木の茶釜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 08:09 UTC 版)
侏儒どんは前述の通り機知に富んだ男で、城の中でも人気者だったが、お尻やおならなどの下品な話をたびたび口にするのが困り者であった。ある日、殿様は侏儒どんに向かって「これからは“尻”という言葉を一切使ってはいかん。もしも使ったら、城への出入りを禁止する」と言い渡した。これを聞いた侏儒どんが「分かりました。しかし、殿がお使いになられたら、いかがなさいますか」と聞き返すと、殿様は「わしが使ったら百両出そう」と答え、二人はお互いに賭けをすることになった。それからしばらく経ったある日のこと、侏儒どんがいつもよりだいぶ遅れて城にやって来た。殿様が「遅かったではないか。今まで何をしていたのか」と尋ねると、侏儒どんは「今朝、私が城へ向かう途中、友人に呼び止められて“茶を飲んで行け”と言われたので、友人の家で待っていましたが、いくら待っても茶が出てこないので、不思議に思って奥の部屋をのぞくと、木の茶釜で湯を沸かしておりました」と答えた。それを聞いた殿様が呆れて、「木の茶釜なんか使えるものか。釜の尻(底の部分)が焦げてしまうわい」と言うと、侏儒どんはすかさず、「殿は今、“尻”という言葉をお使いになられましたな!」と叫び、殿様はまんまと百両の大金を取られてしまったという。
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