梅雨の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 14:31 UTC 版)
ミンミンゼミの初鳴については、夏の降水量すなわち梅雨の影響が大きいと考えられる。梅雨は、年によって、また地域によって千差万別ではあるが、平均的な特徴として、南に行くほど、そして西に行くほど、降水量は増える傾向がある。また梅雨明けの平年値は南ほど早く、北に行くほど遅くなる。 夏に降水量が多く、粘土質で水持ちが良い土壌の広がる西日本では、ミンミンゼミの生息域が限られている。傾斜地を除けば、降水量が比較的少ない瀬戸内地方や、あるいは黒ボク土が広がる山陰地方において、初鳴が安定的に観測が記録されてきた。兵庫県の神戸市や洲本市は途中で生物季節観測を取りやめてしまったが、松江市は2020年の観測終了時まで行われた。これらの地点の平年値は7月下旬頃である。 また、夏の降水量が比較的少なく、黒ボク土や関東ローム層が広がる東日本のエリアでは、ミンミンゼミは平地を含めて広く分布しており、初鳴は年々早まる傾向がある。中でも降水量が少ない山形、長野、甲府、熊谷市などは、全国的に見ても初鳴が早い。これらの地点より降水量が多い東京や横浜は初鳴が少し遅れ、関東地方で比較的降水量が多い前橋や宇都宮では初鳴の平年値は8月に入る。長野県においても、長野市と飯田市では初鳴の時期が10日以上ずれており、降水量が多い南信地方の飯田市(既に生物季節観測は終了)における平年値は8月上旬である。セミは梅雨明けよりも土壌が少し乾燥するのを待って出現する傾向がある。また生物季節観測はされていないが、京都など西日本の各地において、ミンミンゼミが晩夏に鳴きはじめる点にも当て嵌まる。 一方、初鳴が年々遅くなっているエリアとして高知県や北陸地方がある。高知県は、2020年に初鳴が、1981年の観測記録開始以降では最も遅い8月1日であったが、これは7月の記録的な長雨が影響しているとみられる。また北陸地方では初鳴が観測されない年が増えている。これらの地域は日降水量や時間降水量が増えて自然環境が変化し、ミンミンゼミの個体数が減少している可能性もある。 ミンミンゼミの初鳴き平年値 (気象庁のHPより一部抜粋) 観測点平年値(’1991-‘2020)旧平年値(’1981-‘2010)新旧差備考東京 7月21日 7月21日 差なし 1996年より観測 横浜 7月20日 7月24日 -4日 熊谷 7月21日 7月26日 -5日 2011年から10年平均では7月15日 仙台 7月26日 8月1日 -6日 平年値の変化が最も大きい 山形 7月21日 7月25日 -4日 前橋 8月5日 8月7日 -2日 長野 7月19日 7月21日 -2日 金沢 8月8日 8月6日 +2日 松江 7月23日 7月24日 -1日 高知 7月12日 7月11日 +1日 2011年から10年平均では7月16日 神戸 - 7月27日 - 2002年観測終了 飯田 - 8月3日 - 2006年観測終了
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