射影作用素
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/22 10:22 UTC 版)
線型代数学および函数解析学における射影作用素あるいは単に射影(しゃえい、英: projection)とは、いわゆる射影(投影)を一般化した概念である。有限次元ベクトル空間 V の場合は、V 上の線型変換 P: V → V であって、冪等律 P2 = P を満たすものを言う。ベクトル v の像 Pv を v の射影という。射影作用素はベクトル空間 V を U⊕W と直和分解したときに、V の元 v = u + w (u ∈ U, w ∈ W) を u に写すような変換である。ベクトル空間の次元が無限次元の場合には、連続性を考慮しなければならない。例えばヒルベルト空間 における射影作用素とは、 上の有界線型作用素 であって、冪等律 P2 = P を満たすものを言う。このときさらに自己共役性 P∗ = P を持つときには直交射影(ちょっこうしゃえい、英: orthogonal projection)という[1]。直交射影のことを単に射影と呼ぶこともある[2]。
- ^ Reed & Simon 1980, p. 187.
- ^ Reed & Simon 1980, p. 188.
- ^ Meyer 2000, p. 433.
- ^ Meyer 2000, p. 431.
- ^ Meyer 2000, equation 5.13.4.
- ^ Meyer 2000, equation 5.13.3.
- ^ Meyer 2000, equation 7.10.39.
- ^ Doković, D. Ž. (August 1991). “Unitary similarity of projectors”. Aequationes Mathematicae 42 (1): 220–224. doi:10.1007/BF01818492 .
直交射影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/31 08:38 UTC 版)
例えば、三次元空間 R3 の点 (x, y, z) を点 (x, y, 0) へ写す写像は xy-平面の上への射影である。この写像は行列 P = ( 1 0 0 0 1 0 0 0 0 ) {\displaystyle P={\begin{pmatrix}1&0&0\\0&1&0\\0&0&0\end{pmatrix}}} P ( x y z ) = ( x y 0 ) {\displaystyle P{\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}x\\y\\0\end{pmatrix}}} P 2 ( x y z ) = P ( x y 0 ) = ( x y 0 ) {\displaystyle P^{2}{\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}}=P{\begin{pmatrix}x\\y\\0\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}x\\y\\0\end{pmatrix}}} なる計算によって確かめられる。
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直交射影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/31 08:38 UTC 版)
考えているベクトル空間に内積が定義されていれば、直交性や(線型作用素の自己共軛性)といったような内積に付随するさまざまな概念を用いることができるようになる。直交射影は、値域 U と核 V とが互いに直交する部分空間になっているような射影をいう。射影が直交射影であるための必要十分条件は、それが自己共軛であること、即ち実ベクトル空間の場合には、ある直交基底に関する表現行列 P が対称行列(P = PT)であり、複素ベクトル空間の場合には、表現行列 P がエルミート行列(P = (P*)T))となることである。実際に、x, y が射影の定義域に属するベクトルのとき、 Px ∈ U, y − Py ∈ V であり、かつ ⟨ ∙ , ∙ ⟩ {\displaystyle \langle \bullet ,\bullet \rangle } を正定値内積として ⟨ P x , y − P y ⟩ = ( P x ) ⊤ ( y − P y ) = x ⊤ ( P ⊤ − P ⊤ P ) y = x ⊤ ( P − P ⊤ P ) ⊤ y {\displaystyle \langle Px,y-Py\rangle =(Px)^{\top }(y-Py)=x^{\top }(P^{\top }-P^{\top }P)y=x^{\top }(P-P^{\top }P)^{\top }y} が成り立つから、Px と y − Py とが任意の x, y に関して互いに直交するのは、P = PTP(これは P = PT かつ P = P2 に同値)のときであり、かつそのときに限る。 直線の上への直交射影の場合が最も簡単であろう。直線上の単位ベクトル u をとれば、当該の射影は P u = u u ⊤ {\displaystyle P_{u}=uu^{\top }} x := x ∥ + x ⊥ {\displaystyle x:=x_{\parallel }+x_{\perp }} P u x = u u ⊤ x ∥ + u u ⊤ x ⊥ = u | x ∥ | + u 0 = x ∥ {\displaystyle P_{u}x=uu^{\top }x_{\parallel }+uu^{\top }x_{\perp }=u|x_{\parallel }|+u0=x_{\parallel }} を得る。 この等式は任意次元の部分空間の上への直交射影にも拡張することができる。u1, ..., uk を部分空間 U の正規直交基底とし、各列ベクトルが u1, ..., uk になっている k-次正方行列を A と書けば、所期の射影が P A = A A ⊤ {\displaystyle P_{A}=AA^{\top }} P A = ∑ i ⟨ u i , ∙ ⟩ u i {\displaystyle P_{A}=\sum _{i}\langle u_{i},\bullet \rangle u_{i}} と書くこともできる。行列 AT は U の直交成分が消える部分等距変換であり、A は U を考えている全体空間へ埋め込む等長変換になっている。従って PA の値域は A の終空間 (final space) であり、また ATA が U 上の恒等変換であることは明らかである。 上記の議論で正規直交条件は落とすこともできる。即ち、u1, …, uk を(必ずしも正規直交でない)基底とし、それらを列ベクトルに持つ行列を A と書けば、求める射影は P A = A ( A ⊤ A ) − 1 A ⊤ {\displaystyle P_{A}=A(A^{\top }A)^{-1}A^{\top }} と書ける。この場合も行列 A は U の全体空間への埋め込みになっているが、しかし一般にはもはや等距変換ではない。ここで行列 (ATA)−1 はノルムを回復する「正規化因子」である。実際、階数 1 の作用素 uuT は ‖u‖ ≠ 1 のとき射影にならないが、これをuTu = ‖u‖2 で割って得られる u(uTu)−1uT は u で張られる部分空間の上への射影になる。 この射影の値域となるベクトル空間が(基底ではなくて)枠 (frame) で張られているとき(つまり生成元の数が次元の値よりも大きいとき)には、上記の公式は P A = A ( A ⊤ A ) + A ⊤ {\displaystyle P_{A}=A(A^{\top }A)^{+}A^{\top }} という形になる。ここで A + {\displaystyle A^{+}} はムーア・ペンローズ擬似逆行列を表す。このような場合には、射影作用素を構成する方法は無数にあり、これはその無数の可能性のうちの一つに過ぎないことに注意すべきである。 あるいは、行列 [ A B ] {\displaystyle [A\ B]} が正則で ATB = 0(つまり、B は A の零空間行列)のときには I = A ( A ⊤ A ) − 1 A ⊤ + B ( B ⊤ B ) − 1 B ⊤ {\displaystyle I=A(A^{\top }A)^{-1}A^{\top }+B(B^{\top }B)^{-1}B^{\top }} I = [ A B ] [ ( A ⊤ W A ) − 1 A ⊤ ( B ⊤ W B ) − 1 B ⊤ ] W {\displaystyle I={\begin{bmatrix}A&B\end{bmatrix}}{\begin{bmatrix}(A^{\top }WA)^{-1}A^{\top }\\(B^{\top }WB)^{-1}B^{\top }\end{bmatrix}}W} が成立する。 これらの公式は(転置行列を随伴行列に取り替えれば)複素内積空間でも成立する。
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直交射影
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/11 02:48 UTC 版)
多胞体の様々な対称方向を示すために直交射影は有効に用いられる。それにより頂点–辺グラフは二次元に表示でき、また目に見える射影被覆として立体面が三次元に示される。
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