真贋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 05:42 UTC 版)
「アイルワースのモナ・リザ」の記事における「真贋」の解説
モナ・リザとラファエロの『一角獣を抱く貴婦人』。 『岩窟の聖母』同様、レオナルドが2枚の『モナ・リザ』を描いたという説は16世紀から語られていた。ピューリツァーをふくめこの絵をレオナルドの作とする人間が依拠しているのは伝記作家ジョルジョ・ヴァザーリである。彼はレオナルドが1503年に『モナ・リザ』を描き始め、未完成のままに終わったと書いていたのである。さらに同時代の画家ラファエロ・サンティが『モナ・リザ』を素描しており、それにはルーブル美術館版の『モナ・リザ』にはない円柱が描き込まれていたことも真作説を補強する材料となった。 アイルワース版に描かれた女性は、ルーブル美術館の『モナ・リザ』よりも10歳ほど若くみえる。作品としてはルーブルのものよりやや大きく、色も鮮やかである。姿勢や顔つきなどはよく似ているが、背景は異なり、これまでの真作説をなぞるように未完成な部分を残し、両側に円柱も描かれている。美術史家のデビッド・フェルドマン(英語版)によれば、「非常に初歩的な数学的分析」の結果、「〔腰かける二人のあらゆる要素が〕正確に同じ位置にある」こともわかったという。このフェルドマンもメンバーであるスイスのチューリッヒに本拠を置くNPOモナ・リザ財団は、35年以上にわたる調査をもとに「あらゆる角度から」この絵画が『モナ・リザ』の初期バージョンであると結論づけた。 一方、オックスフォード大学の教授マーティン・ケンプ(英語版)は―直接この絵画を鑑賞したことはないことを認めつつ―模写であると主張している。彼によれば『アイルワースのモナ・リザ』は、女性のヴェールや髪の毛のほか、衣服をおおう透明な層、手の組み方といったオリジナルの繊細なディテールを写し損ねており、また模作にありがちなことだが背景の大気と女性の表情にもとらえどころのない深みが欠けていること、さらにレオナルドが好んだ木板ではなくカンバスに描かれていることなども真作であることを疑わせるとしている。またケンプは赤外線リフレクトグラフィーとX線による検査もこの絵画の作者がレオナルドではないことを示していると述べており、『モナ・リザ』が若くみえるのもあくまで模倣者がそのように描いたからではないかと語っている。 なお、ルーブル美術館はアイルワース版に関し、コメントを拒否している。
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