣制に基づき政治が行われる。イギリス政府が執行権をもつ。 首相の任命は、総選挙の後や前首相の辞任の際に、国王によって行われる。このとき国王は「首相は庶民院の議員でなくてはならない」、「庶民院の支持をうけて組閣するのに最も適していると思われる人物を選ばなくてはならない」という、厳格な慣習に従う。とはいえ実際には、議会の信任を得られる人物でなければ、首相の任務を遂行できないため、選ばれる人物は、庶民院で絶対多数を占める政党の党首に事実上限定される。 任命された首相は内閣を組閣し、様々な政府組織の長となる大臣を選任する。イギリスにおける大臣は、日本の副大臣にあたるような下級大臣も含むため、その総勢は100人を超え、そのうち上級大臣の20人ほどが内閣を構成する。これらを閣内大臣と呼び、閣議に出席しない下級大臣を閣外大臣と呼ぶ。 内閣には首相と各省を専管する大臣及び大法官、ランカスター公領大臣、枢密院議長、王璽尚書、財務省首席国務大臣および若干の無任所大臣・閣外大臣によって構成される。このうち、ランカスター公領大臣は特命の政策事項を、王璽尚書と枢密院議長は議会の上下両院の院内総務の事務を執り行う。 解散権については、国王が首相の要請に応じて行使する。解散できるのは庶民院のみであり、かつて首相はいつでも解散を要請できたが、2011年に制定された議会任期固定法により、議会の任期は5年に固定され、首相の解散要請は大きく制限されることとなった。ただし、内閣不信任決議案が可決された場合、あるいは庶民院が3分の2以上の賛成をもって解散決議を可決した場合は解散を要請することができる。また特例法を制定することで、議会任期固定法の制限にとらわれず解散することも可能である。 内閣は議会の信任によって成立し、議会に対し責任を負う。下院において内閣に対する不信任案が成立または信任案が不成立となった場合、あるいはそれに匹敵する重要法案の採決で政府が敗北した場合には、憲法習律上内閣は総辞職するか、議会を解散して総選挙を行うよう国王に助言しなければならない。 実際には大政党の議員は、党の方針に従い投票するように指示する「whip(院内幹事)」によって厳しく統制されており(党議拘束)、与党が大きく半数を超えて多数派を占めているのであれば、立法上の投票ではまず敗北することはない。最後に政府提出法案が庶民院で否決されたのは、1986年の営業時間法案であり、このようなことは20世紀中に3回しかなかった。 与野党の議席差が僅かな場合や連立与党の場合は、政府の力はずっと弱くなるため、病欠中の議員を車椅子で連れてきて投票させるような、極端な手段をとる場合もある。 逆に1983年の保守党・サッチャー政権や1997年の労働党・ブレア政権のような場合は、選挙で圧勝し大きく半数を超えており、政党内での反対があっても問題なく、事実上全ての投票に勝利できるため、改革や新制度のための立法を急進的に進めることが可能であった。 一方、ジョン・メージャー政権のように、わずかに多数を取っているだけの場合は、政府提出法案も、比較的僅かな平議員が造反して反対票を入れるだけで簡単に否決される。このような場合に、賛否の分かれる法律を成立させることは極めて難しいとわかれば、党内で派閥との取引や、他の政党との協力を模索するなどの策を取る必要が出てくる。
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