検事総長との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 00:25 UTC 版)
検事総長と常に緊密な連絡を保つものとするとされるが、刑事訴訟法上における検察官の警察官に対する一定の指揮権のようなものは存在せず、常に協力関係にある。 警察庁は国家公安委員会以外の機関から管理監督されることはないが、司法警察活動に際し、個別の警察官は一定の指揮を検察官から受けることがある。当然、警察官は正当な理由がある場合には、この検察官の指示に従う必要はない。ただし、検事総長、検事長または検事正は、国家公安委員会が懲戒権限を持つ者、つまり、国家公務員たる警察官に対する懲戒の請求を国家公安委員会に行うことが認められている。また、検察官は、司法警察員又は司法巡査に指定された警察官に対しては「捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うするために必要な事項に関する一般的な準則を定める」一般的指示を行うことが刑事訴訟法193条で定められている。同条により、検察官が自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせることができる。 しかし、検事総長、検事長又は検事正自身には懲戒権限はないため、この正当性の判断は国家公安委員会が警察の民主的運営および政治的中立性に鑑みて、独自に判断することとなっている。国家公安委員会の管理権と検察官の捜査指揮権が相反する場合にどちらを優先させるかが問題となるが、あくまでも正当性の判断主体は国家公安委員会であり、国務大臣たる国家公安委員長を長とする国家公安委員会の管理権は民主主義的基盤を持っているため、行政機関である検察官の指揮権よりも優位する。したがって、国家公安委員会の管理権が優先される。なお、司法警察活動たる捜査活動とは違って、犯罪の予防・鎮圧活動を主とする行政警察活動については、警察が独自に行うこととなっており、検察官の指揮を受けることはない。
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