整流管
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/25 03:02 UTC 版)
「ギター・アンプ用真空管」の記事における「整流管」の解説
真空管回路の要は電源部で、安定した直流電圧を維持するため、昔から工夫が凝らされてきた。整流管は電源部で交流を直流に変換するために使われる整流器である。電圧が不安定になると、音質に影響が顕れる。瞬間的に生じる電圧降下を利用して、アタックの柔らかいまろやかなサウンドをつくる目的から整流管を用いる場合もあるが、これは整流器に半導体ダイオードを用いても特に難しいことではない。電源部については整流管を用いるよりも半導体ダイオードを用いるほうがメリットが大きく、そのようになっているアンプのほうが多い。 むしろ整流管を用いるメリットは、そのゆっくりとした動作開始にある。半導体ダイオードを用いた場合、電源投入後、直ちに高圧が各真空管に印加されるが、これは真空管やその周辺回路のためにはあまりよいことではない。すなわち、各真空管のヒーターが点灯し、その動作が可能となったところで高圧が印加されるのがよく、整流管のゆっくりとした立ち上がりは他の真空管や周辺回路の協調保護に貢献する。現在でも使われている大型真空管などの場合、まず、ヒーター点灯、立ち上がった時点で高圧ONといったシーケンスが組まれるが、小型のギター・アンプなどではこのシーケンスが省略されることが多い。 なお、電源部は音声信号の通過する部分ではないため、ここがどちらの仕様となっていても、他が真空管で構成されていれば「オール・チューブ・アンプ」ということになる。アンプ・メーカーによっては電源部も真空管であるタイプを「フル・チューブ」と呼んで区別しているところもある。電源部も真空管でなければ本物のチューブ・アンプではない、という向きもあるがそれはまったくの間違いであり、また、半導体ダイオードを用いているから、タイトなサウンド、整流管を用いているからまろやかなサウンドが約束されるというものでもないので、事前によく検討する必要がある。
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