文庫各巻
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マリア様がみてる 憧れの小笠原祥子に身だしなみを整えてもらった事をきっかけに、福沢祐巳が薔薇の館を訪ねると、学園祭の劇について揉めていた。王子役として花寺学院の生徒会長が来る事を聞き、シンデレラ役の祥子が辞退を望んだ為である。役から逃げる為に祥子は祐巳を妹にすると言うも、祐巳はその申し出を断る。話し合いの末、学園祭までに妹にできたら降りてもいいが、その代役は祐巳が務める事になる。祐巳もその時に備えて練習に加わり、周りに溶け込んでいく。王子役の柏木が祥子の婚約者だと知った祐巳は、役を引き受けようとする。しかし祥子は同情を嫌い、申し出を受けずに役を勤める決心をする。学園祭が終わり、もう祥子と会う事もないと黄昏れる祐巳に、祥子がスールの申し込みをした。そして祐巳は、その申し出を受け入れた。 マリア様がみてる 黄薔薇革命 従姉妹で幼馴染みの支倉令と島津由乃はベストスール賞をもらう程だったが、由乃がロザリオを返し姉妹関係が解消される。新聞部の三奈子は「黄薔薇革命」とのタイトルで、忙しい令の事を考え、由乃が身を引いたと書き立て、大騒ぎとなる。そんな中、沈黙していた由乃が祐巳を病院に呼び、真相を明かす。噂話とは逆に、由乃がいないと駄目な令が強くなる様にと姉妹の解消をしたとの事だった。由乃自身も、逃げていた手術を受け入れ、強くなろうと決心した。手術の日は剣道大会の日。令は延長戦の末、リリアンを優勝へと導く。学校に復帰した由乃は令をマリア像の前に呼び出し、もとの姉妹に戻った。 マリア様がみてる いばらの森 表題作「いばらの森」と、聖が2年生のときのエピソード「白き花びら」を収録。いばらの森 女子高生セイとカホリの同性愛、駆け落ち、無理心中、そしてカホリの死が書かれた 「いばらの森」は、須加星による小説である。須加星は佐藤聖ではないかとの噂から、聖は学園長に呼び出される。聖は既に転校した栞との過去を由乃達に語り、そっくりだが作者では無いと断言する。須加星は栞なのか? 真相を求める由乃は、祐巳達をつれて宮廷社に向かう。そこで作者の須加星こと春日せい子と話をする。死んだはずのカホリは佐織という名で、何十年ぶりかの連絡を受け、生存を知ったという。12月24日、祐巳と聖は学園長室に向かうせい子と会い、聖は案内役を引き受ける。そこで祐巳は、学園長の名が佐織であることに気付く。 白き花びら 2年生になった聖は、栞と親しくなっていく。蓉子は心配し、栞が将来シスターになることを教えて諭そうとしたが、聖は栞にシスターにならないよう求め、キスをした。しかし栞に拒まれた聖は成績が悪化し、学校からの指導で栞との関係にも言及されるようになる。クリスマス・イブの日、聖と栞は駆け落ちを計画したが、待ち合わせた駅に栞は現れず、代わりに現れたのは聖の姉だった。聖は栞からの手紙を受けとり、栞が転校する事を知る。その後、聖は周りの助けを受けつつ立ち直った。 マリア様がみてる ロサ・カニーナ 例年にない生徒会役員選挙で大騒ぎとなる表題作「ロサ・カニーナ」、祐巳が祥子の家で過ごすお正月「長き夜の」を収録。 “リリアンの歌姫”蟹名静が初登場。ロサ・カニーナ 生徒会役員選挙にロサ・カニーナを名乗る蟹名静が出馬する。静が役員になれば、つぼみの内1人は役員になれない。志摩子は姉が卒業すれば未練はないと立候補を避ける。不立候補の理由を2年連続役員になる事を嫌ってと考えた静は、志摩子を妹とする事を提案し、そうする事で祐巳達と同期役員をやるよう勧めた。しかし志摩子は提案を断わって立候補し、静は落選した。静は聖に告白し、渡伊する事を伝え、聖は餞別としてキスした。 長き夜の 元旦の合宿に聖が祐巳を誘う。2人での初詣を経て、連れてこられた宿は祥子の家だった。そこには友人宅に宿泊に行った弟の祐麒と、祐麒を友人から奪ってきた柏木もいた。騒ぎながら、食べたり、ゲームをしたりして夜を迎えた。寝る前にはいい初夢を見られるように願った。 マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(前編) バレンタインデーに実施される“宝探し”イベントの話「びっくりチョコレート」、令からプレゼントに困惑する江利子と由乃の話「黄薔薇交錯」。バレンタインデーをめぐる2つのエピソードを収録。びっくりチョコレート 祐巳はバレンタインデー (V.D.) に祥子に手作りチョコを贈る事にする。新聞部からV.D.に宝(カード)探しの企画が持ち込まれる。賞品はつぼみとの半日デート券。企画の為に祥子と会う事が減り、さらに祥子がV.D.を嫌いらしいと知り、祐巳は祥子に対してうまく振舞えない。V.D.当日、志摩子と令のカードは発見されたが、祥子のカードは見つからなかった。その後、祐巳はいきさつを正直に話し、祥子もV.D.にではなく、親しくないのにチョコを贈る一般生徒に辟易していた事を伝える。祐巳はチョコを差し出すが、失敗作を出してしまう。取替えようとしたが、祥子が離さず成功作共々箱が壊れて散らばってしまう。祐巳は「びっくりチョコレート」と名付け、当たりを引くと美味しい事にする。祥子は美味しいと言い、当たり賞品は何か尋ねた。祐巳はそこまで考えていなかったが、半日デートを申し込んだ。 黄薔薇交錯 放課後、令は由乃と江利子にケーキを贈った。由乃は年々大きくなる令のチョコに恐怖していたが、今年は意外と小さかった。逆に江利子には大きい物が届いた。2人とも渡す相手を間違えたのではと悩むが、令からの連絡も無いので仕方なく食べた。何も気付いてない令は満足して寝た。 マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(後編) バレンタインデーをめぐるエピソードの続巻。祥子と祐巳、志摩子と静、令と田沼ちさとの3つのエピソードが同時進行で展開する「ファースト デート トライアングル」、祥子を慕う同級生・鵜沢美冬のエピソード「紅いカード」、バレンタインの蓉子の心境を追った話「紅薔薇さま、人生最良の日」を収録。ファースト デート トライアングル 祥子と祐巳、志摩子と静、令と田沼ちさとのそれぞれが日曜日に半日デートをする。さらに取材に来た三奈子と蔦子、令の事が頭から離れない由乃が交錯する。祐巳達は祥子が経験したことの無い庶民的な店を回る。静達は食べ物を買って学校に忍び込み、薔薇の館で食事をし、聖について語り合った。薔薇の館に一人で戻った志摩子は、静に呼び出されていた聖に会い、泣いた。令達は、映画とウィンドウショッピングを楽しんだ。ちさとは由乃が見ている事に気付き、これ見よがしに甘えてみせた。家に帰った由乃にちさとが会いに来た。令とのデートを自慢しようとしたが、デート中の令が由乃の話ばかりだった事に立腹し、泣き出す。そんなちさとを由乃は抱きしめた。 紅いカード 鵜沢美冬は転校後も幼稚舎時に世話になった祥子を慕い続けていた。高等部からリリアンに戻ったものの祥子は美冬の事を覚えておらず、親しくなるきっかけが作れない。2年生のV.D.の朝、偶然古い温室に入っていく祥子を見て、カードを手に入れる。元に戻さなければと思いつつ戻せないまま宝探しが始まった。温室に祐巳が来たが、カードが出てくるわけがない。見つかったら二人で申請しに行こうと言う人のいい祐巳を前に、真実を打ち明けようとするも勇気が出ない。宝探しが終わった後にカードを埋めなおし、気持ちを伝えられない事を自省し、自分を変えようと決心した。 紅薔薇さま、人生最良の日 V.D.に大学受験が重なった蓉子は大変な日だった。宝探し最中のリリアンに戻り薔薇の館に入ると、宝探しそのものよりも薔薇さまやつぼみと話したい一般生徒で溢れていた。宝探し終了直前に窓を開けると集合場所の中庭に集まってくる生徒達がまるで薔薇の館を目指しているように見えた。薔薇の館が一般の生徒で賑わう事を夢見ていた蓉子は感激した。 マリア様がみてる いとしき歳月(としつき)(前編) 江利子のスキャンダルに学園中が大騒ぎになる「黄薔薇まっしぐら」、行事の準備に頑張りすぎた祐巳の「いと忙し日々」、江利子と“熊男”山辺の出会い「一寸一服」を収録。黄薔薇まっしぐら 江利子が色々な男とデートしている噂が流れ、蔦子は調査した現場写真を祐巳に渡す。困った祐巳は色々な助言を聞き、真相を知ろうとするが、江利子の様子から悪い方へと考えが進む。リリアンかわら版では噂を元とした小説が発表されて大騒ぎとなる。江利子が生活指導室に呼ばれるが、写真の男はいずれも江利子の家族であった。ただし1人だけは家族ではなく、花寺学院の教師山辺だった。江利子は風変わりな山辺に惚れ込み、2人は友達として付き合うことになった。 いと忙し日々 3年生を送る会の為に大忙しだったつぼみ達は、自分達と薔薇さまとの内々のお別れ会の準備を忘れていた。祐巳は聖から1年生が隠し芸を行うのが恒例だと聞く。当日3年生を送る会は無事終わり、薔薇さまを送る会の1年生による隠し芸が始まる。恒例というのは嘘だったが、由乃の手品、志摩子の日舞、祐巳の安来節を見て薔薇さま達は大満足した。大笑いしている祥子を見た蓉子は、以前からは考えられないとその変化を喜び、安心して卒業できると思った。 一寸一服 江利子は動物園で熊のような男にあった。動物を夢中で見てる男と話し、恐竜の話を聞かされた。動物だけでなく、自分まで恐竜に見立てて話をしてくれたその男とずっといたいと江利子は思った。 マリア様がみてる いとしき歳月(としつき)(後編) 卒業を控えた蓉子・聖・江利子がそれぞれで1年生に想いを託す「will」、卒業式の薔薇さまの想いが交錯する「いつしか年も」、聖と志摩子の出逢いを描いた「片手だけつないで」を収録。will 蓉子は祐巳をからかいながら、自分が卒業した後の祥子の事を頼む。江利子は由乃を呼び出し、様々な勝負を楽しむ。3年生の教室に1人佇む聖に会った祐巳は、できる事はと訊ねると、冗談半分にキスをせがまれ慌ててしまう。一度は逃げたものの、最後だからと思い直し頬にキスをする。聖は祐巳を抱き寄せて1年を振り返り、祐巳と出会えたことに感謝した。ところが翌日、志摩子から聖の大学が同じ敷地のリリアン女子大学と聞いた祐巳は、聖に抗議した。しかし話してるうちに怒りは消え、これからもすぐ会える事を嬉しく思った。 いつしか年も 卒業式当日にも他人の世話を焼く蓉子。緊張感無く睡魔に襲われる聖。山辺が来るのを心待ちにしている江利子。卒業式でありながら薔薇さま達はいつもと変わらない。昔を回想しているうちに、聖歌が始まった。卒業式も終わり薔薇の館の面々で集まった。聖と江利子は幼稚舎時代の喧嘩を謝りあった。マリア像の前で蔦子に写真を撮ってもらい、三人の薔薇さまはさよならも言わずに別れた。 片手だけつないで 聖は志摩子に惹かれるも、栞との事を思い出し動けない。蓉子の計らいにより志摩子は手伝いとして薔薇の館に度々呼ばれる様になる。聖は卒業した姉の言葉を守り、一歩引いた所から志摩子を眺め、満足した。秋になり、誰の妹にもならず生徒会に尽くしている志摩子の立場を考え、祥子が自分の妹にしたいと言い出す。祥子を問いつめる内に、志摩子への気持ちがはっきりした聖は、授業開始直前に志摩子を教室から連れ出し姉妹となった。 マリア様がみてる チェリーブロッサム 志摩子と乃梨子が出会う「銀杏の中の桜」(雑誌『Cobalt』 1997年2月号掲載「マリア様がみてる」を再構成)、秘密を抱える志摩子に祥子たちが一芝居をうつ「BGN(バックグラウンドノイズ)」を収録。この2話は、同じエピソードを別の視点で描いている。 この巻より、祐巳たちは2年生に進級。二条乃梨子、松平瞳子が初登場。銀杏の中の桜 銀杏並木に1本だけある桜の下で乃梨子は志摩子と出会い、小寓寺で再会する。志摩子は住職の娘であり、家が寺なのにシスターを目指す苦悩を打ち明け、乃梨子は守秘を約束する。それから2人は桜の下で会うようになり、乃梨子は白薔薇と親しい事を妬まれる様になった。乃梨子は志摩子に数珠を借りるが、盗難に遭ってしまう。忙しい志摩子に盗難を伝えられないままマリア祭が終わり、新入生歓迎会が始まる。薔薇さま達が新入生に順におメダイを渡す。乃梨子の番で瞳子が待ったをかけて数珠を出し、乃梨子にメダイを受け取る資格が無いと主張する。乃梨子は詰問を受けるが、志摩子の事は漏らさない。見かねた志摩子が飛び出し、自分の数珠で、自分が寺の出である事を明かす。乃梨子は志摩子に抱きついた。 BGN(バックグラウンドノイズ) 令の祖父は小寓寺の檀家で、志摩子の悩みは既に知られていた。志摩子の口から悩みを言わせて楽にさせる為、乃梨子が志摩子と親しい事を利用する事になった。新入生歓迎会当日、祥子達は志摩子達を会わせず、瞳子を使って乃梨子が志摩子から預かった数珠を盗む。祥子達は歓迎会で芝居をして志摩子に家が寺であることを打ち明けさせた。 マリア様がみてる レイニーブルー 梅雨の時期。紅薔薇、白薔薇、黄薔薇それぞれの姉妹に危機が訪れる。乃梨子のことで悩む志摩子を描いた「ロザリオの滴」、由乃の剣道部入部で令が由乃と距離を置くようになる「黄薔薇注意報」、祥子と瞳子に疑心暗鬼する祐巳を描いた表題作「レイニーブルー」を収録。3つのエピソードが同時進行する構成で、同じ場面が別の視点で交錯する。ロザリオの滴 歓迎会から半月、志摩子と乃梨子は姉妹になるわけでも、薔薇の館へ乃梨子が来るわけでもなかった。祥子達は乃梨子を薔薇の館へ呼び、仕事を手伝わせる。祥子は些細な事で乃梨子を責め、親しい志摩子に上級生としての責任を求めた。乃梨子は志摩子を庇おうとするも、志摩子は耐えきれず薔薇の館を飛び出す。乃梨子は祥子の意図を理解し、桜の下で泣いていた志摩子にロザリオを望み、2人は姉妹になった。 黄色薔薇注意報 由乃の剣道部入部に令が猛反対して喧嘩になり、由乃は入部を強行する。令は由乃との関係を見直そうと言い出す。2人が話し合う中で、令は由乃の身体の心配よりも、由乃がいると平静を保てない自分の心の問題の方が大きい事を自覚する。そんな弱い令の為、由乃は剣道部に居続け、令はもう少し頑張る事にした。 レイニーブルー 祥子は理由も言わずに祐巳とのデートを延期し続ける。祐巳は瞳子が祥子と親しげなのを見て嫉妬しつつも我慢する。日曜日に祥子が瞳子達とドライブに行っていた事を知り、悪い方へと考えが進む祐巳はロザリオを返す事も考え、薔薇の館も避け始めた。帰り際に祥子と話そうとした時に瞳子が現れ、祐巳は祥子が待っていたのは自分ではないと知ってその場から逃げだし、通りがかった聖に救われる。祥子と瞳子は一緒に迎えの車で去ってしまった。 マリア様がみてる パラソルをさして すれ違いの末、雨の中、祥子に置き去りにされた祐巳は深く傷つき、そこへ瞳子の追い討ちをかける。その頃、祥子は原因不明の長期欠席を続けていた。 この巻で加東景が初登場。祥子に置き去りにされた祐巳は、聖達に救われ、加東景の下宿の世話になる。翌日、瞳子が祐巳を挑発し、2人の衝突は学園中に広まった。景の下宿にお礼に行くと景は不在で、祐巳は大家の池上弓子と話をする。弓子は祐巳を励ますと共に自分の学生時代を回想する。翌週、落ち着きを取り戻した祐巳は久しぶりに薔薇の館に赴く。祐巳は瞳子に祥子の様子を聞き出そうとするが瞳子は逃げ出し、2人はリリアン女子大学で弓子に会う。弓子は昔喧嘩別れした友人に会いに病院へ向かう所だった。週末、蓉子達が学校に現れ、祥子の祖母彩子の家に祐巳を連れて行く。話を聞いた彩子が祐巳を気に入り病状を伏せるよう頼んでいた為、祥子は彩子の見舞いで忙しい事を祐巳に言えなかったのだった。彩子が亡くなった後、祥子と祐巳はこれまでの事を互いに許し合った。亡くなる直前、昔喧嘩別れした友人が来院したと言う。祐巳の脳裏には弓子の事が思い浮かんだが深くは詮索しなかった。 マリア様がみてる 子羊たちの休暇 夏休み、祐巳は、祥子に招かれて小笠原家の別荘で楽しいときを過ごす。しかし、そこには憧れの存在・祥子のそばにいる祐巳を快く思わない別荘地のお嬢さまたちが罠を張って待ち構えていた。夏休み直前のある日、祐巳は「遊園地デート」の件を祥子に切り出すが断られてしまうも、代わりに祥子は小笠原家の別荘に祐巳を誘う。別荘に着いた2人は楽しく穏やかな時間を過ごす。しかし、お金持ちの令嬢仲間である綾小路菊代、京極貴恵子、西園寺ゆかりの3人が2人の別荘滞在を聞きつけ、邪魔をしようと次々に嫌がらせを画策する。そんなある日、2人は西園寺家のパーティーに招待される。危険を感じながらも、覚悟を決めた祥子と祐巳はパーティーへと向かう。 マリア様がみてる 真夏の一ページ 夏休みに起きた3つのエピソード、祥子の男嫌いを克服するための大作戦が発動する「略してOK作戦(仮)」、乃梨子のボーイフレンド・タクヤ君の情報をキャッチした真美がデート現場に張り込む「おじいさんと一緒」、令の日記に由乃がツッコミを入れる短編「黄薔薇☆絵日記」を収録。略してOK大作戦(仮) リリアン女学園と隣の男子校である花寺学院は、生徒会幹部がお互いに相手方の学園祭の手伝いをするというのが伝統となっている。しかし、今年の紅薔薇様である祥子は極度の男性恐怖症。このままでは花寺の手伝いに支障があると感じていた祐巳は、花寺に通う弟の祐麒に花寺生徒会と山百合会メンバーとの会合を打診される。これをきっかけに祐巳は祥子以外の山百合会メンバーと相談して作戦を練る。作戦名「OK大作戦(仮)」の立案からその結末までを描く。 おじいさんと一緒 新聞部に籍を置く三奈子と真美の姉妹は、「リリアンかわら版」に載せる記事のために夏休み中も山百合会の情報収集に余念がない。そんなある日、2人は乃梨子が志村タクヤなる大学生とデートの予定という未確認情報を入手した。三奈子にこのスクープをものにするように命じられた真美は、カメラ持参でデートの待ち合わせ現場を見渡せる喫茶店にて張り込みを始めた。そこで偶然相席となった老紳士と真美の会話を軸に、志村タクヤの正体が判明するまでを描く。 黄薔薇☆絵日記 令と由乃の黄薔薇姉妹が過ごした夏休みの一部を、令の日記を由乃が読んで回想する。令の妄想と由乃の突っ込みを交えた数ページの短編。 マリア様がみてる 涼風(すずかぜ)さつさつ 物語前半部は可南子の祐巳に対する挙動を中心に花寺学園祭の前日までを、物語後半部は花寺学園祭で祐巳が遭遇した災難とその結末をそれぞれ描いている。 この巻で細川可南子が初登場し、祐巳の妹候補と目されるキャラクターが出揃った。 OVA『マリア様がみてる3rdシーズン』のエンディングテーマ「Chercher 〜シャルシェ〜」の歌詞はこの話における祥子と祐巳のあるエピソードが元になっている。学園祭シーズンを迎え、例年どおり男子校・花寺学院の学園祭を手伝うことになった山百合会の面々と、いつからか祐巳を慕い手伝いに来るようになった1年生の細川可南子。次第にエスカレートする彼女の行動に祐巳は不気味さを覚えるのだった。 花寺学園祭当日、山百合会が手伝いとして参加したイベントは、祥子のがんばりもあり、特にトラブルもなく後半にさしかかっていた。そんな中、祐巳は祥子のためにイベントを中座し、ひとりで花寺の生徒会室に向かったが、ある同好会の愚挙に巻き込まれてしまう。 マリア様がみてる レディ、GO! 気まずい仲を修復するため、祐巳は可南子に賭けを持ちかける。しかし、その真意がわからない瞳子は直接祐巳に問いただすのだった。前黄薔薇さまの江利子も暗躍する波乱含みの体育祭。 マリア様がみてる バラエティギフト 4つの短編を表題作「バラエティギフト」で繋ぐ構成をしている。短編は「降誕祭の奇跡」(雑誌『Cobalt』 2003年12月号初出)、内藤笙子が初登場する「ショコラとポートレート」(同2003年2月号初出)、「羊が一匹さく越えて」(同2003年4月号初出)、江利子の物思い「毒入りリンゴ」(書き下ろし)を収録。バラエティギフトI-V 江利子から薔薇の館に贈られたお菓子のバラエティギフト。由乃は裏があると疑う。 降誕祭の奇跡 高等部の教師・鹿取真紀の前に現れた二つの“奇跡”の話。小学校6年生の黒須ひかりは、入院した病院でリリアンの生徒「キョウコ」と出会い、スールになる約束をする。しかし、中等部に入学したひかりは、スール制度は高等部にしかないと聞いて愕然とする。 高等部3年生の真紀は、友人の安倍美嘉が渥美先生に恋をしていることを知る。しかし、真紀はその恋が実らないことを知っていた。 ショコラとポートレート 中等部3年生の内藤笙子は、高等部の制服を着て、山百合会主催のバレンタイン“宝探し”イベントに潜入する。 羊が一匹さく越えて リリアン女学園高等部に外部から入学した二条乃梨子。入学案内の「当日までに準備するもの」リストにある“白ポンチョ”という謎の文字に首をひねるのだった。 毒入りリンゴ バラエティギフトの箱を渡した後に寄ったリリアン女子大学で、江利子は聖に、山辺から娘に会ってくれと言われたことを打ち明ける。 マリア様がみてる チャオ ソレッラ! 祐巳たちの修学旅行を描く表題作「チャオ ソレッラ!」のほか、初の祥子視点の短編「紅薔薇のつぼみの不在」を収録。作中では、登場人物が「チャオ ソレッラ(Ciao sorella)」をイタリア語で「ごきげんよう、お姉さま」の意と説明しているが(P145)、「Ciao」は同輩・格下に用いられる挨拶であるため、実際は不適当である。チャオ ソレッラ! 祐巳たち2年生はイタリアへの修学旅行に。ローマ、フィレンツェなどを訪問する途中、佐藤聖の影がちらついたり、留学中の静に再会したりする。 紅薔薇のつぼみの不在 祐巳たちがいない薔薇の館で祥子と可南子が向かい合う。 マリア様がみてる プレミアムブック テレビアニメ『マリア様がみてる』(第1期)の全13話のダイジェスト及び次回予告、設定資料、声優陣へのインタビューなどのほか、ひびき玲音のマンガ版『マリア様がみてる』の「祭りの前」(雑誌『Cobalt』2003年10月号初出)や書き下ろし短編小説「Answer」も収録している。Answer 蓉子と祥子の出会い。蓉子には、自分の存在をもてあましている祥子の姿が、街を壊す怪獣の姿と重なって見えていた。 同書収録の声優インタビューでの蓉子役・篠原恵美と祥子役・伊藤美紀のリクエストに応えたもの。 マリア様がみてる 特別でないただの一日 山百合会主催の学園祭舞台劇の演目が発表され、祐巳は主役を演じる羽目に。一方、先輩と対立した瞳子は演劇部を飛び出してしまう。また、この巻で可南子の秘密が明らかになる。髪型の特徴をとらえた瞳子のあだ名“ドリル”が初めて原作で使われた(P171)。 マリア様がみてる イン ライブラリー “図書館”をキーワードにまとめた短編集で、5つの短編を表題作「イン ライブラリー」で繋ぐ構成。静が登場する「静かなる夜のまぼろし」(雑誌『Cobalt』 2004年12月号初出)、初の瞳子視点の短編「ジョアナ」(書き下ろし)、「チョコレートコート」(雑誌『Cobalt』 2004年2月号初出)、「桜組伝説」(同2004年4月号初出)、「図書館の本」(同2004年8月号初出)を収録。イン ライブラリーI-VI 薔薇の館で居眠りをしてしまった祐巳が目覚めると、「図書館に行ってきます」という祥子の置き手紙が。ところが、瞳子から図書館では見かけなかったと言われ、探しに出かける。 静かなる夜のまぼろし クリスマス・イブ。ひとり暗闇の中でマッチの灯す炎を見つめながら、蟹名静は心の深みに陥っていく。 ジョアナ 前巻『マリア様がみてる 特別でないただの一日』で、祐巳が瞳子に演劇部に戻るよう促したエピソードを瞳子視点で描く。 チョコレートコート 通学の朝の電車でいつも一緒になる、気になるあの子。高等部2年生に進級した白川寧子は、彼女を見つけて妹にするが、人違いに気づく。やがて、本物が現れる。この話に関連すると思われるエピソードが『マリア様がみてる レイニーブルー』で語られている。 桜組伝説 リリアン女学園高等部の第2学年だけにしか存在しない“桜組”。その理由は謎に包まれ、様々な伝説が生まれていた。 図書館の本 ある日、高等部1年生の祝部(ほうりべ)みきは、温室で憧れの3年生“さーこ”さまを見つける。眠っている彼女の姿はまるで妖精のようで、みきは、しばし見とれてしまうのだった。“さーこ”というキーワードは、『マリア様がみてる くもりガラスの向こう側』にも登場している。 マリア様がみてる 妹(スール)オーディション 江利子と約束した妹選びの期限が迫り、由乃は焦りのあまり妹(スール)のオーディションを提案。祥子は祐巳を参加させようとし、さらに翌日、その話はなぜか新聞部に伝わっていた。そんな中、可南子に呼び出された祐巳は、あることを告げられる。有馬菜々が初登場するほか、本編にからむ形では初めて内藤笙子が登場した。 マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ 菜々と由乃の小冒険「黄薔薇パニック」、志摩子の家族関係の一端が明らかになる「白薔薇の物思い」、祐巳と祥子の遊園地デート「紅薔薇のため息」を収録。黄薔薇パニック 妹候補だという嘘の片棒を担がせた中等部3年生・有馬菜々との待ち合わせ当日、由乃は令がお見合いをすると聞かされ、なぜか菜々と一緒に現場を捜しまわる羽目に。 白薔薇の物思い 学校の帰り道、志摩子が怪しげな男に声を掛けられる。 紅薔薇のため息 祐巳と祥子は長い間の懸案だった遊園地デートに出かけるが、なぜか入り口には祐麒を連れた柏木がいた。 マリア様がみてる 未来の白地図 祐巳と瞳子の関係が動き出す表題作「未来の白地図」、令が祥子にある決意を語る「薔薇のダイアローグ」を収録。未来の白地図 試験休み、瞳子が家族と衝突して家出する。終業式後、薔薇の館でのクリスマスパーティを中座した瞳子に祐巳はロザリオを差し出す。 薔薇のダイアローグ 小笠原邸を訪問した令は、祥子に由乃と離れるため外部進学すると話す。「未来の白地図」のあるエピソードの前日談に当たる。 マリア様がみてる くもりガラスの向こう側 瞳子に拒絶された祐巳を励まそうと、祥子は小笠原邸で山百合会の新年会を催す。盛り上がる新年会。しかし、楽しい中でも、祐巳は瞳子のいない寂しさを実感するのだった。 アニメ第4期のエンディングテーマ「くもりガラスの向こう」は、この巻のあるエピソードが元になっている。 マリア様がみてる 仮面のアクトレス 由乃と令の関係が新たな段階に入る「黄薔薇真剣勝負」、祐巳たちの生徒会役員選挙を描く表題作「仮面のアクトレス」、祥子と令の内緒話「素顔のひととき」を収録。黄薔薇真剣勝負 年末に由乃が幼児時代に乗った補助輪付き以来の自転車に挑戦する話と、新年会の翌日、由乃の見守る中、令と菜々が剣道で対決する話。「手を離す」がキーワード。 仮面のアクトレス 新学期、生徒会役員選挙に瞳子が立候補し、祐巳は動揺する。結果は、瞳子の落選に終わるとと同時に、祐巳と瞳子の仲は完全に破綻してしまう。しかし、瞳子の表情は穏やかであった。 素顔のひととき 役員選挙の説明会と同時刻。妹たちがいない薔薇の館で祥子と令が「素面(すめん)」で語り合う。 マリア様がみてる イラストコレクション 文庫カバーや雑誌『Cobalt』の表紙、カレンダー、ドラマCD、DVDなどに使用されたひびき玲音のイラストを収録。また、マンガ版『マリア様がみてる』の「クリスマス・プレゼント」(雑誌『Cobalt』 2003年12月号初出)、「卒業までに…」(同 2004年2月号初出)、「ひとりの日曜日」(同 2004年4月号初出)、「年の初めの」(同 2004年12月号初出)、「祐巳のヴァレンタイン・イブ」(同 2003年2月号初出)や、令と由乃のロザリオの授受を描いた短編小説「ハレの日」(書き下ろし)も収録している。ハレの日 高等部入学式の日をベッドで迎えた由乃は、いつも「ハレの日」に参加できない自分を嫌悪していた。 マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵 生徒会役員選挙の直後から、祐巳と瞳子を取り巻く人たちの想いを描写する「キーホルダー」、ついに瞳子の秘密が明かされる「ハートの鍵穴」を収録。 一巻を通じて祐巳視点の無いストーリーは本巻が初めてである(全編小説でない「プレミアムブック」や「イラストコレクション」を除く)。キーホルダー 乃梨子や祥子たちが祐巳と瞳子を心配するなか、新聞部の真美がバレンタインデーの企画を持ち込む。 ハートの鍵穴 家族や祐巳との関係に悩む瞳子。下校時、偶然に祐巳と出会う。短編「ジョアナ」以外では描かれることのなかった瞳子視点の中編エピソード。 マリア様がみてる クリスクロス バレンタインイベント“宝探し”をめぐる2つのエピソード、様々な思惑が交錯するイベントの様子を描いた表題作「クリスクロス」、次期薔薇さまの手腕が垣間見える「地図散歩」を収録。初の田沼ちさと視点の描写がある。 “クリスクロス(crisscross)”には、“×印(を付ける)”・“食い違い”という意味がある。クリスクロス バレンタインイベント“次期薔薇さまのお宝探し”が進行する中、祐巳の気持ちを誤解していたことに気づいた瞳子はある決意を。 地図散歩 前日談。カードを隠す場所に悩む祐巳たちは校内を地図上で散歩する。アニメ第4期のオープニングテーマ「地図散歩」は、このエピソードが元になっている。 マリア様がみてる あなたを探しに 衝撃の結末を迎えたバレンタインイベント“宝探し”。副賞である“次期薔薇さまとの半日デート”も、平穏には済まないのであった。瞳子自身の口から語られる秘密を前に祐巳の覚悟が明らかになり、祐巳の妹問題は新たな局面に突入する。 マリア様がみてる フレーム オブ マインド “写真”をキーワードにまとめた短編集で、9つの短編を表題作「フレーム オブ マインド」で繋ぐ構成。「四月のデジャブ」(雑誌『Cobalt』 2007年4月号初出)、「三つ葉のクローバー」(同2006年2月号初出)、「枯れ木に芽吹き」(同2006年12月号初出)、「黄色い糸」(同2006年4月号初出)、「不器用姫」(同2005年4月号初出)、祐巳と可南子の出会いを描いた「光のつぼみ」(書き下ろし)、「温室の妖精」(雑誌『Cobalt』 2005年8月号初出)、「ドッペルかいだん」(同2006年8月号初出)、笙子が写真部の先輩にあることを命じられる「A Roll of Film」(書き下ろし)を収録。フレーム オブ マインドI-X “3年生を送る会”での写真対決に出す写真をストックから選んでいる蔦子に、祐巳は下級生から預かった落とし物のフィルムを渡すが、蔦子は自分の物ではないという。 四月のデジャブ 入学直後の事故により1年間の休学を余儀なくされた鈴本いちごは、再び高等部1年生として復帰する。しかし、たびたび遭遇する不思議なデジャブ(既視感)に、困惑を深めるのだった。 三つ葉のクローバー 高等部1年生の立浪繭は、他人の“お姉さま”にちょっかいを出して姉妹関係を破局させる噂の要注意人物。しかし、気になる上級生なら誰にでも接近する彼女の行動には理由があった。 枯れ木に芽吹き リリアン女学園高等部を卒業後、超難関大学に進学した内藤克美。妹・笙子の部屋で偶然見つけたある写真が、彼女の心に波紋を広げていく。 黄色い糸 高等部2年生“黄薔薇のつぼみ”鳥居江利子の興味を引く「男の子みたいな女の子」。彼女を観察すればするほど新たな謎が飛び出してきて、江利子の関心はますます高まるのだった。 不器用姫 高等部2年生の寛美は、幼馴染で学年が1つ下のミケを昔から可愛がり、気の弱い彼女をいじめから守ってきた。リリアン女学園で再会した寛美は、かつてのようにミケの世話を焼きはじめる。 光のつぼみ 新入生歓迎会の日、祐巳を見かけた可南子は、この人との出会いは自分の人生に大きく関わる大事になると感じる。 温室の妖精 古い温室には妖精が棲んでいる。クラスメイトのその言葉にとらわれて、高等部1年生の皐月は古い温室に通うようになる。 ドッペルかいだん 漫画研究部の夏休み校内合宿。部員である高等部1年生の水奏(みなと)は不思議な体験をする。『お釈迦様もみてる ウェット or ドライ』に関連のエピソードがある。 A Roll of Film 「フレーム オブ マインド」の謎解きにあたる話。笙子は写真部の3年生から写真対決に出品するよう命じられ、蔦子の力を借りずに撮った証明ができるある方法を提案される。 マリア様がみてる 薔薇の花かんむり 卒業シーズンを迎え“3年生を送る会”の準備で慌しいリリアン女学園。祐巳は、祥子の行動について奇妙な噂を耳にする。「薔薇の花かんむり」とは、ロザリオを意味する。 マリア様がみてる キラキラまわる 祥子の呼びかけで、遊園地に行くことになった山百合会+α(アルファ)の面々。しかし、当日集まったメンバーの雰囲気は何故か“お通夜”のようで、楽しいはずの遊園地に暗雲が立ち込めるのであった。 マリア様がみてる マーガレットにリボン “過去”と“未来”を描いた8つの短編を、表題作「マーガレットとリボン」(“現在”)で繋ぐ短編集の第4弾。各作品はすべて書き下ろし。 「ユミちゃん絵日記・未来編」2編は、作業の順番待ちの間に祐巳が書いた「これから先にすることの日記」とその現実を描いており、表題作より未来にあたる「掟破り」(あとがき)の話。 ちなみに、集英社発行誌に『マーガレット』と『りぼん』があるが、作者は決めたときには意識しておらず、「集英社に媚びてつけたタイトルじゃない」、「変更する理由にはならないし、どっちも集英社だし、『ま、いいか』」となったと「あとがき」で言っている。マーガレットにリボンI-IX スール以外からもらったバレンタインチョコのお返しのキャンディーにラッピングをするため薔薇の館に集まった祐巳・志摩子・由乃はあれこれと悩む。 デビュー 大学進学を機に、蓉子は自分のキャラを変えようと試みる。 ライバルがいいの 『マリア様がみてる バラエティギフト』所収の「毒入りリンゴ」の続編。山辺の娘・亜紀に引き合わされた江利子は彼女の行動に戸惑う。 フィレンツェ煎餅を買いに 『マリア様がみてる チャオ ソレッラ!』の裏話。加東景からイタリア旅行に誘われた聖は二つ返事で参加するが、成田空港で日程が祐巳たちの修学旅行と重なっていたことに気づく。 「さん」付け問題 お互いに「さん」付けで呼び合っている祐巳・由乃・志摩子。ある日、試しに互いに呼び捨てにしてみる。 僕の兄妹 小寓寺の跡継ぎとして修行をしていた准至(のりみち)は、ある日、父に勘当するよう申し出て家を出るが、2年後、1歳くらいの赤ん坊を連れて帰ってくる。 志摩子の出生の事情が、志摩子の兄(叔父)である賢文(まさふみ)の一人称で語られる。リリアン女学園の生徒・卒業生でない者の一人称も男性登場人物の一人称も本作品が初(本作品と「青い傘の思い出」のみ)。 ユミちゃん絵日記・未来編(1) 日記に書いたとおり、駅のポストに蟹名静宛のエアメールを投函した祐巳は、そこで思いがけず静本人に出会う。 ユミちゃん絵日記・未来編(2) 土曜日、祐巳と瞳子は初詣のお礼参りに祐巳宅の近所の稲荷神社に行く。 青い傘の思い出 『マリア様がみてる レイニーブルー』で盗まれた祐巳の傘が、祐巳の元に返るまでにたどった10日間のエピソード。拾った人が次々と主人公になるオムニバス形式。登場人物がいずれもリリアン女学園の生徒・卒業生・教職員ではない。 マリア様がみてる 卒業前小景 授業のない卒業式前日の午後に繰り広げられたそれぞれのエピソード。薔薇の館の“忘れ物捜索”見つかったある物を手に、祐巳は姿の見えない祥子を探す。 35. マリア様がみてる ハロー グッバイ 初巻から続いていた「祐巳・祥子編」の完結巻。 祥子と令の卒業式を迎え、祐巳たちはお別れのときへ。卒業式直前、祐巳は祥子からあるものを渡される。その頃、由乃に呼ばれた蓉子・聖・江利子の前“薔薇さま”たちがリリアン女学園を訪れようとしていた。 著者は、サブタイトル「ハロー グッバイ」は「ごきげんよう ごきげんよう」の意で、当初は「ごきげんよう ごきげんよう」、「ハロー グッバイ」のどちらかをサブタイトル、もう一方をルビにしようしていたと、あとがきで明かしている。 マリア様がみてる リトル ホラーズ 6編のエピソードを、入学と同時に“つぼみ”になった有馬菜々の視点で描く表題作「リトル ホラーズ」で繋ぐ短編集の第5弾。「チナミさんと私」(雑誌『Cobalt』 2008年9月号)、「ハンカチ拾い」(同2009年5月号)、「ホントの嘘」(書き下ろし)、「ワンペア」(同2008年2月号・4月号)、「胡蝶の夢」(同2009年1月号)、「おまけ・リトル パニック」(書き下ろし)。巻の括りは「いなくなっちゃった人」または「これという着地点がない話」(あとがき)。 前後編の後編の巻ではない小説だけの巻としては初めてイントロがない。リトル ホラーズI-VI 祐巳たちが3年生・“薔薇さま”になった4月。剣道部の会合に出てこない由乃を呼びに薔薇の館に来た菜々は、乃梨子と志摩子に由乃も祐巳もいないと言われる。探すと、2人は館の1階で水道管を押さえていた。 チナミさんと私 インフルエンザのため入学式から欠席してしまった綿貫照(わたぬき てらす)が初登校すると、入れ替わりのように隣席の日比野千波(ちなみ)が病気治療で長期欠席に。ところが、その席には、照にしか見えず、声が聞こえない存在があった。 ハンカチ拾い むしゃくしゃしていた1年生の公弥(くみ)は、公園で素敵な上級生に出会う。 ホントの嘘 1年生のありさは、“お姉さま”にちょっとした嘘をつくが、辻褄を合わせるために嘘に嘘を重なる結果になり、どんどん身動きが取れなくなっていく。 ワンペア 人形のように美しい久我コハクと久我メノウ。高等部2年藤組の2人は本人たち以外には区別がつかないほどそっくりな双子の美少女姉妹。謎の失踪を遂げた従兄の後任国語教師として、リリアン女学園に赴任した清水多子(なこ)は、なぜか気になってしかたがないが、他の教師からは「2人には決して関わるな」と忠告される。従兄は、久我姉妹に痴漢行為をはたらき、退職する前に失踪したというのだ。腑に落ちない多子は、この謎に迫るために行動を開始。そして衝撃の事実を知ることになる。 胡蝶の夢 周(めぐり)は初夢以来不思議な感覚の中にいた。本当の自分はさえない中年の「おっさん」で、それが夢の中で周という女子高校生になっている、という感覚が抜けない。 おまけ・リトル パニック 本編「リトル ホラーズ」の裏話。来ないはずの菜々が薔薇の館に来て、一同は大慌てで対処しようとする。 マリア様がみてる 私の巣(マイネスト) 父を早くになくして母子家庭で育った高等部1年生の朝倉百(もも)は、母の再婚により2年生の筒井環(たまき)を含む大家族で生活することになる。 雑誌『Cobalt』2007年8月号に掲載された表題作を第1話とする連作短編集。第2話以降は書き下ろし。時系列では『マリア様がみてる リトルホラーズ』を追い抜いている。 マリア様がみてる ステップ 大の親友だった律(りつ)と佳月(かづき)。律が男性とつきあい始め、佳月にも気になる人が現れて、二人の関係にも変化が起きる。 雑誌『Cobalt』2010年7月号に掲載された同名の短編に大幅に加筆して長編化したもの。本編(祐巳・祥子編)の時点からは過去にあたる。このためイントロ中の他の巻では「平成の今日」の部分が、「昭和の今日」になっている。 マリア様がみてる フェアウェル ブーケ 「先生」を括りとする短編集。7つの短編を表題作『フェアウェル ブーケ』でつないだ構成となっている。『フェアウェル ブーケ I〜VII』(書き下ろし)、『飴とストレッチ』(雑誌『Cobalt』 2011年11月号掲載)、『プライベートTeacher』(同2011年5月号掲載)、『おっぱいクッキー』(同2012年3月号掲載)、『昨日の敵』(同2009年9月号掲載)、『卒業式まで』(同2010年11月号掲載)、『アナウンスメント』(書き下ろし)、『薬香草茶話』(書き下ろし)を収録。 備考 小説、漫画ともに、各電子書籍化。
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