書的評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/27 08:48 UTC 版)
居延漢簡は書道の世界にも大きな発見をもたらした。居延漢簡の書かれた時代は篆書から隷書へと書体が変化する時期に当たっているが、ちょうどその変化=隷変のあった前漢代にはほとんど碑などの金石文が残されておらず、ごくわずかな書蹟から推測するだけの状態であった。 しかし居延漢簡には純粋な篆書からはじまって、隷書になりかけた初期の隷書である「古隷」、完全な波磔(はたく、隷書独特の大きなはらい)を持つ隷書=八分隷までこの時代考え得る移行期の書体が全て使用されており、隷変の過程が明らかになった。 それまで隷変は篆書→古隷→八分隷と直線的に起こったと考えられていたが、居延漢簡でほぼ同時代に古隷と八分隷が混在していることから、元々八分隷は隷書の書風の一つであって、それが古隷の書法に代わり後に標準となったと結論づけられたのである。 このような書道史上の価値もさることながら、一般民衆の手になる素朴な書風が書蹟として愛好されるようになり、現在では書作品として臨書されたり書風を模倣されたりすることも多い。木簡書として一つのジャンルを形成しつつある。
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