理論史とは? わかりやすく解説

理論史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 14:31 UTC 版)

ブラックホール」の記事における「理論史」の解説

ブラックホール理論的可能性については、18世紀後半先駆的な着想があった。ピエール=シモン・ラプラスは、アイザック・ニュートンの提唱した光の粒子説ニュートン力学から、光も万有引力影響を受けると考え理論極限まで推し進めて十分に質量と密度大きな天体があれば、その重力は光の速度でも抜け出せないほどになるに違いない」と推測したまた、イギリスジョン・ミッチェル同様の論文発表した。しかしその後光の波動説優勢になり、この着想忘れられた。 現代的なブラックホール理論は、アルベルト・アインシュタイン一般相対性理論発表され直後1915年に、カール・シュヴァルツシルトアインシュタイン方程式対す特殊解導いたことから始まったシュヴァルツシルト解は、時空球対称自転せず、さらに真空であるという最も単純な仮定の上での一般相対性理論厳密解として得られるアインシュタイン本人一般相対論特異点有り得ることを渋々認めていたものの、それはあくまで数学的なであって現実には有り得ない考えていた。 1930年に、インド出身イギリス留学来ていた当時19歳スブラマニアン・チャンドラセカールが、白色矮星質量には上限があることを理論的に導き出し質量大きな恒星押しつぶされブラックホールになると、ブラックホール存在初め理論的に指摘したが、当時科学界の重鎮アーサー・エディントンまともに検討するともなく頭ごなし否定した1939年ロバート・オッペンハイマーとその大学院生のハートランド・スナイダーが、アインシュタイン成功を収めることになった流儀真似て一つ思考実験行った二人は、大質量の星が燃え尽き、突然自重で潰れる時に何が起きるのか自らに問いかけてみたのである当時太陽のような軽い星の場合地球サイズ密度にまで収縮することが分かっており、より重い星はさらに収縮進み直径10マイル(16km)程度ボール収縮すると、フリッツ・ツビッキーウォルター・バーデ仮説立てていた。オッペンハイマーらは、当時物理学界を賑わせていた中性子星存在議論の中で、恒星崩壊後にできる中性子星質量には上限があり、超新星爆発の後に生成される中性子質量がその上限よりも重い場合中性子星段階留まることなくさらに崩壊する重力崩壊現象予言した。しかし彼は、ここまで研究進めたところで原子爆弾開発目的とするマンハッタン計画責任者としてロスアラモス研究所所長任命されブラックホール研究からは遠のくことになった。 ほとんどの物理学者はこうした説明何一つとして真剣に受け止めていなかったが、フレッド・ホイル別だった突飛な説明をすることにかけては一流ホイルは、太陽の何百万倍もの超星(スーパースター)は熱核反応ではなく重力によって電波銀河パワー供給していると提唱した。そして、超星ほどの巨大な物質集まり自重崩壊させてみれば、その質量90%までがエネルギー変換されクエーサー燃料なり得る指摘した(これはシュミットクエーサー正体暴く前のことだった)。 物理学者ジョン・ホイーラー特異点重力崩壊問題考え続けていた。彼は計算結果物質その本質をなす様々な属性例えば、物質反物質との違いというような、物理法則支えている根本的な属性)は、特異点単純に消えてしまうと確信した1963年ロイ・カーが軸の周り一定の角速度回転するブラックホールについての厳密解カー解)を導いたホイーラーが「最終状態問題」とデリケートな言い回し表現した問題を、ロジャー・ペンローズ強力な定理エレガントな証明用いて、まるで四次元における幾何学問題あるかのようにアプローチした。一般相対性理論に対して多く科学者が、特異点というのは架空のものであり数学的な理想化産物考えており「星は回転物質跳ね飛ばされ中心周りで渦を巻き一体になって特異点形成するようなことはない」信じられていたのである。ところが1965年に、ペンローズが星の崩壊特異点収束することを証明した物質とエネルギー充分に集まっている所ならどこでも時空終わりが来ることがある証明したのである。シアマはこれを「一般相対論にとって最も重要な貢献」と呼んだホイーラー数年の間「物理宇宙窮地」「重力黙示録」とも言える天体研究していたが、より劇的に表現する方法探し続けており、1967年ニューヨークで開かれた会議において「ブラックホール」(black hole)という言葉採用し研究PR面に役立てた。後にホイーラーは「時に患者は、いくら医者病気と言っても病気に名前をつけてくれないうちは信じないことがあるんだ」と説明したといわれる1960年代終盤から、イギリス理論物理学者らは活発に刺激与え合い理論生み出すようになり、ペンローズとシアマ・グループは、特異点時空構造物質末路に関する定理数多く生み出していった。例え当時生み出され有名な定理一つ挙げると、崩壊する物質もしくはブラックホール落ち込むものは何であれ特異点ぶつかって存在潰滅してしまうか、ブラックホール回転しているとすれば中心ワームホール命中して別の時空宇宙ホワイトホールとして噴出する結論下している。 ホイーラーは、ブラックホール飲み込む対象が何(青色巨星星間塵ニュートリノ放射反物質)であれ、それに関する情報破壊して経過隠してしまい、そこから出てくるものは同じものになるという撹乱能力備えていることを示し、「ブラックホールには毛がない(ノーヘア)」と表現しブラックホール脱毛定理)、カーター別な定理としてノーヘアを提唱した。この定理ブラックホール物理学革命起こしたホーキングはこの定理のことを気にしており、こうした研究多くジョージ・エリス共同執筆し1971年出版されLarge Scale Structure of space time時空大規模構造』にまとめている。これは後に古典一つ数えられるようになったホーキング1974年ホーキング輻射の公式を考案すると、シアマはそれを高く評価し自分優秀な教え子業績」として自らの講義紹介したが、後にこの公式から導かれるブラックホールの蒸発に伴う情報喪失パラドックス物理学界に激し論争呼んだ

※この「理論史」の解説は、「ブラックホール」の解説の一部です。
「理論史」を含む「ブラックホール」の記事については、「ブラックホール」の概要を参照ください。


理論史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 08:23 UTC 版)

海洋国家」の記事における「理論史」の解説

海洋国家理論19世紀後半における米英中心とした地政学分野発達した海洋国家理論の先駆者として知られるのが、『海上権力史論』の著者マハンである。マハン世界強国となるための前提条件として制海権握ること説いたマハン祖国アメリカが、南北戦争以降西部開拓時代海外発展に遅れをとったことが背景にあるとされ、欧州列強拡大に対して挽回を図るという意図があったともされるイギリスの政治ハルフォード・マッキンダーは、ハートランド論を唱え、「人類の歴史ランドパワーシーパワー闘争歴史である」としたうえで、「これからランドパワー時代である」とし、海洋国家イギリス生まれ育ちながらランドパワー論者となったマッキンダーによれば海洋国家攻撃的ではないが、隣国勢力強くなることを忌み嫌う大陸国家外洋出て新たな海上交通路権益拡大をしようとすれば海洋国家はそれを防ぐべく封じ込め図ろうとする。それゆえ大陸国家海洋国家の交わる地域での紛争危機はより高まる。 また、東欧支配するものがハートランド支配しハートランド支配するものが世界島支配し世界島支配するものが世界支配する」とした上でイギリス中心とした海軍強国陸軍強国による世界島支配阻止すべきだと論じ海洋国家によるミッドランド・オーシャン連合提唱した理論後継者ニコラス・スパイクマンリムランドがある。 政治学者ルドルフ・チェレン国家有機体のひとつとみなし、国家有機体論唱えたチェレンは、国家精神国民民族により具現化し、領土国家肉体であるとした。領土については地理的個性化法則論じ国家理想的な姿を自然の範囲自然的境界と自然の領土にあるとした。自然的境界として最も理想的なものは海であり、大陸国家もまた大洋目指してその領土拡大しようとする理由は主にそこにあるとした。一方で自然的領土については河川ないし河川囲繞海洋囲繞であるとした。

※この「理論史」の解説は、「海洋国家」の解説の一部です。
「理論史」を含む「海洋国家」の記事については、「海洋国家」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「理論史」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「理論史」の関連用語

理論史のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



理論史のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのブラックホール (改訂履歴)、海洋国家 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS