溶接部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 03:48 UTC 版)
融合不良、溶け込み不良、アンダカット、オーバラップなどの不具合は溶接部に発生する。溶接部は溶着金属と熱影響部で構成されており、その境界部では応力集中、熱影響部では材料の脆化による割れ等のきずが発生しやすい。各種材料に適用されている溶接構造物の溶接部は構造物の強度を保つ部材を形成している。これら構造物には小型のものから大型のものまであり、うち大型のものは溶接部前線の探傷を行う場合と、部分的に探傷を行う場合がある。表面形状は比較的滑らかなものから粗いものまで、溶接方法、溶接姿勢によって異なる。 溶接はポンプ、バルブ、エルボなどの小型部品から、原子力機器、圧力容器、航空機などの大型製品まで、あらゆる工業分野に活用されている。加えてほとんどの溶接部はこれらの強度を保つ部材を形成しているため、これにきずが生じれば極めて重大な事故につながると考えることもでき、そうなる前にきずを発見することは非常に重大な事項であるといえる。溶接部のきずは大きく分けて溶接時、熱処理などの加工時、そして使用時に発生し、これらの違いによって生成されるきずの種類も異なる。溶接時の場合は、作業中の不注意、材料管理の手落ち、溶接条件の誤りなどで、溶接中にも溶接後にも、そして表面にも内部にもきずが生じやすい。加工時と使用時のきずはすべて表面に開口したものであり、破壊に最も結びつきやすい。このため熱処理などが行われたものについては製品検査の段階で、使用中のものについては保守検査として適時きずの有無を確認する。特に、使用中に大きな応力がかかる部分や繰返し応力がかかる部分は、より重点的に検査が行われている。
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