生活文化と世相
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 15:00 UTC 版)
オランダ商館付医官エンゲルベルト・ケンペルによる元禄4年(1691年)の紀行文『江戸参府紀行』によれば、元禄前後の日本の世相が、異国人の目からみても多様な財貨生産がおこなわれ、市場や店頭がにぎわっていること、生活物資が豊かであること、工芸品や装飾品のすぐれた様子、また、華美な衣服、多彩な造型美術、諸芸能の盛況など、都市を中心に大衆社会の様相を呈していることがよく映し出されている。 一方で将軍徳川綱吉が発布した生類憐れみの令や服忌令は、殺生や死を遠ざけ忌み嫌う風潮を作り出すもととなった。前者は多くの人にとって迷惑なことも多い法令ではあったが、捨て子が野犬に襲われたり、かぶき者たちによる「犬喰い」がなされたりする戦国時代以来の殺伐とした光景はすがたを消した。後者については、それにより、従来、神道や貴族社会に特徴的であった「死や血を穢れとする」観念が急速に武家や庶民階級にもひろがっていく契機となった。
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